ウィキメディア財団(ウィキメディアざいだん、)は、ウィキペディアを運営し、その母体となる財団である。米国フロリダ州法による非営利組織(非営利コーポレーション)であり、ウィキペディアの創立者の一人でもあるジミー・ウェールズによって設立された。財団名称のウィキメディアは英語版ウィキペディアの参加者の命名により、ウィキとマルチメディアから造語された。ウィキペディア財団は誤記である。同財団の目的は、ウィキを用いたオープンコンテントの知的資源を開発するプロジェクトの促進、およびその資源を無料、広告なしで広く公衆に提供することにある。多言語百科事典ウィキペディアの運営に加え、多言語辞書兼シソーラスであるウィクショナリー、警句箴言集のウィキクォート、主に学生向けの電子書籍集であるウィキブックスのサポートなどを行っている。ウィキメディア財団が運営するプロジェクトについては、を参照。しばしば誤解されることであるが、全プロジェクトに共通の方針や法的措置にかかわる場合を除き、財団は各プロジェクトのコンテンツの内容にかかわる議論や個別の運用方針には関わらず、また各プロジェクトの代表者というものも存在しない。ウィキメディア財団の最高意志決定機関は、2014年現在で10名からなる理事会である。フロリダ州法の規定により理事は無給である。理事会構成メンバーは 財団ページを、過去の理事はおよびを参照。理事会は、財団とプロジェクトに対する最終的な決定権を持ち、また定款を変える権限をもつ。ウィキメディア財団は会員資格を持たない。会員制度は2006年以前の定款に記述があるが、実現には到らなかった。この改定以前の定款で「会員よりの選出」とされた理事枠は、「コミュニティ」の投票による理事枠として残された。投票権者の詳細は理事会がこれを定める。2007年の選挙では、一定の編集回数と編集歴によるほか、システム管理者、職員で一定の活動歴をもつもの、および理事に投票権が与えられた。ウィキメディアを名乗る資格を財団から認められたユーザ団体を、ローカル・チャプター() と呼ぶ。財団の下部組織ではなく、それぞれ独立した組織である。以前は「地方支部」と訳されていたが、下部組織と誤解を招きやすかったので「国別協会」あるいは「国別・地域別協会」と翻訳されるようになった。ローカル・チャプターと財団の法的関係は、必ずしも一様ではなく、個別に契約を締結する。ウィキメディア財団を現地で法的に代表する資格を持つものから、独立な法人格をもち非公式な協力関係にあるものまで、主に現地の法律上の理由にもとづきさまざまな関係が存在する。ウェブサイト上のコミュニティでもある各プロジェクトと、ローカル・チャプターの間には法的には関係がない。ローカル・チャプターは企業・学校・他の社会団体と現地ユーザとの連携を図ると共に、また独自の資産をもち、財団の活動の支援を行う。ローカル・チャプターはそれぞれ独自の会計をもち、ローカル・チャプターへの寄付はウィキメディア財団の直接の収入とはならない。一方でローカル・チャプターが取得した財産がウィキメディア財団の活動の支援のために利用されることがある。代表的な例として、ドイツ・チャプターからのウィキマニア2005(後述)への寄付、ドイツ・チャプターの保有する計算機資源の提供 () などがある。2015年12月現在、ウィキメディア財団から承認済みのローカル・チャプターが所在地別に41、準備中が27存在するが、日本ではまだ設立されておらず、準備中ですらない。それぞれのチャプターの設立年次および法人格等についてはを参照。ウィキメディア財団はカリフォルニア州サン・フランシスコ(2008年1月まではフロリダ州セントピータースバーグ)に事務所をもっている。職員が最初に雇用されたのは2005年で、この年、3人の職員が雇用された(ブライアン・ヴィバー、ダニー・ウール、サーバ担当の非常勤職員1名)。以後、業容の拡大に伴い、順次職員を採用している。2008年当時は約10名の常勤職員がこの事務所で働いおり、またサーバの管理等に数人の契約職員を雇用していた。国外にいる職員はフルタイム契約・パートタイム契約を問わず、すべて契約職員であった。また2007年より、インターンが管理部門の業務を補助していた。現在の組織は を参照されたい。歴代の事務長ウィキペディアを初めとするプロジェクトは、当初ジミー・ウェールズの個人プロジェクトとして開始された。諸プロジェクトのサーバ、ドメイン名およびデータは、ジミー・ウェールズが当時、最高経営責任者であったインターネット会社 Bomis によって所有されてきた。2003年6月にウェールズがウィキメディア財団の設立を発表すると同時に、これらの所有権は財団に寄付された。財団設立後も、プロジェクトの消費電力やネットワーク費用は、Bomisの寄付によって賄われてきた。非営利団体の設立によって、寄付金や米国連邦政府からの研究資金などを獲得しやすくすることで、これらのプロジェクトの安定した発展が保証されるとの見方が大勢を占めた。財団設立後、2004年から2005年初頭には他の団体からの寄付や助成の申し出があり、2005年3月現在、Bomis の寄付は、プロジェクトの使用する全帯域の2/3に相当する。当初、財団の定款ではの定員は5人とされ、うち2人がユーザ代表であるとされた(2007年現在では定員7名)。しかしほぼ1年間ユーザ代表理事は置かれず、その間、財団ののあり方、理事会などについての詳細が関連プロジェクトのメンバーによって議論された。2004年6月、最初のユーザ代表理事が選ばれた。このときの任期は1年であったが、のち2005年にはユーザ代表理事の任期は2年に延長された。財団の活動をより強化し、また財団運営へのユーザの参加を促すことがしばしば課題として指摘される。これに対し、地方支部理事の財団理事会へのオブザーバーとしての招聘、および各種テクノロジー、法務、広報などの分野にユーザから選ばれた委員をおくなどの措置が2005年に取られた。また2006年には、これら委員が個人で分掌していた仕事をさらに効率的にすすめるべく、ユーザーからなる委員会がいくつかの分野に設置された。委員会はすべて理事会決議によって設置され、設置と同時に委員長を含む原初構成員が指名される。構成員には、議決権をもつメンバーと議決権をもたないアドバイザーの二種があり、理事、地方支部理事、一般ユーザ、外部のエキスパートなどが構成員となりうる。構成員は理事の指名または委員会メンバーからの推薦および承認によって決定される。ただしこのような委員職や委員会の設置は、その職にない一般ユーザが自分の裁量で行動することをさまたげるものではない。ユーザの裁量による行動は、サイト上のコンテンツ制作にとどまらず、外部資金の獲得や、企業との提携などにも及んでいる。財団は法的な権利を保持しつつ、ユーザの自主的な活動を積極的に奨励している。したがって、ユーザーはアグレッシブに参加でき、その点においてユーザー主導の立体的な辞典の構築が可能である。ただ、この点については逆にデメリットであるという指摘もあることを見落とすべきではないだろう。なお、2007年10月9日には、財団の本部をフロリダ州セントピーターズバーグからカリフォルニア州サンフランシスコのテクノロジハブへ移転することが発表され、2008年1月末に移転を実施した。財団は、サンフランシスコへ移転する理由として、アメリカのハイテクの中心地であること、展開しているプロジェクトに関連した優秀な人材やサポートを確保できること、地理的にアジアでの事業パートナー候補との結び付きを深めることができること、などを挙げている。2008年3月25日、ベンチャー投資家のコースラ夫妻から50万ドルを寄付される。3月28日、アルフレッド・P・スローン財団から300万ドルを寄付される。2010年2月22日、検索サイトを運営するGoogleから200万ドルを寄付される。ウィキメディア財団の事業のなかには、ユーザ同士の交流の促進も含まれる。ウィキメディア財団は、2005年以降、毎年国際会議・通称ウィキマニアを開催している。1開催地は次の通り。毎年350人から400人程度、国・地域別では50ヶ国前後から出席者がある。2004年ごろから、ユーザ主体によるミーティングが主にヨーロッパで催される中、多言語プロジェクトゆえの国際的な交流の要望が高まり、ウィキメディア財団主催による国際的会議の構想につながった。ウィキマニアはユーザの交流と同時にウィキメディア・プロジェクト全般に対する研究の促進を目標にしており、外部から優れた招待講演者を招くことにも力をいれている。これまでの招待講演者には、リチャード・ストールマン、ウォード・カニンガム、ローレンス・レッシグ、ブリュースター・カール、伊藤穣一などがいる。この試みは他の同種の非営利団体からも好感されており、Open Source Initiativeからは発展途上国からのウィキマニア参加希望者に3年連続で旅費の援助がなされている。2004年には3つの新規プロジェクトが発足した。画像や音声リソースを扱い各ローカルプロジェクトへ供給するウィキメディア・コモンズ(しばしばコモンズと略称される)、生物種分類を扱うウィキスピーシーズ、ニュース報道を扱うウィキニュースである。またウィキペディアのコンテンツを使った若年層向けの教育コンテンツウィキジュニアの作成も新規プロジェクトとして進められている。またウィキバーシティもベータ版プロジェクトとして2006年に開始された。2006年初には財団の純資産(net assets)は 270,000ドルであった。2006年中に財団は総計1,510,00ドルに及ぶ資金援助および収益を得て、790,000ドルの支出があった。純資産は720,000ドル増え、総計100万ドルを超えた。2007年、財団は拡大しつづけ、純資産が1,700,000ドルとなった。2007年に収入も支出も、ほぼ2倍になった。財団はによって三ツ星のレイティングを与えられた。2008年3月、財団はアルフレッド・P・スローン財団から3年で300万ドルの寄付を受けることを発表した。2009年、財団は3つの贈与を受けた。ひとつはフランク・スタントンによるスタントン財団から890,000ドルで、初めて使用する人のために、ユーザインタフェースの研究と簡素化を支援することを目的としている。ふたつめはフォード財団によるもので、ウィキメディアコモンズに対して、ウィキメディアのウェブサイト群のインタフェースとワークフローの改良のためのものである。2009年8月、ウィキメディア財団はヒューレット財団から500,000ドルの贈与を受けた。2009年8月、はウィキメディア財団に対して200万ドルの提供を申し出た。2010年、Google社が200万ドルを財団に寄付した。
出典:wikipedia
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