京阪6000系電車(けいはん6000けいでんしゃ)は、1983年(昭和58年)に登場した京阪電気鉄道の通勤形電車。112両が在籍し、現在の京阪電鉄で最大両数の系列である。架線電圧1500V昇圧前の1983年(昭和58年)に、昇圧に対応できない旧系列車両を置き換える目的で導入された。省エネルギー、快適性の向上も目指して設計されている。6001F(4両編成)が1983年3月2日に竣工し、同月17日に運行が開始された。当初は600Vで使用するために4両編成5本20両が支線でも運転されていた。1983年12月4日の1500V昇圧と同時に4両編成5本は中間車3両を組み込み7両化されたほか、新造の7両編成6本も同時に運用を開始した。1986年(昭和61年)10月、京都地下線(三条 - 東福寺間)工事の試運転車両搬入に伴う車両不足に対応して、6012編成が4両編成で導入された。この編成より、ブレーキが回生ブレーキ併用の全電気指令式ブレーキHRD-1Rから回生ブレーキ優先全電気指令式ブレーキHRDA-1に変更された。以後の京阪線の新造車はすべてHRDA-1になる。1987年(昭和62年)5月24日の京都地下線(三条 - 東福寺間)の完成に伴う6月1日のダイヤ改正から7両編成3本が8両化された。1989年に製造された6014編成の京都寄り3両はVVVFインバータ制御方式の長期試験車となった(残りの4両は界磁位相制御方式のまま)。その結果は同年に製造開始した7000系にも反映された。1993年、6014FのVVVFインバータ制御試験車の3両は、車両番号変更のうえ7000系に編入された。その代替に6000系として3両が7000系の車体をベースに界磁位相制御方式の機器を載せる形で製造されて、編成内の制御方式が統一された。そのため、2代目にあたる6014号車を含めた京都寄り3両は、前面形状と窓枠の形状が他の本系列と異なり、7000系と同一規格になっている。従来の車両設計にとらわれず、次世代の車両を目指し製造された。アルミ大型押出型材をはじめて採用し、一段下降方式のユニット窓で側面をすっきりとまとめた。車端側・扉間ともに2枚ずつとした窓配置の関係で、従来の3扉車に比べて車端部が長く、扉間は逆にやや短くなった。正面は他編成との併結をしないため非貫通とされ、前面窓を2分割するサイズの外開き非常扉を取り付けた大胆で斬新な設計となった。また前照灯も窓ガラスの内側、行先表示器や列車種別表示器の一角に配備するデザインとなった。現在の京阪電鉄車両の基本寸法(京津線・石山坂本線・鋼索線を除く)である連結面間隔500mm、車体長18,200mm、また一般車において、停車駅にてドアが開く際のみに行われる自動案内放送装置および戸閉め予告ブザー音は、本系列が京阪で初めて採用した。制御装置は2600系以来実績を重ねてきた複巻電動機+界磁位相制御で、主電動機はTDK-8135A(端子電圧375V、定格電流460A、分巻界磁電流65A、出力155kW、定格回転数1,580rpm)、主制御器はACRF-H8155-785A(直列15段、並列8段、弱め界磁無段階)である。最高時速は110(設計上は120)km/h、起動加速度は2.5km/h/sである(最高時速および加速度は後継車もほぼ同様である)。壁の化粧板を従来の薄緑色から茶色系のものに一新し、後継車や京阪線2400系および大津線600形以降の更新車に多大な影響を与えた。その後、検査入場の際、一部編成のカーテンが7200系以降と5000系で使われている灰色タイプのものに交換されており、2008年1月現在、6001・6002・6003・6004・6005・6007・6008・6011・6014編成で交換されている。2016年9月現在は12編成が8両編成、2編成が7両編成に組成されている。6500と6750には簡易運転台があり、密着自動連結器を装備しているため、車庫内で切り離しが可能である。他の車両間は棒連結器である。全編成、当初は4両編成または7両編成で登場しており、1987年以降順次8両化していった。第1編成 - 第5編成と第12編成は元来は4両編成であり、4両→7両→8両と増結されていった。第1編成 - 第5編成は昇圧前に登場したもので、全電動車の4両編成で暫定的に600V仕様で支線や各停運用していたものである。1500V昇圧後にT車3両を増結して7両化した。6012編成は、2M2T編成で登場しており、電動車ユニット間にT車を挟む組成であった。なお、8両化増結用車の連結位置は、第1編成 - 第11編成が京都寄りから5両目(6750形)、第12編成 - 第14編成が6両目(6550形)である。2003年秋のダイヤ改正後、7両編成が一時的に不足したため、6001編成から付随車を1両抜き取って暫定的に7両組成としたことがあったが、半年程度で8両編成に復帰した。2008年10月19日の中之島線開業に伴うダイヤ改正では、第1編成と第2編成が、2013年3月のダイヤ改正では第4編成が8両運用の減少と7両運用の増加に伴い中間車両1両(6551・6552・6554)を減車した7両組成となった。その後、2015年2月から5月までに7200系と9000系の一部の編成の7両化に伴い第2編成→第1編成→第4編成の順に再度8両化された。これにより約6年7ヶ月ぶりに全編成が8連となったが、同年8月より第3編成が6553を減車した7連となった他、2016年3月19日のダイヤ改定で第4編成も再び6554を外して7連化された。この場合は外された6550形は京阪部内では休車とは扱わずに「半端車」となる。車種構成の関係で、8両編成の場合T車(中間付随車)が4両連なる形になる(初代6014Fを除く)。同じ関西私鉄の阪急電鉄にも多く見られる編成形態であるが、京阪においては本系列から確立された。京都寄りの先頭車となる制御電動車。2両目の6100形とユニットを組む。主制御器・パンタグラフを2基搭載する。女性専用車両が設定される平日朝の特急運用についた際は当形式が女性専用車両になる。6014号車は当初VVVF試作車として製造され、後に7000系スタイルの2代目6014号を新造し、初代は7004となった。初代6014号車は1パンタ車であったため、他車との識別は容易であった。2代目6014は他車と同様に2パンタであるが、前面が垂直で側窓段差が少ないので他車とは形状が異なる。6001 - 6011が前期形車体、6012・6013が後期形車体、6014が7000系形車体である。京都側から2両目となる車両。京都寄り先頭車の6000形とユニットを組む中間電動車で、補助電源装置や空気圧縮機を搭載する。パンタグラフは搭載されていない。VVVF試作車だった時の6014編成に連結されていた初代6114は京都寄りから3両目に連結されており、また6100形で唯一パンタグラフを搭載していた。2代目6114は車体は7000系タイプだが、機器類は他の6100形と同様であり、パンタグラフはなく、京都側から2両目に連結されている。6101 - 6111が前期形、6112・6113は後期形、6114が7000系形車体である。京都側から3両目に連結される付随車で、空気圧縮機などの補助機器を搭載している。他の付随車に比べて床下機器が多い。VVVF試作車の編成に組み込まれていた初代6614は、京都側から2両目(6014と6114の間)に連結されていた。初代6614は前後の電動車とともに7000系に編入され、現在の6614は6014同様の7000系形車体の2代目車両である。京都側から4両目に連結される付随車で、大阪側に簡易運転台を有する。6501 - 6511が前期形、6512 - 6514は後期形車体である。付随車で、京都寄りに簡易運転台を有する。8両編成では京都側から5両目に連結される。前期形編成(6001F - 6011F)では当初は組み込まれず、8両化時に追加新造した。後期形(6012F・6013F・6014F)では7両組成時から当形式が連結されていた。製造順は 6751 - 6753 → 6763 → 6762 → 6764 → 6754 - 6758 → 6759 - 6761である。6754 - 6761が7000系車体、他の車両は後期形車体で、前期形車体の車両はない。組成位置の関係上、車両番号は50番台車(51 - 64)のみである。付随車。8両編成では京都側から6両目に連結される。正式には6500形に含まれているが、組成位置だけではなく簡易運転台の有無で機能が異なるため、本稿では50番台と区別する。4両目の6500形とは異なり、6550番台車には簡易運転台はない。その他の機器配置は共通である。前期形では7両組成時に新造され、最後の3編成では8両化用の増結車として新造されている。6551 - 6561が前期形、6562 - 6564は7000系車体で、後期形は存在しない。なお、第1編成・第2編成の6551・6552のみKW-50B形台車を装着している。これは事故で6000系先頭車の台車が破損した時に6551・6552の台車の台車にモーターを装備して先頭車に取り付けていち早く復帰させるため。なお現在までKW-50B台車が先頭車の補修に利用されたことはない。7000系車体の3両は8000系特急車から外されたFS-517C台車を装着している(8000系はFS-517Dへ取替え)。大阪側から2両目に連結される中間電動車。正式には6100形だが、機器構成が全く異なるため、本稿では便宜上別形式として記述している。主制御器とパンタグラフ2基を搭載しており、機器配置上は京都寄り先頭車の6000形を中間車にしたタイプである。6151 - 6161が前期形、6162 - 6164が後期形である。大阪寄り先頭車となる制御電動車。正式には6000形だが、機器構成が全く異なるため、便宜上京都寄り先頭車と区分して記述。補助電源装置、空気圧縮機を搭載しており、パンタグラフはない。すなわち、機器配置上は京都側から2両目の6100形と共通である。6051 - 6061が前期形、6062 - 6064が後期形車体である。製造時期によって、前期形・後期形・7000系車体形の3種類の車体が存在する。なお、本系列は全編成、製造時に4両編成または7両編成で登場し、後に8両化したため、同じタイプの車体で統一された編成は存在していない。1983年12月の1500V昇圧に際して廃車となった600系・1300系・1700系の置き換え用に製造された車両であり、77両(第1編成 - 第11編成、当時は7両編成)が該当する。1983年3月までに製造され暫定的に600V電圧仕様とされた20両とその後に製造された当初から1500V電圧仕様の57両とに分けられる。台車は電動車が円筒案内式のKW-50、付随車がSUミンデンのFS-517形を採用している。6551・6552はKW-50を付随車用にしたKW-50Bを使用している。これは事故で先頭車の台車が破損したときにKW-50Bにモーターを装備して先頭車を1日も早く復帰させるためである。後の車体と比較して側窓が車体より奥まっており、窓枠の段差が大きい。クーラーは、2600系の2621F・2622Fでの実用試験を元に、新造時に「三菱CU-197(10500キロカロリー)」クーラー3基を搭載したが、運用中に能力不足が分かり、容量アップのため2度交換され、現在は後期形(東芝RPU-3043)と同じ能力の「東芝RPU-3048(13000キロカロリー)」を搭載している。2度目の交換のときにはクーラーキセも交換されている。なお、最初の交換で取り外されたCU-197クーラー231基のうち、180基が1900系45両の冷房改造に、残り51基が1000系のクーラーの更新と容量アップに転用されている。また、2度目の交換で取り外された東芝RPU-3042(11500キロカロリー)クーラーは、大津線の80形の冷房改造、600形・700形の新造時に再使用されている。1983年3月に竣工して、同月17日より順次運用開始した。昇圧当日までの間の留置スペースが77両分確保できなかったことと乗務員習熟の必要から暫定的に600V電圧仕様として、昇圧前から営業運転を開始した。昇圧までの間、全車電動車の4両編成で運用され、1両4個のモーターのうち2個のみを使用し、回生ブレーキは無効状態とされた。1500V昇圧時に本来の回路に戻されるとともに、付随車3両を組み込み7両編成とされた。1983年4月から9月にかけて寝屋川車両工場に搬入され、同年12月4日の1500V昇圧と同時に運用が開始された。1次車の本来の仕様を持つ車両である。1500V電圧仕様ではあるが、架線電圧600Vでも時速60キロ程度で走行が可能なようにされていた。これは、メーカーから寝屋川車庫に搬入された後、留置のため淀車庫に自走回送するためであった。第12編成から、マイナーチェンジを受けた後期形となった。大きな相違点としては、ブレーキがHRD-1Rから省エネ効果の高いHRDA-1に変更、電動車の台車が軸梁式のKW66に変更、クーラーの容量がアップしキセの形状が変更され、側面ガラスが熱線吸収ガラスに変更された。5 - 6次車では側面方向幕の窓支持方式の変更も行われた。1986年10月30日に竣工して、同年11月28日より運用開始した。京都地下線の試運転用に2600系4両を地下に封じ込めたことによる車両不足分の補填である。当時の交野線の変電所容量の関係で、中間2両が付随車のために両方の先頭車からの制御回路やモーターへの引き通し線が付随車の床下に通っていた。1987年4月22 - 28日に竣工して、同年6月1日より運用開始した。1988年3月17日に竣工して、同月19日に運用開始した。1800系(2代目)7両を置き換えた。1989年3月13日に竣工して、同月15日に運用開始した。1989年2月1日に竣工して、同年3月1日に運用開始した。1800系(2代目)7両の廃車(全廃)にあわせて投入された。京都側の4両はVVVF試作車ユニットであり、VVVF電動車の台車はKW77であった。1989年の鴨東線開業後に増備された14両は7000系と同形態の車体を採用している。側窓が車体との段差が少なく、窓枠が細いタイプに変更されている。また、先頭部の形状も7000系同様に垂直になっているのが特徴である。1989年9月14 - 19日に竣工して、同月26日のダイヤ改正より運用開始した。1991年5月に竣工して、同月31日より運用開始した。ラッシュ時の輸送力強化による増備車両である。1992年9月に竣工して、1993年1月29日より運用開始した。8000系から振り替えられたFS-517C台車を装着する。1993年12月13日に竣工して、同月14日より運用開始した。VVVF試作車ユニットのうち初代の6014・6114・6614の3両は系列内の制御装置統一のため、7004編成建造時に7000系に編入された。この3両に代わって投入された2代目の6014・6114・6614も7000系車体を採用した。6014は先頭車唯一の7000系車体となっている。なお、6014・6114の台車はKW66である。沿線でのイベント、ひらかたパークでのイベントに併せてラッピングトレインとなっている。2008年5月から2011年11月にかけて新塗色への変更を実施した。2008年8月6日に新塗色1本目となる6008Fが登場し、8月9日から営業運転を開始した。2本目となる6006F(2009年5月13日)では、新塗色への変更と同時に、新デザインの座席モケットへの張り替えが実施され、その後他の系列へも波及した。と新塗色化され、6000系編成の一般車の原色(旧塗装)編成は休車の6551号車を除き消滅した。その6551号車も、6001Fが2013年8月から9月にかけて全般検査を終えて試運転時には新塗装の6551を含む8両で運行され、営業運転時には7両編成に戻されたが、2015年3月より8両編成化されている(2013年の試運転後も僅かな間ではあるが、一時的に6551を組んで8両編成で運用されていたことがある)。また、6008Fの座席更新も2012年春に実施された。2013年度より当系列のリニューアルが開始されている。内容は、内装の更新、車内案内装置の設置、車椅子スペースの設置、制御機器の改修となっている。全編成の施工完了は2021年度を予定している。第一陣として2014年9月5日、6011Fがリニューアルされ営業運転に復帰した。なお、未更新車にも一部座席の張替や前照灯のLED化が施行されている。※のある編成は7連で運用中。京阪本線七条駅-三条駅地下化工事完成と、樟葉駅以東(以北)の急行停車駅のプラットホームが8両編成対応に延伸されたのに伴い、1987年6月1日のダイヤ改正から全線通して運転される急行の8両編成運用が可能となったことから、これに合わせて1両を増結した8両編成が3編成組成された。その後もさらに増備を続けて8両編成14本112両の総数となった。2600系0番台の老朽廃車が生じたため、現在は本系列が京阪電鉄で最大両数である。2003年9月ダイヤ改正前は急行から普通列車が主な運用の場であった。2003年9月以降は昼間に関しては普通(淀屋橋 - 萱島)と準急、急行(淀屋橋 - 枚方市)のみに限定運用されていたために京都口には特急運用以外で入ることはなかった。また、当時は限定運用を組んでおり、予備車も存在していなかった9000系の検査時には特定の便の代走に就くことがあり、この時期には午後以降の時間帯にも上下とも2時間に1本の割合で本系列または7200系による特急の運用が見られた。2006年ダイヤ改正以後、中之島線開業までは土曜・日曜の朝間夕方は特急・急行による15分ヘッドダイヤに変更されたため、土休日に関しては本系列で運用される京阪間直通急行も一部設定されていた。また昼間は淀屋橋 - 枚方市間の急行(準急)を中心に運用されていた。2008年ダイヤ改正以降は中之島線にも乗り入れを行い、一部の快速急行や通勤快急にも使用されている。またラッシュ時・夜間の特急にも充当されている。8両編成は2016年3月19日のダイヤ改正以降、昼間時間帯は原則として中之島 - 萱島・枚方市間の普通の運用または淀屋橋 - 出町柳間の快速急行(土休日ダイヤ)に就いているが、8000系や3000系(2代)が検査など運用上の都合により、昼間時の特急に代走運用されることがある。なお、過去には平日を中心に昼間時の枚方市折返し特急(2008年10月19日のダイヤ改定より2011年5月28日のダイヤ改定まで)にも運用されていた(8両編成のみ)。京阪電車では、現在多数の形式でのヘッドライトのLED化を行っており、前述のとおりこの形式でのヘッドライトのLED化はリニューアルを通して行われているが、2015年12月21日より6006Fではリニューアルを行わない状態でヘッドライトがLED化された。外観、技術、内装等の面において従来の京阪通勤車の概念を覆したことで、鉄道関係者などから「もはや、車体色だけが京阪電車であることをかろうじて物語っている」とさえ言われたほどのインパクトを与えた。1984年に鉄道友の会より京阪車両史上初のローレル賞を受賞している。当時、車両担当の役員だった宮下稔(のち社長)は、設計に際して「3000系特急車の時には果たせなかったので、今度の6000系新造車ではぜひブルーリボン賞か、ローレル賞を取りたい」と当時の社長の青木精太郎に意欲を示し、それを実現させることになった。
出典:wikipedia
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