


状態空間(じょうたいくうかん、)あるいは状態空間表現(じょうたいくうかんひょうげん、)は、制御工学において、物理的システムを入力と出力と状態変数を使った一階連立微分方程式で表した数学的モデルである。入力、出力、状態は複数存在することが多いため、これらの変数はベクトルとして表され、行列形式で微分代数方程式を表す(力学系が線形で時不変の場合)。状態空間表現は時間領域の手法であり、これを使うと複数の入力と出力を持つシステムをコンパクトにモデル化でき、解析が容易になる。周波数領域では、formula_1 個の入力と formula_2 個の出力があるとき、システム全体を現すには formula_3 個のラプラス変換を書かなければならない。周波数領域の手法とは異なり、状態空間表現では、線形性と初期値がゼロという制限は存在しない。「状態空間」は、その次元軸が個々の状態変数に対応することから名づけられている。システムの状態はこの空間内のベクトルとして表現される。状態変数は、任意の時点でシステム全体の状態を表せるシステム変数群の最小の部分集合である。状態変数群は線形独立でなければならない。すなわち、ある状態変数を別の状態変数群の線形結合で表すことはできない。システムを表現するのに必要な状態変数の最小個数 formula_4 は、一般にそのシステムを定義する微分方程式の次数に等しい。システムが伝達関数形式で表されるとき、状態変数の最小個数は伝達関数を適切に約分したときの分母の次数に等しい。状態空間実現(state space realization)を伝達関数形式に変換することで、システムについての内部情報を失う可能性があるが、状態空間実現では不安定なはずなのに安定しているシステムを説明できることがある。電気回路では、状態変数の数は回路内のエネルギー蓄積部品(コンデンサやコイル)の個数と同じであることが多い(常にそうとは限らない)。formula_1 個の入力変数、formula_2 個の出力変数、formula_4 個の状態変数の状態空間表現の一般形は次のようになる。(t) = A(t) mathbf{x}(t) + B(t) mathbf{u}(t)ここで、(t) := {dmathbf{x}(t) over dt}.formula_9 を「状態ベクトル」、formula_10 を「出力ベクトル」、formula_11 を「入力(または制御)ベクトル」、formula_12 を「状態行列」、formula_13 を「入力行列」、formula_14 を「出力行列」、formula_15 を「直達行列」と呼ぶ。単純化するため、formula_15 は零行列とされることが多い。すなわち、システムには直達項(feedthrough term)が無いものとして扱う。なお、この一般形式では全ての行列は時変とみなされ、その要素は時と共に変化するものとされている。時変数 formula_17 は連続的(formula_18)でも離散的(formula_19)でもよい。後者の場合は時変数を formula_20 で表すことが多い。時変か時不変か、連続か離散かによって、状態空間モデルの表現は以下のように変化する。システムのさまざまな特性(可制御性、可観測性、安定性)は、行列 A、B、CとDに決められる。連続時不変状態空間モデルの伝達関数は、次のように導出できる。まず、次の式のラプラス変換を求める。次に formula_21 に着目すると次のように変形できる。これを使って、出力方程式の formula_21 を置き換える。となる。伝達関数 formula_23 はシステムの出力と入力の比であるから、次のようになる。従って、上で求めた formula_24 で置き換えれば formula_25 が約分され、次の式が得られる。式の中には、formula_26がformula_27 の行列式であり、formula_28がformula_27の余因子行列である。formula_23 は明らかに formula_2 formula_32formula_1 の次元を持ち、全体で formula_34 個の要素から成る。従って、個々の入力に対して formula_2 個の伝達関数があり、それぞれが個々の出力に対応している。そのため、複数入力/複数出力システムでは状態空間表現の方が好まれる。なお、formula_26は特性多項式と呼ばれる。その多項式の根(固有値)から、システムの伝達関数の極が得られる。それらの極を使って、そのシステムの安定性を解析できる。formula_37 の分子にあるゼロも同様に、システムが最小位相かどうかの判定に使うことができる。formula_38を計算するため、下記のアルゴリズムがある。その中には、または最後の等式は、前の演算の精度を検査することができる。プロパーな伝達関数(「厳密にプロパー」ではない)の実現も容易に得られる。その場合伝達関数を、厳密にプロパーな部分と定数部分という2つの部分に分割するというトリックを用いる。厳密にプロパーな伝達関数は上述した方法で正準状態空間実現に変換できる。定数の状態空間実現が formula_39 であることは明らかである。以上から、行列 "A
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。