『炎の蜃気楼』(ほのおのみらーじゅ)とは、桑原水菜による日本のライトノベルシリーズ。コバルト文庫刊。イラスト担当は東城和実(1〜12巻)、浜田翔子(13〜40巻)。シリーズの売り上げは累計630万部以上。本編の前日譚である「邂逅編」・「幕末編」・「昭和編」も連載。ドラマCDやイメージアルバム(音楽CD)が発売された他、1994年から白泉社「セリエミステリー」(廃刊)にて浜田翔子作画で漫画化(未完)。2002年にキッズステーションでアニメ化・2004年には続編のOVAが製作されたり、2014年から昭和編シリーズの舞台化がされるなどメディアミックスは多岐にわたる。桑原水菜のデビュー作。甦った戦国時代の武将などの霊(怨将)が、天下をかけて戦いを繰り広げる闇戦国。毘沙門天の加護を受け、彼らを調伏して冥界に送る使命を科せられ、生者の肉体を奪う「換生」を繰り返しながら400年もの間生き続けてきた上杉夜叉衆の活躍と苦悩、宿敵織田信長との闘いを描くサイキック・アクション。夜叉衆たちの戦いと友情、愛憎を軸に物語は展開していく。普通の高校生であり(最初記憶はないが)カリスマある歴戦の将でもある主人公・仰木高耶(上杉景虎)と、彼に愛憎が混じる複雑な感情を向ける臣下の直江信綱との関係性(性描写を含む)は、読者に大きな衝撃を与えた。ポピュラー、ノンポピュラーを問わず、実在した歴史人物たちをモデルに彼らの心の裡の悩み・葛藤・喜びなどを巧みな心理描写で書き出している。その卓越したストーリー性とジェットコースターのような予想を超える展開で、若い女性たちを中心に絶大な支持を得た。今でいうボーイズラブ的なものを好む層への影響は非常に大きい。歴女ブームの先駆けとなった作品。ライトノベルやまんが作品の舞台めぐり(いわゆる「聖地巡礼」)のはしりとされ、作中に登場した日本全国の寺社や史跡などをファン(本作の題名をもじって「ミラジェンヌ」とも呼ばれる)が巡る「ミラージュ紀行(ミラージュ・ツアー)」という旅行でも知られており、各地に相当な経済効果をもたらしたという。例えば、毎年5月に開催される山形県米沢市の上杉祭りに訪れる女性にかなりの率で本作のファンが存在すると言われている。ストーリーの主軸に置かれた主人公・仰木高耶(上杉景虎)と副主人公・直江信綱(橘義明)の関係は太宰治の「駆込み訴え」のキリストとユダ、「アマデウス」のモーツァルトとサリエリから着想を得ており、その関係性は桑原が後に発表したシリーズ「赤の神紋」にも受け継がれている。当初は一般向け作品の学園サイキックアクションとして連載される予定だったが、好評につき長編化するに従って、太宰の熱烈なファンだった桑原は自身が感銘を受けた「駆込み訴え」を再現したくなり、男性同士の愛憎劇を取り入れたとのこと。1994年から2003年にかけてFM山口のアニラジ「ウキウキ放送局V」内で当作品を30字以内で語る「炎の蜃気楼 30字シアターFX」というコーナーが約9年間に渡って存在。このコーナーのみを編集したカセットテープがファンの間で出回っていた(桑原にも送られている)。V時期の公開録音初ゲストには直江信綱を演じる声優の速水奨を迎えたり、「セリエミステリー」95年10月号の読者コーナーでも紹介されて桑原と浜田がコメントを付けている。TVアニメ化の際には担当プロデューサーが番組コーナーにゲスト出演し、アニプレックスのアニメ公式サイトにもリンクが貼られていた。アクセサリーなどの様々な関連グッズが発売され、1996年からは本作がモチーフのワインを中心とした「契」シリーズが米沢市の小島洋酒店製造で発売。ワインのみならずスイーツ、ビール、ケーキ等も販売された。主人公・仰木高耶の誕生日を記念した「高耶バースデー便」、同じく副主人公・直江信綱の誕生日を記念した「直江バースデー便」なども存在する。しかしながら、2006年度をもってワインの製造販売を中止するという旨が製造元の小島洋酒店より出された。2000年5月2日と5月3日には米沢市の東京第一ホテル米沢にて、主演声優である関俊彦・速水奨出演の「炎の蜃気楼 ドラマリーディングライブ」が開催された。2007年には米沢市に「炎の蜃気楼記念館(仮称)」の設立も予定されていたが、延期の運びとなった。その他にも高橋ゆう、徳川綾子、藤崎こう、藤井咲耶、徳丸佳貴、杜山まこ、陵くみこなどの同人作家を多数BL業界に輩出していることでも有名である。また、同コバルト作家である藤原眞莉や金蓮花、漫画家の黒乃奈々絵が作品のファンであることを告白している。かつて敗れ去った戦国武将の怨霊たちが現代に甦り、再び戦国時代をやり直して生き人たちの世を転覆させようとする《闇戦国》。平凡な高校生・仰木高耶は闇戦国の事件に巻き込まれた親友・成田譲を救った謎の青年・直江信綱から、自分の正体が400年前の歴史上の人物である上杉景虎の〈換生者〉だと告げられる。「上杉夜叉衆」の総大将として怨霊を〈調伏〉する使命のため、死ぬ度に〈換生〉を繰り返しながら400年もの間生きてきた景虎は夜叉衆の暫定リーダーを務める直江の主君にあたるのだが、30年前のある事件がきっかけで記憶が封印されている状態なのだと言う。とまどい、疑念を抱く高耶。しかし譲の安全が第一だと直江に協力する。 夜叉衆の仲間である柿崎晴家(現名・門脇綾子)と安田長秀(現名・千秋修平)も姿を現し、冥界上杉軍の夜叉衆としての活動が本格化。高耶は〈力(りょく)〉を徐々に取り戻し、調伏もできるようになる。同時に封印された景虎の記憶も回復していくが、それにともない30年前の直江との確執も兆しを見せ始める。初めこそ敵同士だった景虎を共に行動する中で主として受け入れていく反面、彼のカリスマ性を妬み歴史上での関係から「勝者と敗者」に固執する直江と、30年前の確執から直江への冷酷な態度を崩さない高耶。400年の年月をかけて惹かれ合い、互いを必要としていることが分かっていながら、溝は深まるばかりで二人の関係は修復不可能なほどに壊れていく。すさみきった精神状態で調伏を続ける直江は、魂核の疲労から〈力〉が使用不可能になり失明するまでに追い詰められる。〈力〉の失効=〈換生〉が不可能となり、死=「直江信綱」の存在の消滅を意味する。直江がもし死ねば彼を永遠に失うかもしれない事態に高耶は焦りを募らせるが、高耶を庇って直江が凶弾に倒れてしまう。括弧内( )に特に説明のないキャストはドラマCD・ラジオドラマ・ときめきテレフォン・アニメ版共通。集英社カセットブック・CDブック「まほろばの龍神」及び「最愛のあなたへ」は文庫版を音声化したもの。「この夜に、翼を」と「鷲よ、誰がために翔ぶ」は原作者・桑原水菜脚本のオムニバス形式(書き下ろしを含む)。懸賞CD応募者全員サービス特典CD本作のイメージ・ソング集。メイン作曲家は亀山耕一郎(引き続きアニメ版も担当、イメージアルバムには亀山による楽曲のピアノアレンジ版も収録)。SAM PROJECT、山中紀昌、見良津健雄、藤原正紀(ボーカルも担当)なども参加。原作者の桑原や作詞家の日々安里、相田毅などが作詞を手がけている他、ボーカルには上野洋子、山根麻衣(「KATHY SHOWER」名義)、山根栄子などが参加している。仰木高耶のイメージソングのボーカルは山根暁→岡崎昌幸、直江信綱のイメージソングのボーカルは甲斐直弥→森誠司→市之瀬洋一・風雅なおとが担当。指定番号に電話をかけると、原作者と声優の会談や声優による作品の朗読が自動再生されるコバルト文庫のサービス。1993年11月17日から1997年7月24日まで桑原書き下ろしのミニドラマや原作の一場面が流された。仰木高耶役の関俊彦と千秋修平役の松本保典はドラマCDからの出演だが、直江信綱役の速水奨はときめきテレフォンが初参加。高坂弾正役の塩沢兼人は2000年に急逝したため、この一回のみの担当となった(テレビアニメからは堀内賢雄が代役)。1998年4月1日から開始されたリニューアル版の「NEWときめきテレフォン」ではナビゲーターに小野坂昌也を迎え、桑原と関・速水の作品にまつわる会談や、関・速水による原作の朗読がされた。TVアニメ化を記念して、アニプレックスのアニメ公式サイトでネットラジオ「冥界上杉軍ラジオステーション」が2002年7月23日から9月17日まで配信。ラジオパーソナリティは関俊彦と速水奨が務めた。また、OVA化を記念して同サイトで続編となる「冥界上杉軍ラジオステーション2(NEW)」が2004年6月18日から10月16日まで配信。パーソナリティは引き続き、関俊彦と速水奨が担当。PCデスクトップアクセサリ「炎の蜃気楼 〜Mirage of Blaze Digital Collection〜」が2003年にソニー・ミュージックディストリビューションから発売。仰木高耶(関俊彦)・直江信綱(速水奨)によるシステムサウンド用録り下ろしボイスや、スケジューラー&時計機能、スクリーンセーバー&壁紙集などを収録。Win98/98SE/Me/2000/XP対応。『炎の蜃気楼』シリーズの「はじまりの物語」。舞台は現代から400年前、夜叉衆が死した御館の乱の遺恨が残る戦国時代。初めての換生を経た景虎と直江が運命の出逢いを果たし、夜叉衆が集結するまでが描かれる。御館の乱に敗れ若くして非業の死を遂げた上杉景虎の怨霊は、自分を死に追いやった上杉景勝への怨念から越後に甦り様々な災いをもたらしていた。越後を訪れた僧侶・勝元(色部勝長)の手で冥界へと〈調伏〉された景虎は、養父・上杉謙信の魂の呼びかけにより改心する。謙信から冥界上杉軍の核となる行動部隊「夜叉衆」を率いる総大将の任を命じられた景虎は、〈換生者〉となり二度目の生を受けて怨霊調伏の使命を果たすこととなる。そして、景虎を再び悪の道に走らせないよう見張るための後見人に謙信が指名したのは、景虎の仇敵である景勝一派のひとり・直江信綱だった。生前敵対関係にあった景虎と直江が謙信の命令で主従関係を結び、物語はスタートする。死人でありながら生者を守るために、自分たちと同じ境遇の怨霊を祓う立場にあるという矛盾を抱えた夜叉衆。怨霊と成り果てた者の無念に共感しながら、そして生き人の命を奪って成り代わる〈換生〉の業の深さを突きつけられながら、怪事件を解決していく。イラスト担当はほたか乱。宿体名/通り名/換生者・兵蔵太/三郎次/上杉景虎・安積九郎左衛門/九郎左衛門/直江信綱・杣の葵助/葵助/柿崎晴家・勝元/色部勝長・速之助/四郎佐/安田長秀『炎の蜃気楼』シリーズの幕末編。邂逅編の時代から200年が経ち、冥界上杉軍の使命である怨霊調伏はもはや形骸化。換生を繰り返し、終わりの見えない生を歩む事に葛藤する夜叉衆。勤王派と佐幕派が対立し血生臭い争いを繰り広げる幕末の京都では、夜叉衆もそれぞれの派閥に分かれて立場上は敵同士になっていた。そんな中で「上杉景虎」を名乗り、勤王派ばかりを襲う人斬りが出没する。お蔦(柿崎晴家)は偽景虎の正体を見極めようとするが……幕末という理想や希望・夢など、自分たちが忘れかけたものを抱えて「生きる」人々と時代。それらと出会った夜叉衆がどう感じ、生きたのかを描く。使命が続く限り死の安息は許されず苦悩を深める景虎、ひたむきに景虎への忠誠を注ぐ直江という構図は既に出来上がっており、シリーズを通した二人の関係や、本編後半のテーマである「生きる」とは何か?などに繋がっていく布石とも取れる。イラスト担当はほたか乱(邂逅編に引き続き)。・宿体名/換生者・黒田信右衛門 (春日信三郎)/上杉景虎・校倉忠臣/直江信綱・蔦/柿崎晴家・嵯峨野善兵衛/安田長秀・勝元/色部勝長邂逅編完結に伴い、新たな物語の幕が開くこととなった。舞台は終戦から10年後、昭和30年代の日本。第二次世界大戦を経験した夜叉衆が戦後の高度経済成長期の中、どのような姿でその時代と共に奮闘していたのかが描かれる。新橋駅近くのホール「レガーロ」に響く歌姫・小杉マリーの歌声に聞き惚れるボーイ兼用心棒・朽木慎治の前に、戦死した彼の友人を名乗る男が現れる。男に襲われた朽木を救ったのは、ホール係の加瀬賢三(上杉景虎)とマリー(柿崎晴家)だった。一方、医大生・笠原尚紀(直江信綱)は龍の加護を受けている後輩・坂口靖雄と知り合うが……景虎と直江の関係のカギを握り、本編にも深く関わる北里美奈子は主人公の「前生」に登場。30年後の現代における二人の確執が決定的となった事件の全貌が明かされる、シリーズの完結編。イラスト担当は高嶋上総。昭和編「夜啼鳥ブルース」は2014年秋に舞台化。2015年秋には続編となる「瑠璃燕ブルース」も上演。さらに翌2016年秋には、第三弾の上演決定が告知された。・宿体名/換生者・加瀬賢三/上杉景虎・笠原尚紀/直江信綱・小杉マリー/柿崎晴家・佐々木由紀雄/色部勝長・宮路良/安田長秀番外編『昭和編』の第1巻にあたる「夜啼鳥ブルース」をトライフルエンターテインメントプロデュースで舞台化。タイトルは舞台「炎の蜃気楼昭和編 夜啼鳥ブルース」。2014年9月17日〜9月23日に渡り、シアターサンモールにて上演された。スタッフ役名・キャスト続編「瑠璃燕ブルース」(昭和編第3巻に相当)も、引き続きトライフルエンターテインメントプロデュースで舞台化。タイトルは舞台「炎の蜃気楼昭和編 瑠璃燕ブルース」。2015年10月8日〜10月13日の期間中、シアター1010にて上演された。スタッフ役名・キャスト1998年10月6日から10月9日までニッポン放送「ゲルゲ・夜のドラマシアター」内の『草尾毅と宮村優子のカフェでゲルゲ』で、原作第1巻をダイジェスト化したラジオドラマが放送された。全4回。声の出演は関俊彦(仰木高耶)、速水奨(直江信綱)、阪口大助(成田譲)。テレビアニメが2002年1月7日から4月8日までキッズステーションで放送。全13話。原作第1〜8巻までをアニメ化。また、2004年7月28日から11月26日にかけて『炎の蜃気楼 〜みなぎわの反逆者〜』のタイトルでOVAが発売。全3巻。テレビアニメ版の続編で、原作第9巻の同タイトルをアニメ化。特記のないものはTVアニメ・OVA共通。
出典:wikipedia
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