シグマ・MC74(シグマ・エムシー74/マツダ)は、1974年(昭和49年)にシグマオートモーティブ(現在のサードの母体)が設計・開発を行い、マツダのロータリーエンジン・12Aを搭載した純国産マシン。国際自動車連盟(FIA)の定めるグループ5規定対応の2座席レーシングカーである。日本車として初めてル・マン24時間レースで24時間を走りきったが、レース中に発生したトラブル対応のためにピットストップ時間が長くなったため規定周回数を達成することができず、公式記録では完走扱いとはなっていない。シグマ・MC74は、前モデルのシグマ・MC73(以下MC73)よりル・マンでの直線スピードを向上させると同時に、MC73で発生したトラブルを対策することを目的に設計・製造された、FIAのグループ5規定に準拠したマシンである。ちなみにMCは「メイクスチャンピオン」の略。MC73と同じ方式のツインチューブアルミモノコックを採用。モノコックには、現在航空機で主として使用されている三元アルミを採用し強度向上を図った。エンジンマウントもMC73と同じスペースフレームによる方式であった。サスペンション方式もMC73と同じ方式を採用。但し、搭載するエンジンがロータリーエンジンの12A(換算排気量:573×2×2=2,292cc)になり最低車両重量が3,000ccクラスと同じになるので、バラストを搭載する代わりにシャーシ各部の補強に使用した。MC73よりドラッグを低下させる空力対応で、当時6kmものストレート(ユノディエール)を持っていたル・マン(サルト・サーキット)でのストレートでの最高速度を向上させることを目的にデザインされた。フロントカウルは、フロントオーバーハングを長くしフロントのドラッグ低減を図った。リアカウルはロングテールとしてリアウイングを廃止し、リアカウルエンドに垂直フィンを設置しダウンフォースによる整流効果を狙い、ストレート走行時のハンドリング安定性とトップスピードの引き上げが図られた。このリアカウルは、1971年のポルシェ917Kで実施された改善手法と同一である。カウル自体は、滑らかな曲面で構成され空気抵抗を減らしている。さらにタイヤのホイールアーチ部での空気の巻き込みを防止するためにタイヤの側面の約25%をカバーするカウルとし、この結果MC73より全長・全幅とも大きくなった。リアウイングの廃止によるダウンフォースの低下に対しては、モノコック両サイドのツインチューブ部の底面形状をベンチュリ状に加工してダウンフォース獲得を図った。この構造の採用は、1977年のF1のロータス・78より早く世界最初のウイングカーとなったが、効果があったかどうかは不明である。MC74は上記の内容で空気抵抗の削減を実施したが、全幅の増加は全面投影面積の増大となり直線速度の向上という目的達成が果たせない一因になった。エンジンは、公称馬力260PSのマツダ・12Aロータリーエンジン(ペリフェラル仕様)のみ搭載。マツダオート東京がチューニングとメンテナンスを受け持った。
出典:wikipedia
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