『ファイナルファンタジーX』(ファイナルファンタジーテン、FINAL FANTASY X、略称:FFX、FF10)はスクウェア(現スクウェア・エニックス)が発売したPlayStation 2用RPG。日本国内では2001年7月19日に発売され、2013年12月26日にはHDリマスター版がPlayStation 3用、PlayStation Vita用ゲームソフトとしてそれぞれのハードで続編のファイナルファンタジーX-2とともに発売。大きな特徴としてファイナルファンタジーシリーズとしては稀な、東洋風のモチーフをデザインや世界観の設定へ多く取り入れている点がある。2000年1月29日に開催されたイベント「スクウェア・ミレニアム」において、『ファイナルファンタジーIX』『ファイナルファンタジーXI』と共に発表された。PlayStation 2におけるファイナルファンタジーシリーズ最初の作品である。日本国内販売本数は約230万本で、PlayStation 2のタイトルとしては初めてダブルミリオンを記録した。北米では2001年12月18日、欧州では2002年5月24日、韓国では2002年6月4日に発売された。ワールドワイドでは約500万本を売り上げている。同シリーズとしては初めてキャラクターボイスが採用されている。PlayStation 2のハードウェア性能によりグラフィックや演出はより過去作より向上を見せており、「フェイシャルモーション」と呼ばれる技術によりキャラクターの表情変化も表現している。通常版(日本語版)とインターナショナル版(英語版)が発売されている。本作にはDVD-Video『THE OTHER SIDE OF FINAL FANTASY』が付属している。開発途中の設定資料、天野喜孝のイメージイラスト、主要スタッフや声優のインタビューなどを収録している。本作の発売当初に放映されたスクウェア・エニックスのTV-CMには、主人公ティーダのモデルにもなった滝沢秀明が出演した(CMは全2タイプ)。2タイプのCMに共通して使われたキャッチフレーズは「僕たちは、運命に立ち向かった」。ファイナルファンタジーシリーズはこれまで基本的に各作品が独立した1話完結の形態を取っていたが、本作には同シリーズで初めて物語上での続編となる作品『ファイナルファンタジーX-2』が作られ、2003年3月13日に発売された。オリジナル版の廉価版は2003年1月16日発売の「MEGA HITS!」と2005年9月8日発売の「アルティメットヒッツ」の2つがあり、後者は更に『ファイナルファンタジーX-2』とのセット「アルティメットボックス」もある。インターナショナル版の廉価版も「アルティメットヒッツ」として2007年1月25日に発売されている。アルティメットヒッツ版のCEROレーティングは3つとも12歳以上対象となっている(インターナショナル版はリリース時期におけるレーティング表示の関係上 "B" と表記されている)。2006年3月17日号のファミ通「読者が選ぶ心のベストゲーム100」で45万ポイントを獲得し、ドラゴンクエストシリーズなど数々の名作をおさえ第1位となった。第7回 CESA GAME AWARDSの最優秀賞を受賞した。細かいところではPS2用HDDのキャッシュ機能に対応しており、利用することで読み込み速度を大幅に上げることができる。2011年9月14日に行われたPlayStation Vitaの発表会で、PS3ならびにPlayStation Vita向けにHDリマスター移植されることが明らかになった。HDリマスター版はそれぞれのハードで2013年12月26日に続編の『ファイナルファンタジーX-2』とともに同時発売された。また、2015年5月14日にはPlayStation 4版も発売された。本作のキャッチフレーズは2つ存在する。過去のシリーズ全てに存在した「自由に動き回れるワールドマップ」は廃止された。フィールドを歩く内に隣り合った土地に移動したり、飛空艇のメニューから瞬時に各地へ移動する。フィールドは完全な3Dで描かれ(一部を除く)、キャラクターの移動に合わせてカメラアングルが変化する。開発中は同時発表された『FFXI』同様に視点を自由に回転できたが、画面酔いしすぎてプレイできないという直良有祐の強い要望で、カメラの動きが制限されたものが発売された。坂口博信の『ロストオデッセイ』でも採用されている。本作ではそれまでの作品で使用されていたATBに替わって、CTB (Count Time Battle) という新しいシステムが採用された。ターンの概念がない点はATBと同じであるが、いずれかのキャラクターが行動している時に全体で時間が停止するのが最大の違いである。コマンド入力状態となったキャラクターが何らかの行動を起こした後、そのキャラクターの待機時間には素早さのパラメータとコマンドに設定された倍率値から算出された次の行動までの時間が設定され、その上で全体の時間が進行する。コマンド選択時に各キャラクターの行動順番を参照することができ、これを利用して敵の行動に対し予め先手を打つ戦い方を要求されるケースも多い。このシステムにより、ターン制の概念を脱却しつつ、ATBのように時間に追われることもないため、初心者から上級者まで戦略的に戦闘を楽しむことができる。戦闘に参加できるキャラクターは3名だが、随時パーティにいる控えのキャラクターと入れ替えることが出来るのも特徴(入れ替え行動にペナルティ要素は無い。ただし、1度でも戦闘に参加して何らかのコマンドを実行しない限り、そのキャラクターにアビリティポイントが加算されない)。水中でのバトルはティーダ、ワッカ、リュックの3人のみ。バトルの数値的スケールが大きくなっており、最大値として、キャラクターのHPが99,999、MPが9,999、一撃のダメージが99,999、と、これまでのシリーズより1桁多い限界値となっている(キャラクターは「○○限界突破」というアビリティ装着時のみ、一部の召喚獣のダメージは後述する“七曜の武器”の成長による)。ただし一撃のダメージだけはそれ以前の作品でも5桁のダメージは与えることが出来るものもあり、全ての攻撃で5桁+表示も5桁となったのは本作品が最初である。敵の攻撃の中には設定上ダメージ量が40万を超えて実質的に回避不能な即死攻撃(召喚獣の「まもる」でも99,999ダメージとなる)として存在している物もある。また、本作からボス戦がフィールドと戦闘画面の切り替えがないシームレスバトルになった。主にイベントから自然に戦闘へ繋げるための演出として採用されており、戦闘中もイベントが挿入されることで物語との一体感を出すことに成功している。『FFXI』以降の全戦闘のシームレスバトル化への橋渡し的な仕掛けとなった。なお、本作のCTBは、戦闘不能になったバトルメンバーは行動できないため、他のキャラクターと交代することができない。そのため、バトルメンバー3名が戦闘不能になると、他のキャラクターが戦える状態でもゲームオーバーとなる。敵から受けるダメージの蓄積や、HPが減って瀕死状態になる等の条件によって発動可能な特殊技は過去のシリーズにも存在したが、今回「オーバードライブ」と呼ばれるそのシステムは大幅に拡張された。オーバードライブゲージが最大値になることで強力な特殊技が使えることは同じだが、ゲージの溜まり方は様々なバリエーションがある。プレイヤーキャラクターについては以下に挙げる「オーバードライブタイプ」と呼ばれるゲージ蓄積条件の中から選択でき、状況によってタイプをうまく使い分けることで効率のよい攻撃が可能となる。初期状態では「修行」のみとなっており、それ以外は対応する行動を何度も行って習得する。召喚獣のオーバードライブタイプはプレイヤーキャラクターにおける「修行」と「闘志」を組み合わせた物であるが、敵の攻撃を回避しても受けた時と同じだけ加算されるという違いがある。発動条件であるオーバードライブゲージの最大値はプレイヤーキャラクターは100、召喚獣では20である。前作までの召喚魔法は、美麗なグラフィックが名物となった一方、発動時間が長いことや、ゲーム終盤になるとあまり役立たないといった欠点が指摘されていた。本作で召喚獣の役割は大幅に変わり、上記の欠点をある程度解消した。ユウナがバトル中に召喚すると、3人のキャラクターに代わって攻撃・魔法などの行動を行う。全般に召喚獣はキャラクターより能力値が高く、ほぼ全てのステータス異常が無効であることが大きな利点で、強力なモンスターの攻撃に対する盾にするなどの活用が可能である。キャラクターとは仕様が異なるが、召喚獣にもオーバードライブシステムがあり、過去のシリーズで使用していた技はオーバードライブ技として位置づけられている。これを事前にチャージして、対ボス戦で連発する「召喚ボンバー」と呼ばれる公式テクニックが存在するが、後半では基本的な戦術を見直さなければダメージのゴリ押しでは勝てないバランスになっている。本作に登場する召喚獣と、その使用するオーバードライブ技を以下に列挙する(ただし、名前は変更可能)。名前の後ろに*のついているものは、入手しなくてもクリア可能な(入手に特殊な条件をクリアする必要がある)もの。キャラクターの成長は、これまでの、戦闘を重ねて経験値が溜まればレベルが上がるといった概念が無く、スフィア盤と呼ばれるボードに配置された成長スフィアを発動させることで能力値アップ・技や魔法を修得するという独特のシステムとなっている。AP (Ability Point) を貯めることでスフィアLVが上がり、これを消費することでスフィア盤を移動することになる。経験値・レベルアップは存在しない(あえて言えばAPが経験値に相当するが、スフィアLVの消費方法が任意に近いため経験値&レベルに対応しているとは言えない)。武器や防具についても独特のカスタマイズシステムを採用している。武器や防具には0〜4個のアビリティスロットが設定され、そのいくつかは空白となっている。この空白の部分にはアイテムを使うことでアビリティを付け加えることができ(改造)、それによって性能が変化する。アビリティの組み合わせによって名称も変化する。武器・防具は7人のキャラクターそれぞれの専用となっており、ネーミングについては内部に膨大なデータベースを持っている。武器や防具にはいわゆる「攻撃力」「防御力」のようなパラメータは設定されていない(ただし、「物理攻撃+5%」のようなアビリティは存在する)。キャラクターのステータスと武具のアビリティが同じならば、どんな武器を用いても、どのキャラクターであっても、同じ攻撃力を持つ。このほか、七曜の武器と総称される各キャラクターの最強武器が存在する。敵の防御力に依存しないダメージを与えられる特性や、HPやMPの量によって攻撃力が大幅に増える潜在能力がある。条件を満たすことで2段階にパワーアップするが、最終段階に育てるには難易度の高いミニゲームを完全にクリアする必要があるなど条件が厳しい。アビリティスロットが4個ある武器を改造することで七曜の武器より便利で自分好みのものが作れることもあり、この場合「最強」の武器はプレイヤーの好みの問題になる。ゲーム中盤からプレイできるミニゲーム。世界各地のモンスターを捕獲し、1つの地域あるいは種族を全て集めるといった条件で、訓練場オリジナルのモンスターと戦えるようになる(地域制覇と種族制覇の2種類の条件がある)。数十種類に及ぶこれらのモンスターはその多くがラストボスをも凌ぐ程の強さを有しており、メインストーリーに沿ってゲームを進めているだけでは普通に倒すことはまず不可能であるため、攻略には相応のやりこみが必要となる。2002年1月31日に北米版を基にマイナーチェンジされた、『ファイナルファンタジーX インターナショナル』が発売されている。販売本数約28万本。北米版の声優へのインタビューやCMムービー、主題歌のプロモーションビデオ、そしてエンディング後のストーリーである『永遠のナギ節』が収録されたDVD『THE OTHER SIDE OF FINAL FANTASY 2』が付属している。HDリマスター版ではこちらのバージョンが音声や名称を日本仕様にした上で収録されるが、ダーク召喚獣など追加されたイベントではボイスは搭載されていない。グラフィックムービーは完全に英語音声をたどって製作されており本作の架空言語「アルベド語」の辞書の数もアルファベットの数である26である。永遠のナギ節は厳密には本作のストーリーではなくインターナショナル版の付録DVDに収録されていたムービーであるが、『ファイナルファンタジーX-2』につながるストーリーとなっている。ヘレティック・ヴァルファーレ戦では、たまにフリーズするという現象が起こることがある。解除方法として、他のダーク召喚獣を倒してから戦う、バグ発生前の時からスタートボタンを連打する、PS2本体を横置きにしている場合は縦置きにする(縦置きにしている場合は横置きにする)などの処置を行う必要がある。それでも解決しない場合はスクウェア・エニックスに電話して指示に従って対処する必要がある。以下のキャラクターは本作の時点で既に故人となっている者。一部は死人などという形で登場する。本作ではスピラと呼ばれる異世界が舞台となる。"スピラ"も参考のこと。スピラでは機械文明があまり発展しておらず、基本的に人々の生活は質素であり、現実における未開の地やアジアに似た光景が見られる。しかし、生命エネルギー幻光虫の存在など現代的文明の代わりに発展しているファンタジー的な魔法文明や、亜人や人間とは異なる知的種族や人間を脅かす魔物の存在、独自の宗教とも言える“エボンの教え”、独自のスポーツであるブリッツボールなどによって、現実のどの時代とも全く異なる独特な世界観が築かれている。スピラには「シン」と呼ばれる脅威が存在し、人々は常に死の恐怖に脅えている。その心を支えているのがエボン教が掲げるエボンの教えであり、「シン」を倒すことを使命とする召喚士である。スピラの人間の大半はエボンの教えを信じ、教えに従って生活しながら召喚士の旅を支え、いつか「シン」が完全に消滅することを希望に生き続けている。『ファイナルファンタジーVII』の世界の過去であることが、FFオフィシャルブックにて発言されている。しかし経過は2千年以上であるとのこと。『FFVII』におけるライフストリームと『FFX』における幻光虫が同一であるとも発言されている。スピラ全土に満ちた生命エネルギーのような物であり、人間も含めた万物に宿っている。虫と名が付くものの虫でも生き物でもなく、普段は肉眼では見えないが、濃度が濃くなると宙に舞う光の玉のように視認できるためその名がついた。それらが消える時は、幻光虫が大気に拡散していく様子が確認できる。性質として宿主となる生物の記憶や思念などに深く関わっており、特に人の幻光虫はその人の想いを宿しているとされるからか魂と同種の存在のようにも表現され、異界で具現化した姿を見ることができる(アルベド族のリュックはこれを「会いたい人を思う人間の心に干渉して見せる現象」と説明する)。水との親和性が高く、水が空中に浮いた状態で固定されるなどの不思議な現象も発生する。これを応用して高濃度の幻光虫を含む水を詰めたモノをスフィアと呼び、人の想いや思念や映像を留め伝える機能を持つため、映像・音声スフィア、スフィアモニターや、後で述べるブリッツボールのフィールドであるスフィアプールに使われたりと、スピラでは幅広く様々な技術に利用されている。人間・動物・植物の場合は肉体という器の中に幻光虫が宿っている。前述した通り幻光虫は宿主の心に反応する性質を持つため、宿主が何らかの強い思いを残した場合、他の幻光虫と結合して実体化、生前の記憶を無くして生き物を襲う魔物と成り果ててしまうことが多い。これは祈り子と同じ状況であり、強い思いを軸に具現化することで力を得る召喚獣の成り立ちと一致する。ただし祈り子と違って特定の誰かと強い絆を持つということはなく、夢を見る本体も消失しているため、残した思いを軸に幻光虫の塊として破壊衝動に駆られる存在となっている。より強い想いを持っていた場合は、具現化した姿が魔物ではなく元の姿のままスピラに留まることがあり、このような存在を死人(しびと)と呼ぶ。この状態では、自身の性格や記憶を保てるか心を失い魔物同然となるか、歳を取るか取らないかなど細部の変化はまちまちであるが、想いによって支えられた存在であるため、力の元となる想いが消えれば消滅してしまう。肉体が高密度に収縮した幻光虫の塊であるため血肉は存在しない。一定の外部衝撃や思いが衰弱・消失すると、幻光虫を繋ぎ止める方法がなくなり拡散する(アイテムやギルなどの実態物は残る)。スピラ独特のシステムによって誕生する魔物達は、長らく人の手によって討伐・排除されていた。しかし人から生まれた魔物に対しては、元となる人物との関わりなどで討伐するのには抵抗がある。同時にエボンの教えの中にある記述も関与し、人が魔物になってしまう恐れがある場合に用いる技術を異界送りと呼ぶ。召喚士が召喚獣と精神感応を試みる一環で、人の心と反応し思いを慰め、未練の想いによってスピラに留まろうとする幻光虫を異界に送ることができ、既に魔物化した人物を解放することもできるため、召喚士として任命された者は旅先で異界送りをすることを義務づけられている(ただし正気を失い魔物に成り果てしまった場合など、極めて強い未練で留まる場合には異界送りは通用しない)。この異界送りを適用されるのはエボンの教えを受けている人間達であり、普通の動物・植物が無念の思いを残した場合、そのまま魔物となり人を襲う。伝説の大召喚士ユウナレスカの父で、「シン」誕生後の世界を救うべく活躍したエボンの言葉である「エボンの教え」を広げるために存在する宗教組織。「シン」の恐怖に対し、選ばれた召喚士によって訪れるとされる「ナギ節」を迎えることを教義としている。1,000年たった現在、その教えはほぼ全ての人に浸透し、スピラを実質支配しているとも言える世界最大の組織で、エボン寺院の教えの真意は後述する人心掌握のための歴史操作や刷り込みといったものだが、内容は伝承や迷信を織り込みつつ、「シン」という脅威に対する希望を掲げることにある。その教えが真実であるかのような現象を示してきたため、スピラの人々の心の支える拠り所という位置付けにある。人々の間には、ささいな幸運や偶然を見るにつけ、それを「エボンの賜物」と呼ぶ風習が広まっており、スピラにおけるエボンの教えの浸透具合を窺い知ることができる。世界各地にエボンの教えを司る機関「寺院」があり、以前は複数存在したがシンとの攻防で現在機能しているものは5箇所(ビサイド、キーリカ、ジョゼ、マカラーニャ、ベベル)。総本山はベベルにある聖ベベル宮、聖地はザナルカンド遺跡。寺院内部には例外なく祈り子が安置されている。組織構成は人間、グアド族、ロンゾ族の寺院関係者の中で選別された総本山への代表のことを老師と呼び、3人の老師を束ねる寺院の中心人物を総老師と呼ぶ。3人の老師と総老師は、合わせてエボン四老師と呼ばれており、人々から深く敬われている。以下、僧兵や神官など組織の雑務や運営を担当する人々が三種族で混成。中でも召喚士は別格で扱われる。アルベド族はエボンの教えを感受せず、かつ迫害対象であるため、老師や僧兵、神官職など構成員に存在しない。以下エボンの教えとその意味「召喚」および「召喚獣」はファイナルファンタジーシリーズ全体の特徴的なシステムであるが、本作でのそれは単なる戦闘システムの一要素として存在しているだけではなく、世界観の根底を形成する重要な概念となっている。また、召喚獣を扱えるのはパーティーの中では「召喚士」であるユウナだけであり、ユウナと召喚獣の間には強い信頼関係が描写されている(例えば、ヴァルファーレを召喚した時にユウナがヴァルファーレの頭を優しくなでる、イフリートはユウナを肩に乗せて現れる、など。また、続編であるファイナルファンタジーX-2では、ユウナがヴァルファーレを「この子」と言うシーンがある)。本作での召喚士は、「召喚獣」を呼び出し使役する技術「召喚」と、死者の魂(想い)を異界に送る技術「異界送り」を使える者と定義されている。どちらも万人が習得できるものではなく、素質ある者が修練を積んで初めて習得できるため、基本的に召喚士のみ使える専門技術である。召喚士はエボンの教えに従い寺院を回って修練を積み、いずれザナルカンドにて「究極召喚」を得て「シン」を倒すことを使命としており、スピラの人間の期待を一身に背負っている。そのため召喚士は旅を世界規模で応援され優遇されるが、旅を途中で諦めた召喚士への風当たりは強い。旅に同行して護衛する者をガードと呼び、基本的に1人の召喚士に対し一人以上のガードが付く。召喚獣は、召喚士が祈り子と交感してその力を借り受けた存在。そこには前述した「強い意思を持ったまま幻光虫を拡散させると魔物になる」というスピラ特有の自然現象が影響する。本来、生物が強い意思を持ったまま幻光虫が拡散した場合、自我を失い魔物となる。しかし召喚獣を呼び出す「召喚」の原理には、「エボンの秘術」により人間を祈り子像という特殊な方法で保存し、内部で眠り続ける祈り子とし、召喚士の精神感応能力で彼らが見続けている夢(想い)を、召喚士の精神力を用いて幻光虫と結びつかせることで実体化した特殊な魔物=召喚獣として使役する。祈り子のいわれは不明だが、どれも非常に強い意思を持っている。祈り子は夢を見続ける存在で、夢の内容と祈り子となった人物の容姿性格が召喚獣に反映される。召喚士の意思に反応する以外は、魔物と同じく血肉を持たない幻光体で、一定の外部攻撃によって肉体を構成する幻光虫は拡散する。ただし力の源=夢見る本体(祈り子像)は無事であるため、何度でも召喚士により実体が再構築される。別の召喚士が同じ召喚獣を使役することができるが、同じ召喚獣は1カ所にしか姿を現さない。物語中でユウナとベルゲミーネやイサールがお互いに召喚獣を操って戦うシーンがあるが、このシーンでは相手が召喚した召喚獣をユウナが呼ぶことはできない。「」(Sin : 罪)はスピラにおける最大の魔物であり、街や村を襲っては殺戮を繰り返す、人々に共通する絶対の脅威。約1000年前の機械戦争の最中に突如現れたとされ、当時の発達した機械文明を破壊し尽くした。姿形は巨大な鯨のような姿をしており、海中を移動する事が多いが、地上を歩く事や重力を操り飛行する事も可能。この重力を操る力でバリアのようなものを張ったり、津波や嵐といった自然災害を発生させたり、空間を歪めるほどの強力な重力波を発生させ、宇宙からも跡が確認できるほどの破壊を行う事などが可能。加えて、負った傷を瞬時に回復する再生力を持ち、どの時代の武器でも致命傷にはならず、それが「究極召喚」以外で「シン」を倒すことはできないとされる所以になっている。自らの体の一部(ウロコや皮膚など)を切り離しコケラと呼ばれる魔物として放出することがあるが、このコケラも重力を操る能力を持つことが多い。「シン」は離れていてもコケラを自身の一部のように感じ取れるのか、コケラを回収しに同じ地に訪れるという行動も確認されている。歴史上では、「シン」は5回にわたり究極召喚を使用した召喚士に倒されているが、いずれもその数年後に再び現われている。この「シン」のいない数年間をナギ節(ナギせつ)と呼ぶ。ナギ節を作り上げた召喚士は大召喚士として人々に崇められ、ナギ節もそれを築いた大召喚士の名前を戴き「ブラスカのナギ節」「オハランドのナギ節」などと称される。人々はナギ節を大いに祝うが、その影には必ず「シン」の復活を恐れる心が潜んでおり、人々が完全に「シン」から解放されることはない(この永劫の繰り返しを「螺旋」として見立てたのが「スピラ(ラテン語で『螺旋』の意)」の語源である)。それでも召喚士は、エボンの教えを信じて自分のもたらすナギ節が永遠に続く、すなわち「永遠のナギ節」になること、そうでなくても人々に一時の安息をもたらすことを願って、究極召喚を求め旅を続け、「シン」に怯える人々の希望となっている。「シン」の正体は、召喚士エボンが夢のザナルカンドとエボン=ジュ自身を守るために作り出した鎧のような存在である。基礎的な生誕方法と性質は一般の召喚獣と変わりないが、幻光体に使用する幻光虫の量は他に類を見ないほど膨大である。これはその中心にいるエボン=ジュが、強力な重力魔法により多くの幻光虫を集めているためである。初代「シン」を除いた「シン」の核は、先代の「シン」を倒した究極召喚獣(後述)であり、究極召喚獣により「シン」が分解されエボン=ジュが剥き出しとなった瞬間に、エボン=ジュは目の前の究極召喚獣を幻光虫レベルで吸収し再構築、新たな「シン」に作り変えてしまう。その時点では、先代よりも幻光虫の量が圧倒的に少なくひ弱であるため、一時的に破壊行動を止めて人々の前から姿を消し幻光虫を集める。この「シン」による破壊が起きなくなる期間が「ナギ節」である。エボン=ジュに乗り移られた究極召喚獣は、少なくともしばらくの間は人間の意識を持ち、ある程度は「シン」の行動に干渉できるようだが、「シン」の本能的な破壊活動自体を防ぐことは出来ず、時間と共に人の意識は消えうせ、心の底まで「シン」となってしまう。「シン」の破壊活動の根底には、かつてザナルカンドを滅亡に追いやった機械戦争が関係する。ザナルカンドの長だったエボンは、ベベルによるザナルカンド滅亡が決定的となった際、召喚技術で作ったザナルカンド=「夢のザナルカンド」を遺すために「シン」を作り、自らはその中心でエボン=ジュという存在になった。「シン」は自身の脅威となる強大な機械文明を排除するため、人が集まり活気のある街や村、強大な機械を発見すると自動的に破壊する。そこには悪意も善意もなく、ただ「夢のザナルカンドを召喚し守り続ける」という意志だけが存在している。エボン寺院の一部はこの事を知っているが公にせず、単に機械を使っていたことが「シン」による破壊、すなわち「人々の罪に対する罰」の原因とだけ民衆に説いてきた。この「人間が犯した罪」とは何なのか具体的には明らかにされていない(寺院側が意図的に曖昧化している)。終盤ではティーダたちによって「シン」は撃墜し、ベベルに向けて落下。「シン」は「夢のザナルカンド」とスピラを自由に行き来することができる。肉体が幻光虫で構成された存在ならば、「シン」に乗って「夢のザナルカンド」とスピラを行き来することができるので、ジェクト親子とアーロンはこの方法でスピラへとやってきた。エボン寺院が「シン」を倒せるただ一つの方法として民衆に説いている秘法。基本的な仕組みは一般の召喚と同じだが、その発動のためには召喚士と祈り子の間に強い絆が必要であり、絆を持たない者達では、呼び出すことは出来ても本領は発揮できない。エボンの教えでは、ユウナレスカはゼイオンと協力して行った究極召喚により初代「シン」を倒したとされているが、正しくはユウナレスカが自分と強い絆を持つゼイオンを究極召喚獣の祈り子としたのである。召喚士がガードを連れて寺院を巡り修練を積む旅も、ガードとの間に強い絆を作り、ザナルカンド遺跡でそのガードを究極召喚の祈り子にするためのもの。強い絆によって召喚士と同調した究極召喚獣は、幻光体を分解する力を得、「シン」を形作る幻光虫を分解する。しかし、エボン=ジュはその途端、当の究極召喚獣に乗り移って新たな「シン」に作り変え、究極召喚獣と同調していた召喚士はその衝撃に耐え切れず命を失うこととなる(つまり召喚士が死に至る直接的な原因は、究極召喚そのものではなくエボン=ジュにある)。よって究極召喚は、「シン」を倒すと同時に新たな「シン」を招くものであり、「シン」(正確にはエボン=ジュ)を倒すことはできない。スピラの民や召喚士たちにはこのことは知らされておらず、寺院関係者でも完全な形で知っている者はほとんどいない。究極召喚獣として現存している唯一の例であるアニマは、絆の持ち主であるシーモア以外の者が「シン」に使用しても分解能力は発動せず、あるいはシーモア当人が意図的に絆の力を使用しなければ、通常の召喚魔法として使うことが可能である(前者はユウナやベルゲミーネが使う場合、後者はルカでシーモアが呼んだ場合やティーダたちとシーモアが初めて戦う場合が該当する)。これらの場合においては、「シン」を分解する力を発揮することもなく、召喚した者が落命することもない。アニマの固有技の「ペイン」は究極召喚獣としての分解能力の一端である。本作にはヒトと呼ばれる、いわゆる普通の人間の他に、以下の亜人種が登場する。スピラには1つの大きな大陸といくつかの島が存在する。以下、ザナルカンドを南下する順で各地を説明する。ブリッツボールは本作の世界において最も愛好家の多いスポーツである。スフィアプールと呼ばれる球形のプールで、6人からなる2つのチームが得点を争う。選手達のぶつかり合いも激しく、水中格闘球技の異名を持つ。詳細についてはブリッツボールを参照のこと。ゲーム中ではルカに着いた時にイベントとして発生する(イベントバトルの勝敗でその後のイベントにちょっとした違いが生じる)他、このイベント以降ごく一部の時点を除きいつでもプレイすることが可能。各キャラクターには60あるアビリティのうちどれを覚えることができるか、また覚えるためにどのアビリティを獲得する必要があるか(各キャラクター毎に3つのキーアビリティが設定されており、その中のどれを習得する必要があるか)が設定されている。ティーダが属するビサイド・オーラカに限り、世界各地にいるプレイヤーをスカウトして自軍の戦力とすることが可能。アビリティは試合中に相手チームがそのアビリティを使う瞬間にその動きを習得するか、リーグ戦およびトーナメント戦の賞品として獲得する。習得できるアビリティの数が一番多いのはティーダ(専用アビリティ2つを含む59)で、その後ワッカ(専用アビリティ1個を含む58)・ジュマルおよびキーリカ・ビーストのメンバー全員(ティーダ及びワッカの専用アビリティを除く57のアビリティを習得できる)と続く。テクニックを憶えるまではハードルがやや高く、本編やバトルとは独立した相当のやり込み要素となっている。ワッカの七曜の武器を最終段階まで強化するためにはブリッツボールを数十回と繰り返さなければならない。本作のスピラでは、以下に挙げる6つのチームが登場する。物語では「ザナルカンド・エイブス」と「ザナルカンド・ダグルス」という2つのチームが夢のザナルカンドに存在することが語られている。しかし、このチームが過去に実際存在したものなのか、それとも架空の「夢」なのかは明らかになっていない。ブリッツボールは、大召喚士オハランドがかつてその選手であったことや、民衆の目を「シン」から背けさせることができるなどの理由から、寺院が公認する唯一の娯楽となっている。普段差別を受けるアルベド族もブリッツのみは他の人種と同様に独立したチームとして参加しており、ブリッツボールはスピラ全土が一丸となって熱狂することのできる唯一の場であると言える。本作は、FFシリーズとしては初のPS2向けソフトであり、最大の売りがフルボイスや綺麗な音楽、ストーリー中に挿入される高精細ムービーであった。2001年1月に発売された『鬼武者』に続くミリオンセラーであり、初のダブルミリオンを達成したソフトである。『ファミ通』の「読者が選ぶ心に残るベストゲーム100」では他のFFシリーズ作品やドラゴンクエストシリーズなどを抑え1位を獲得した。ファミ通1000号記念特集で行われた「読者が選ぶ 未来に伝えたいゲーム」では『スーパーマリオブラザーズ』、『ファイナルファンタジーVII』、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』に次いで4位を、発売から10年以上経った2011年12月にも「泣けるゲームソフト20選」で1位を獲得した。HDリマスター版の発売に合わせ、Blu-ray Disc Music (BDM)仕様となっており、楽曲を聴きながら設定画などを観ることができる。また、上記のサウンドトラックでは収録されなかった曲(ルカシアターでは聴ける)が3曲収録されている(トラック92〜94)ほか、ボーナストラックとして、続編であるFFX-2の曲も一部収録されている(トラック95〜)。なお、曲名に (Arranged)を付しているものは、HDリマスターにあたってリアレンジされたものである。ゲーム本編には描かれない、ザナルカンド遺跡でユウナレスカを倒した後の各メインキャラクターの心境を表した一人語り(あるいは対話)と、それぞれの歌(いわゆるキャラクターソング)で構成されているアルバム。モノローグの随所に挿入されている効果音からもわかるように、場所は飛空挺である。だがメインキャラクターの中でもルールーのソロ曲は存在せず、キマリは対話のみの参加で歌を歌っていない。アーロンも歌の扱いになっているものの、実際は詩の朗読である。現在このアルバムはデジキューブの倒産に伴い、廃盤になっている。2つあるISBN番号は前者はデジキューブから発売されていた物、後者はスクウェア・エニックスから再版された時の物。
出典:wikipedia