ムペンバ効果 (ムペンバこうか、) は、特定の状況下では高温の水の方が低温の水よりも短時間で凍ることがあるという物理学上の主張。必ず短時間で凍るわけではないとされる。1963年の当時、タンザニアの中学生であったエラスト・B・ムペンバ (Erasto B. Mpemba) が発見したとされるが、古くはアリストテレスやフランシス・ベーコン、ルネ・デカルトなど近世の科学者が気付いていた可能性がある。科学雑誌「ニュー・サイエンティスト」はこの現象を確認したい場合、効果が最大化されるよう摂氏35度の水と摂氏5度の水で実験を行うことを推奨している。ムペンバ効果はタンザニアの高校生、エラスト・B・ムペンバ (Erasto B. Mpemba) が「発見」したとされる。ムペンバはマガンバ中学校の3年次当時の1963年に初めてこの現象に出くわしたという。ムペンバは調理の授業中、アイスクリームミックスを熱いまま凍らせたところ冷ましてから凍らせたものよりも先に凍ることに気付いたとされる。その後ムペンバはイリンガのムカワ高校に進学した。ムカワ高校では校長がダルエスサラームにある大学からデニス・G・オズボーン博士を招き、物理学の講演が行われた。講演終了後、ムペンバは「同じ体積の35度の水と100度のお湯を冷凍庫に入れたら、100度のお湯が先に凍りました。なぜでしょうか?」と、クラスメイトからは嘲笑の的にされるだけだった質問をしてみた。当初オズボーン博士は半信半疑だったもののムペンバの発見を検証し、ムペンバとともに1969年に研究結果をまとめ出版した。なおムペンバは2008年現在国際連合食糧農業機関 (FAO) の「アフリカ森林および野生動物委員会」で働いている。古代のアリストテレスやフランシス・ベーコン、ルネ・デカルトなど近世の科学者が気付いていた可能性がある。アリストテレスは彼がと呼んだ「ある性質の強度は、相反する性質に取り囲まれた結果として増強されうる」という (誤った) 特性によるものとした。科学ライターのフィリップ・ボールは、2006年に雑誌に寄稿した記事中で「問題は、この現象を効率よく再現するのが非常に難しいことにある。現象が現れることもあるし、現れないこともある。そして、もしムペンバ効果が真実である、すなわち高温の水が低温の水よりも速く凍結するとしても、現象の解釈がありきたりなものになるか素晴らしい発見となるかは明らかではない」とした。ムペンバ効果が起こる環境下ではさまざまな要素が関わっているものと考えられる。冷却の過程にある水の状態を温度という単一のパラメーターで記述してよいかどうか、という問題も存在する。より正確な記述のためには水における温度分布を考える必要がある。モンウェア・ジェン (Monwhea Jeng) はこの問題に関して「解析は大変複雑になる。なぜなら我々は温度という単一のパラメーターではなく温度場を考えることになり、さらに解析に必要な数値流体力学が非常に込み入っているからである」と書いた。この効果は熱伝導の問題であり、連続体力学に基づいた輸送現象の観点からの研究が適している。熱輸送を偏微分方程式で解析する場合、系の挙動を記述するためには水の平均温度など少数のパラメーターを与えるだけでは一般には不十分である。系の幾何学的な詳細や流体の特性、温度場や流れ場などといった多様な条件が系の挙動に極めて複雑に影響を与えうるからである。単純化された熱力学のみに基づいて分析する限りムペンバ効果は直感に反するように思われるが、このことは物理学の問題へのアプローチに際して適切な変数を全て考慮して最も適した理論的道具立てを用いることの必要性を例証している。NHKの科学情報番組『ためしてガッテン』の2008年7月9日の放送でムペンバ効果が取り上げられ、翌7月10日付のYahoo!JAPAN 検索ランキングで「ムペンバ効果」が21位にランクインした。これに対し、アメリカ在住で放映を見なかった物理学者の大槻義彦は、読者のメールに応える形で自身のブログで「熱力学の基本法則からありえない」と批判している。大槻は、その後自宅でごく簡単な実験を行い、NHKが間違っていると結論している。ただし、蒸発熱の効果を相対的に高める極端な容器形状を選択 (板にお湯を垂らす) したケースのみ、それらしい現象が再現されたとしている。Jcastニュースは、ムペンバ効果について何人かの専門家に伺ったところ、そのような現象を知っている人はいなかったという。ただし、京都大学教授の小貫明は、「お湯の場合、蒸発すると冷える潜熱があることと、水と空気の対流によって熱が運ばれたのかもしれません。即断はできませんが、何か理由があるのでは」と「効果があらわれる可能性」を示唆している。2009年10月、日本雪氷学会において、雪氷研究会企画セッションとして「ムペンバ現象 (湯と水凍結逆転現象) のサイエンス」が開催された。。2009年10月、日本雪氷学会の雪氷研究大会において、「ムペンバ現象研究会」が、「ムペンバ効果」という名称は不適切であると主張している。同会いわく、ムペンバ効果の名の由来であるエラスト・B・ムペンバは、ムペンバ効果の真の「発見者」ではない (再発見者にすぎない)。その物理過程は明らかになっていないので、「ある物理過程が原因となって結果 (効果) が出現する」場合に使われるべきである○○効果という名称は適切ではない。ゆえに、ムペンバ効果は「湯と水凍結逆転現象」と呼ばれるか、もしくは「再発見者」のムペンバに敬意を称して「ムペンバ現象」と称されることが適切であると主張している。Wiredの報道によると、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校のJames Brownridgeが湯が水より早く凍る現象を再現することに成功している。ただし、Brownridgeの実験では、同一の水を凍らせるのではなく、摂氏約100度まで加熱した水道水と、摂氏25度以下まで冷却した蒸留水を使用した。これらを銅製の装置に密封した上で、冷凍庫に入れると、高温の水道水が、低温の蒸留水よりも毎回先に凍ることが確認された。この実験は、水の純度が異なる場合に湯が冷水より早く凍る条件が存在する事を示した。しかし、同一のサンプルを使用していないため、水の初期温度が原因とは言い難く、ムペンバ効果自体が解明できたとは言えない。
出典:wikipedia
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