民主的平和論(みんしゅてきへいわろん、)とは、民主国家は、他の民主国家とみなす相手に対しては戦争を避ける傾向がある、という国際関係論上の主張。イマヌエル・カントなどにより論じられた。この主張は国家による暴力を抑制する動機として、参戦論と対比させて平和理論とも呼ばれる。また複数の理論家は「民主国家相互の平和論」や、「民主国家間の不侵略の仮説」とも呼んでおり、民主国家自体が特に平和主義なのではないが、民主国家間では平和を持続させる事が容易である、と説明している。民主的平和論の概念の基本原則は、初期には哲学者のイマヌエル・カントや政治哲学者のトマス・ペインらの著作によって論じられたが、その理論が厳密あるいは科学的に研究されたのは1960年代以降である。カントは1795年の著作「永遠平和のために」でこの理論に触れたが、彼は世界の恒久平和のための必要条件の1つとして立憲共和制を考えた。彼の理論では、自衛を除けば人々の多数派は参戦には投票しない。更に、仮に全国家が共和制となれば、侵略は無くなるであろうから、戦争は無くなる。またトマス・ペインはカントよりも早く、共和制の平和的な特質について、同様にあるいは更に強く主張した。1776年の著作「コモン・センス」では、「ヨーロッパの共和国は全て、そして恐らく常に、平和である」と記した。彼は、君主は状況によっては名誉のために戦争を行うが、共和国は異なると論じた。民主国家は、男女普通選挙制、複数政党制、報道の自由などを基準にして決定する。ただし、マイケル・ドイルは、「200年間まったく民主国家同士が戦争をしなかった」ということを証明するために、時代によって民主国家の基準を変動させており、恣意的だという批判を受けている。また近代における植民地政策のように、民主政国家が自国より圧倒的に国力の劣るアジアアフリカ諸国に侵略をしかけておりあくまで民主的平和論とは欧米中心的な見方である。ブルース・ラセットは『パクス・デモクラティア』のなかで、敵対段階に以下のような基準と定義を設けている。ラセットは民主国家間では、戦争以下の敵対行動(威嚇や誇示や武力の使用)も少ないことを指摘している。民主国家はコミュニケーション技術を発達させることにより、国家間の軍事的緊張感、冷戦性を摩滅することができる。それは、相互威嚇によって軍事的緊張感を極限まで高めて戦争を強制的に防止する核抑止論とは本質的に異なっている。民主的平和論は、相互に高度な民主体制を構築できれば、軍事バランス論や勢力均衡論とも無関係に安全保障が成立するため、政治学における現実主義に対する批判材料のひとつとなっている。そのため、ヨーロッパのように大半の国が民主国家となった地域では、大規模な軍縮や防衛費の削減が可能となる。
出典:wikipedia
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