根本的な帰属の誤り(こんぽんてきなきぞくのあやまり、)は、個人の行動を説明するにあたって、気質的または個性的な面を重視しすぎて、状況的な面を軽視しすぎる傾向を言う。対応バイアス(たいおうバイアス、)とも。すなわち、人間は人の行動を根拠なくその人の「種類」によって決定されていると見る傾向があり、社会的かつ状況的な影響を軽視する傾向がある。また、自身の行動については逆の見方をする傾向がある。この矛盾を「行為者-観察者バイアス(Actor-Observer bias)」と呼ぶ。この用語は、Edward E. Jones と Victor Harris の古典となった実験の数年後、Lee Ross が名づけたものである。Ross は「根本的な帰属の誤り」を社会心理学の根底を成す概念であるとした。Jones は Ross の用語について「過度に挑発的で多少誤解を招いている」と書き、また冗談で「私が最初に思いつきたかった」とも書いている。さらに後の心理学者である Daniel Gilbert らが「対応バイアス」という用語を同じ意味で使い始めた。Malcom Gladwell は、根本的な帰属の誤りについてもの柔らかな定義をした。彼はそれを、測定された特徴から無関係な特徴への外挿であると定義した。彼が上げた例は「時間に正確な学生が、クラスに毎回出席するかとか、彼の部屋や服装がきちんとしているかには何の関係もないことを示した研究」である。この定義は動機付けの比較というよりも行動の比較を基礎としており、Gladwell は人間の本質という複雑な問題を避けた。Edward E. Jones と Keith Davis の初期の理論に基づき、Jones と Harris は、行動を強く規定するような要因があるときでさえ、行動を促進するような特性を推論する傾向がある。この仮説は、基本的な帰属の誤りによって否定された。実験対象者は、フィデル・カストロに関する賛成派と反対派の文章を読む。実験対象者はカストロびいきの作者の態度を評価するよう依頼される。実験対象者がその作者が自身の思想に忠実にその文章を書いたと信じている場合、そのような文章を書くのは当然として自然な評価をした(作者の気質に帰属させた)。しかし、Jones と Harris の仮説に反して、作者はコイントスでどちらの立場で文章を書くかを決めたのだと教えられても、評価は変わらなかった。つまり、実験対象者は作者が置かれた状況的制限の影響を認めることができず、誠実な信念を作者に帰することを抑えられなかった根本的な帰属の誤りがなぜ起きるかを説明する定説は存在しない。1つの仮説は、誤りが主に視点に起因しているとする。我々が他者を観察するとき、観察対象者が第一の参照点となる。我々が自分自身を観察するとき、我々は焦点が自分にあることを意識する。従って、他者の行動の帰属は、我々が気づかない可能性のある状況の力ではなく、対象としている人そのものに集中すると考えられる。心理学ではこれを「顕現性(salience)」と呼ぶ。ある要因の顕現性が強いほど、行動をその要因に帰する可能性が高くなる。もう1つ考えられる要因として、個人対共同体に関する文化的バイアスがある。個人を強調する西洋の文化ではこの誤りの影響が強く、日本や東アジア諸国などの協調的文化ではそれほど強くないと考えられる。根本的な帰属の誤りの影響を低減する技法はいくつか発見されている。
出典:wikipedia
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