エコファシズム()は、環境保護や動物愛護などを理由に、異論を排除して全体主義的な政策を推進し、権威主義や人権抑圧などを正当化しようとするイデオロギーの一種である。通常は、過激あるいは破壊活動を伴う環境保護活動を行ったり、過剰な環境保護を要求したり、「環境保護」を名目に他者に自身の思想や行動への賛同を強要したり、あるいはいわゆる環境利権を貪るなどの団体や活動家に対して、批判的な立場から使用される用語である。エコファシズムの思想的な背景には、大幅な人口減の必要性を唱えるネオ・マルサス主義の影響を受けた生物学者のギャレット・ハーディンによる優生学的な選別思想が基盤にあるだけでなく、ロマン主義や情緒主義()との結びつきも指摘されている。ギャレット・ハーディンが唱えた「救命ボートの倫理」において、環境収容力を超えては生物が生き残れないとの指摘は評価されたが、人口過剰である途上国を見捨てるべきだとの結論には批判がなされた。また、「土地倫理」において、全体性のために個々の犠牲を強いる思想と批判を受けたアルド・レオポルドや、その思想を受け継ぎ、 生態系の保護のためには人間の排除も辞さない生態系中心主義を唱えたキャリコットの主張は、エコファシズム的な思想として批判を受けている。人口研究の生物学者ポール・R.エーリック()が広めた「人口爆弾」や「人口爆発」、「人口という疫病」などの用語はエコ・ファシズム的な表現とされ、人間を汚染物質として扱うなど、人間への侮蔑をともなう一方で、エコ中心主義者がそれらの用語を用いる場合、自分がその対象であるとは考えないなどの特徴があげられる。人口過剰に対する警戒は他の集団との反目に発展しやすく、科学主義による人種差別を正当化する恐れがあるとの指摘がある。動物の権利論者トム・リーガンは1983年に記した著書の中で、アルド・レオポルドの土地倫理やキャリコットの生態系中心主義に対して、環境ファシズム(environmental fascism)であると指摘し、歴史家のローデリック・F・ナッシュ()はキャリコットの主張に対して人を犠牲して病原菌の権利を擁護する倫理であるとの批判を行っている。エコロジーの思想的な基盤にはドイツの生物学者エルンスト・ヘッケルの寄与が指摘されており、ヘッケルの種の優生学的保存などの社会ダーウィニズム的な主張はナチスによるホロコーストを支える理論的な根拠として扱われたことから、エコロジーとナチスのファシズムの二つの思想の潮流を辿ると、いずれもヘッケルを介するという点で共通項をあげることができる。ナチス政権下のドイツでは、1933年に動物保護法、1934年に国家狩猟法、1935年に国家自然保護法が制定され、動物の虐待の禁止、麻酔なしの生体解剖の禁止、野生生物の保護のため雑木林の保護などが行われた。その一方で、豚などの動物を忌み嫌い、捕虜やユダヤ人に対しては動物以下の扱いが行われた。これは人間と動物の境界を曖昧にすることによって、人間に対する殺人のハードルを動物のレベルにまで下げることになったためとの解釈が行われている。
出典:wikipedia
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