インゲンマメ(隠元豆、"Phaseolus vulgaris")はマメ亜科の一年草。別名、サイトウ(菜豆)、サンドマメ(三度豆)。古代からインゲンマメは南北アメリカ大陸での主要作物となっており、アステカ帝国では乾燥させたインゲンを税の物納品目として徴収していた。ヨーロッパにはコロンブスの二度目の航海の後に持ち込まれたが、当初はアメリカ原産であることは知られず、カズラの新種と思われていた。16世紀には育てやすく食べやすい作物として栽培されるようになった。特にギリシャなど地中海沿岸地域では、ソラマメ中毒にならない健康に良い豆として受け入れられた。フランスはこの豆の利用に熱心で、様々な料理を作った。中でも若いインゲンを莢ごと調理する料理、アリコ・ヴェルが好まれ、そのためにフラジョレという専用の品種を作った。他の国も豆料理をフランス料理風の名で呼ぶ場合が多くなり、今日でも英語圏では莢ごと食べる方法をフレンチスタイル、フレンチビーンと呼ぶ。16世紀末にヨーロッパを経由して中国に伝わり、17世紀に日本に伝わったと言われている。1654年、明からの帰化僧・隠元隆琦が日本に持ち込んだとされることからこの名がついた。実際にはフジマメ(藤豆、フジマメ属)を持ち帰ったという説もある。このためかどうか不明だが、関西ではフジマメをインゲンマメと呼び、インゲンマメはフジマメ、サヤインゲンは三度豆と呼ぶ。夏に、白またはピンク色の花をつけ、秋に長いさやをつける。つる性の品種とつるなしの品種とがあり、つる性の品種の方が収穫期間がつるなし品種よりも長い。日本では北海道が主産地となっており2006年(平成18年)の作付面積は8,880haで収穫量は18,000tとなっている。特に、大正金時は、最も人気がある品種である。金時豆(赤インゲン豆)、うずら豆および虎豆(共に斑〈ふ〉入りの豆)、毛亡(手亡とも)および大福豆(共に白インゲン豆)はインゲンマメに含まれる。キドニービーンズは赤インゲン豆、ピントビーンズはうずら豆のことであるが、主に輸入品がこう呼ばれる。しばしば混同される、ハナマメ(白花豆)、フジマメは近縁の別種である。インゲン豆は安価で低脂肪、高蛋白の非常に優れた食品で、世界中で主食または主要な蛋白源として利用される。若いさやを食べる軟莢種(サヤインゲン)と、成熟した種子を食べる種実用種がある。サヤインゲンは、生のまま天ぷらにするか、塩茹でにして和え物やおひたしにするか、あるいはバター炒めにすることが多い。成熟した種子は乾燥させて貯蔵し、煮豆や甘納豆、菓子用の餡などに用いられる。フランス料理・イタリア料理では白インゲン豆が煮込み料理に好んで使用される。乾燥重量の2割余りをタンパク質が占める。アミノ酸組成のバランスも良くアミノ酸スコアは100であり、特にリシンを豊富に含み、リシンが不足している主要3大穀物(小麦、トウモロコシ、米)との食べ合わせも良い。ラテンアメリカ諸国の重要な蛋白源でもある。インゲンマメには、血糖値を抑制する効果のあるα-グルコシダーゼ阻害作用があるポリフェノールが含まれている。生または加熱不十分なインゲン豆を摂取すると、激しい嘔吐や下痢といった急性中毒症状が生じる。サラダやキャセロールなどの鍋料理にインゲン豆を使用したときに発生しやすい。赤インゲン豆(Phaseolus vulgaris)中毒、金時豆中毒などと呼ばれ、豆類全般に含まれるレクチンの一種、フィトヘマグルチニン(Phytohaemagglutinin:PHA)の作用である。レクチンは蛋白質なので加熱すれば変性し、人体には無害になる。レクチンを無毒化するためには、豆を十分に加熱する必要がある。80度以下の温度で加熱すると、逆に毒性が5倍に増加するとされる。特に赤インゲン豆には白インゲン豆の3倍量のフィトヘマグルチニンを含有し、僅か4-5個の生豆の摂取で発症しうる。症状は強く重症化する症例もあるが、大部分は数時間で軽快する。フィトヘマグルチニンはインゲン豆以外の豆にも少量含有され、例えばソラマメには赤インゲン豆の5-10%のフィトヘマグルチニンを含む。2006年(平成18年)5月6日、TBSテレビで放送された『ぴーかんバディ!』で、白インゲン豆を3分間炒ってから粉にして、ご飯にまぶして食べるダイエット法を紹介したところ、激しい嘔吐や下痢などの健康被害が全国で発生した。
出典:wikipedia
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