『なでしこ』("Die Nelke")は、『グリム童話』に収録されている童話の一編(KHM76)。二話あり、第二話は第七版までには削除される。初版に収録されているのは第二話の方で、その後の版で第一話に差し替えられる。第一話と第二話は、細部の設定が異なる、物語の大筋は共通している。人間を何でも別の物体に変える力を持った王子が、女の子をなでしこの花に変えて、ポケットに入れて持ち帰り、王様の前で元に戻して結婚するというのが共通のあらすじである。物語の題名になっている「なでしこ」とは本当の花のことではなく、人間の女の子が姿を変えられたもの。あるところに、子供のいないお妃がいた。お妃は子どもが授かりますようにと毎日神様にお願いしていると、神様の遣いが現れ「何でも願いがかなう力を持った男の子を授かりますよ」と告げた。やがてお告げの通り、お妃に男の子が産まれた。ある日、庭で王子とお妃が寝ていると、料理番がやってきて、王子を盗んでいった。そして王様に、お妃が王子を獣に取られたと訴えた。王様は腹を立て、お妃を塔に閉じ込めてしまった。お妃は食べ物もなく死ぬのを待つばかりだったが、神様が天使を白い鳩の姿で遣わして食べ物を運んでくれた。王子が口を利けるくらいに成長すると、料理番は王子に立派な御殿を願わせた。すると王子の願いどおりの御殿が現れた。さらに遊び相手の美しい女の子を願わせると、どんな画家でも描けないほどの美しい女の子が現れた。王子と女の子は仲良くなったが、料理番は王子が本当の両親のところに帰りたがることを怖れ、女の子に王子を殺すように命令し、さもなくば女の子の命はないと脅した。しかし女の子は王子を殺さず鹿の心臓と舌をさらに乗せ、ベッドに王子を隠した。料理番がやってくると、王子がベッドから出てきて、料理番を黒犬にしてしまった。王子は両親のいる城へ戻ることにした。女の子は見知らぬ土地に行くのを不安がり、一緒に行くのを断った。しかしそれは女の子の本心ではなく、本当は女の子は王子と離れたくないと思っており、王子も女の子と離れたくなかった。お互いに離れられないので、王子は女の子がなでしこの花に変わるように願い、その花を肌身離さず持っていることにした。王子はなでしこの花をポケットに入れ、黒犬を連れて旅に出た。やがて城にたどりついた王子は、狩人を装って王様に奉公することになった。翌日、王子はパーティーの最中に「私はお妃の息子です。私を攫ったのはこの男です」と、王様の前に黒犬を連れてきて、元の料理番に戻した。料理番は牢屋に放り込まれた。王子は、命を懸けて自分を助けてくれた女の子を王様に紹介することにした。王子は「まずはその女の子を花の姿でお見せします」と言ってポケットからなでしこの花を取り出し、王様の食卓の上に立てかけた。その花は今まで王様が見たこともないほど美しいなでしこだった。続いて「彼女の本当の姿をお見せします」と言い、なでしこの花が元の女の子に戻るようにと願うと、そこにあらわれたのは女の子の立ち姿で、その美しさはどんな画家でも描けないほどであった。王様は喜びお妃は塔から出されたが、三日の後に亡くなり、その悲しみで王様も亡くなった。王子は花の形にしてポケットに入れてきた女の子をお嫁にして、幸せに暮らした。ある国で王子が生まれた。王様は最初に会った者を名付け親にすると決め、乞食のような老人に名付け親を頼んだ。老人は、教会で子供と2人だけにすること、教会には誰も入れないことを条件に名づけ親になることを承諾した。老人は王子に「彼の望みは何でも叶うようになる」と言って祝福をした。このとき、王様に仕えていた性格の悪い庭師が教会へ忍び込み、その様子を見ていた。後日、庭師は王妃が王子を抱いて城の庭を散歩しているところを襲い、王妃の口に鶏の血を塗って王子を誘拐した。王様に対して庭師は「王妃が王子を食べるところを見た」と嘘を付いた。怒った王様は、王妃を牢屋へ入れてしまった。庭師は誘拐した王子を、森に住む知り合いの森番に預けた。森番に預けられた王子は、狩りの技術を学んだ。森番にはリーゼという名前の美しい一人娘がいて、王子と大の仲良しになった。数年後、成長した王子は立派な狩人になり、美しい少女に成長したリーゼと両想いになっていた。リーゼは森番である父から王子の出自と「何でも願いが叶う」という秘密を聞かされていたので、あるとき王子にそれを教えてあげた。王子が自分の秘密を知ってから間もなく、例の庭師が森番のところへやってきた。王子は庭師を見つけると「庭師がむく犬になるように」と願った。すぐに願いは叶えられ、庭師はむく犬になってしまった。王子は今度はリーゼをつかまえて「リーゼはなでしこの花に変わるように」と願った。リーゼもたちまち人間ではなくなり、王子が願ったとおり、なでしこの花に変わってしまった。王子はその花を上衣のポケットに入れて城へ向かった。城に辿り着いた王子は自身の正体を明かさず、狩人として王様に仕官した。王子が願うだけで獲物の方からやってくるので、王子はすぐに城にいる狩人達を追い抜き、たちまち王様から厚い信頼を得てしまった。しかし王子は王様からの給金も食事も断り、代わりに自分一人で過ごせる小さな部屋だけを貰うのだった。あるとき、面白くない狩人の1人が何かあるに違いないと王子の部屋を盗み見ると、王子は豪華な食事をとり、美しい少女と話している。この食事は王子が食卓へ祈り出しただけのものであり、少女というのは仲良しのリーゼであった。王子は自分が部屋に一人きりのときは、いつでもリーゼを生まれつきの形にかえしてやり、一緒に過ごしていた。しかし外に出かけるときはリーゼを人間のままにはしておかず、またなでしこの花に変えて、水の入ったコップに入れて、窓の近くに置いておくのだった。そのためリーゼは一日の大半を動けない花の姿で過ごさなければならなかった。あるとき、狩人が王子が留守の時に部屋に忍び込んで部屋の中を調べた。しかし部屋には金貨一枚無く、コップに入れられたなでしこの花が一輪、窓際に置いてあるだけだった。狩人はなでしこの花を調べたが、特に変わった様子はない。ただ、なでしこの花がとても美しかったので、花の正体を知らない狩人は花を盗み出して、王様に差し出してしまった。王様は、このなでしこの花を気に入り、王子に欲しいと頼んだ。しかしこの花は大事な大事なリーゼであるため、王子は「どんな命令にも従うがこの花だけは差し上げられない」と答えた。それでも欲しいと王様が答えるので、王子は仕方なく自らの正体を明かし、王様の目の前でリーゼを元の人間に戻してみせた。王様は大変喜ぶと、王妃を牢屋から出し、王子を後継として迎えた。真心を貫いたリーゼは再び人間としての生活を取り戻し、王子と結婚して幸せな暮らしを送った。一方、むく犬に変えられた庭師は、城の下働きたちに蹴られる一生を送った。
出典:wikipedia
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