『ONCE ダブリンの街角で』(ワンス ダブリンのまちかどで、原題: "Once")は、2007年公開のジョン・カーニー脚本および監督のアイルランドの音楽映画。アイルランドのダブリンを舞台に、自然主義俳優およびミュージシャンのグレン・ハンサードとマルケタ・イルグロヴァが演じている。映画撮影以前より2人は「ザ・スウェル・シーズン」の名で音楽活動をしており、映画のオリジナル曲全ての作曲および演奏を行った。映画製作中の約6ヶ月間、アイルランド映画局の最高責任者が不在だったため、部下の裁量ではおよそ€112,000という低い予算しか組めなかった。制作費は€130,000(米ドル150,000)だったが映画は成功をおさめ、アメリカの映画館各館の平均興行収入を越えた.。好評を得て2007年のインディペンデント・スピリット賞の外国映画賞を受賞した。ハンサードとイルグロヴァの曲『"Falling Slowly" 』は第80回アカデミー賞歌曲賞を受賞し、サウンドトラックはグラミー賞にノミネートされた。アイルランドの首都ダブリンを舞台に、ストリートで出会った地元の男とチェコ系移民の女が音楽を通して心を通わせていくラブストーリー。全米では2館からの公開だったが、その後口コミで話題になり、140館まで劇場数を増やした。サウンドトラックは全米チャートで2位を獲得。ふたりをつなぐ、愛より強いメロディ人生でたった一度、心が通じる相手に出会えたら…ストリートから始まるラブストーリーダブリンのストリート・ミュージシャンである30代の"男"(グレン・ハンサード)は商店街であるグラフトン通りでギターの弾き語りをしているがなかなか成功に結びつかない。いきなりギターケースを盗まれそうになる。"男"の音楽に惹かれ、チェコからの移民である花売りの"女"(マルケタ・イルグロヴァ)が曲や恋人について彼に話しかける。他人の曲は昼、自分の曲は夜演奏するという。"男"が音楽活動の他にフーヴァー(掃除機メーカーであるがイギリスとアイルランドでは掃除機の総称となっている)の修理をしていると聞いて喜び、"女"は壊れた掃除機の修理を依頼する。翌日"女"は掃除機を持ってやって来て、チェコでオケのバイオリニストだった父が関節炎になって自殺、"女"もミュージシャンであることを"男"に話す。彼女が定期的にピアノを借りている楽器店へ行き、"男"は"女"に"Falling Slowly"を教え、一緒に演奏する。"男"は父親が経営する店で不調の掃除機を修理するため"女"とバスに乗り、曲についての"女"の質問に対し、長年交際した女性が"男"を騙して出て行ったことを音楽に乗せて答える("Broken Hearted Hoover Fixer Sucker Guy" )。お店で"女"は"男"の父親(ビル・ホドネット)に会う。"男"は"女"を2階の自室に誘うが、"男"が泊まっていってほしいと言うと"女"は怒って出て行く。翌日仲直りをし、1週間以内に共に作曲、練習、レコーディングを行うこととなる。"女"は"男"の曲の1つに作詞をして"If You Want Me"と名付ける。"女"は道を歩きながら、あるいは即興でそれぞれが演奏するパーティなどで歌い練習する("Gold"他)。父親が掃除機を直し、2階で泊まっていかないかといって拒否される。花売りをしている"女"に謝って付いて行くと子どもと親が同居。父親はチェコだという。"男"が帰ってからもらったCDを聴く。"男"はロンドンへ行った元彼女(マルチェラ・ブランケット)のことを思い返し、「変っていく君に追いつけない」という"Lies"という曲を作曲する。"女"は"男"に彼女を取り戻すよう応援する。"女"は"男"を自宅での夕食に招待し、"男"は彼女に娘がいて、"女"の母親(ダヌシュ・クトレストヴァ)と暮らしていることを知る。彼はロンドンへ向かうことを決心し、デモテープを持っていくために"女"に共にレコーディングしてくれることを頼む。スタジオは週末は3000ユーロというのを"女"が2000に負けさせる。銀行の変った融資係から借金する。パーティに行くと、みんな歌を歌う。父親のバイクで海を見に行き、"男"が"女"に別居中の夫を今も愛しているのか尋ねると、"女"はチェコ語で「"Miluju tebe" 」と答えるが、はにかみながら今何と言ったのか訳すのを拒否する(映画内では訳は出てこないが、チェコ語で「私が愛しているのはあなたよ」)。他のストリート・ミュージシャン(ゲラルド・ヘンドリック、アラスター・フォーリー、ヒュー・ウォルシュ)をバンドに迎え、レコーディングに向かう。彼らは1曲目"When Your Mind's Made Up" を演奏するとすぐに、小バカにしていたエンジニアのエイモン(ゲオフ・ミノゲ)に好印象を与える。明け方、10分の休憩中に"女"は他のあいているスタジオにピアノを見つけ、"女"が作曲した曲を"男"に弾いて聴かせる("The Hill")。彼は彼女にロンドンへの同行を頼み、彼女は冗談でこれに応じて夢物語を語るが、現実に戻る。一晩中続いたセッションが終わり、「カー・テス」(大音量ではなく車のステレオでチェック)で海岸へ。"男"が"女"の家の近所まで送ると、"女"は夫がダブリンに来て同居することを明かす。"男"はダブリンでの最後の夜を彼女と過ごしたいと語る。"女"は最後はいちゃいちゃすることになるかもしれないがそれは良くないアイデア(hanky-panky)だと語る。しかし"男"が困惑したため"女"は最終的に承諾する。"女"はこの約束をすっぽかし、"男"は離陸前に別れを告げるために"女"を探すが見つけることができない。"男"が父親にデモテープを聴かせると、父親は"男"のロンドンへの移住を経済的に支援してくれる。空港に行く前、"男"は"女"のためにチェコ製ピアノのペトロフを購入して自宅に届けさせる。その後、元彼女に電話をすると、元彼女は彼の到着を喜ぶ。"女"の夫("Senan Haugh" )がダブリンに引っ越してきて同居を開始する。※括弧内は日本語吹替主演であるハンサードとイルグロヴァの2人は共にプロのミュージシャンである。ハンサードのバンドであるザ・フレイムズの元ベース奏者であったカーニー監督はストリート・ミュージシャンの話を映画化およびサウンドトラックの作曲を長年の友人であるハンサードに依頼し続けていたが、主演を俳優になる以前にロック・ミュージシャンとして契約しようとしていたキリアン・マーフィーを起用するつもりでいた。またマーフィはこの映画のプロデューサーの1人となる予定であった。しかしマーフィは当時17歳で芝居経験のないイルグロヴァの相手役になること、ハンサード作曲の音程が急に高低する曲を大声で歌うことに不安があったため降板し、同時に他のプロデューサー達も経済的理由により降板した。カーニー監督は1991年にダブリンのソウルミュージックのコピーバンドについてのアンサンブル映画『ザ・コミットメンツ』でギター奏者のアウトスパン・フォスター役を演じただけの作曲家であるハンサードに白羽の矢を立てた。当初ハンサードは気が進まず、うまく演じる自信がなかったが、映画全体に関わること、低予算に合わせることを条件に承諾した。低いながらも予算の約75%はアイルランド映画局"Bord Scannán na hÉireann" から出資され、残りの一部はカーニー監督のポケットマネーからまかなった。カーニー監督は自身の給料を主演2名に与え、もし映画が成功したら利益を皆に配分する約束をした。17日間、最小限度の人数で撮影され、コスト削減のために自然光や友人達の家を使用した。歌い継ぐパーティのシーンはハンサード自身のアパートで撮影され、ハンサードの実際の友人がパーティ参加者および演奏者として出演し、ハンサードの母親キャサリン・ハンサードがソロの歌声を披露した。ダブリンの通りでのシーンは許可なく、望遠レンズで撮影され、多くの通行人は映画撮影中であることを知らされていない。望遠レンズはほぼ演技未経験の主演者達にカメラがあることを忘れさせてリラックスさせ、いくつかの台詞はアドリブであった。撮影中、カーニー監督はロマンスを予見し、ハンサードとイルグロヴァをボガートとバコールと呼んだ。ハンサードとイルグロヴァは実生活でも交際を始め、北米で共に映画の宣伝活動をして回り、ハンサードのアパートで同居していた。『エンターテイメント・ウィークリー』誌から引用: その後ハンサードはこの交際が終わったことを明かした。「もちろん、私達はお互いの腕の中に飛び込んだ。これは私達の友情においてとても重要な部分であるが、私はお互いに本当にこうなりたかったのではないと結論を出したのだと思う。それで私達は今は別々にいる。私達はただの、本当に良い友人である」。ハンサードとイルグロヴァは映画のストーリー上でも結ばれなかったことに本当に満足している。インタビューでハンサードは「アメリカの配給社が結末を変えて私達にキスをさせ、私は映画の宣伝活動に全くやる気をなくした」と語った。ハンサードは、イルグロヴァの役である"女"が字幕なしのチェコ語でアドリブで「いいえ、私はあなたを愛している」と言ったが、撮影中彼は役の"男"同様に彼女が何と言ったのかわからなかったと語った。ハンサードとイルグロヴァはインタビューで、今後俳優業を続けるつもりはないと語った。イルグロヴァは撮影中に緊張していたことについて「私は全く良い女優ではない」と語りOnce video interview with "stv.tv"、ハンサードは映画について「前向きに、別の人生を生きていく」と語るのみであった映画撮影終了後もハンサードとイルグロヴァは音楽を発表し、ザ・スウェル・シーズンとしてツアー公演を行っている。ハンサードとイルグロヴァは『シンプソンズ』のエピソード『"In the Name of the Grandfather" 』に登場した。この映画は同名ミュージカル『ONCE ダブリンの街角で』として舞台化された。2011年12月6日、ニューヨーク・シアター・ワークショップで開幕した。脚本はエンダ・ウォルシュ、演出はジョン・ティファニーが担当した。2012年2月、このミュージカルはブロードウエイへ進出し、バーナード・B・ジェイコブズ・シアターで上演された。2012年2月28日からプレヴュウ公演が行われ、2012年3月18日に正式に開幕した。ジョン・ティファニーの演出により、"男"役はスティーヴ・カジー、"女"役はクリスティン・ミリオティ、舞台および衣装はボブ・クロウリーが担当することとなった。音楽は映画使用曲に2曲が追加され、出演者が演奏も行う。このミュージカルは開幕後概ね好評を得た。開幕以降このミュージカルは"The Outer Critics' Circle" 、"Drama League" 、"The New York Drama Critics' Circle" そしてトニー賞において最優秀ミュージカル作品賞を獲得している。ブロードウエイ公演はトニー賞においてミュージカル作品賞、ミュージカル主演男優賞(スティーヴ・カジー)、ミュージカル主演女優賞(クリスティン・ミリオティ)、ミュージカル助演女優賞(エリザベス・A・デイヴィス)、ミュージカル演出賞を含む11部門でノミネートされた。2012年6月10日、作品賞、演出賞、脚本賞、主演男優賞を含む8部門で受賞した。2014年11月27日から12月14日までEXシアター六本木にてアメリカ・ツアー・プロダクションの来日公演。
出典:wikipedia
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