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レバー (食材)

レバー(、)とは、肝臓のことである。肝(きも)と呼ばれることもある。日本でレバーというと、食用の、家畜や家禽の肝臓を指すことが多い。日本で主に食用にされているレバーは、ほ乳類、鳥類、魚貝類のものである。ビタミンA、ビタミンB群、鉄分、葉酸を多く含むとされる。食中毒などの懸念があり、日本では2012年に生の牛レバーの提供が禁止された。レバーはビタミンA、ビタミンB群、鉄分、葉酸等を多く含む。なかでも、葉酸、鉄分は造血を助ける働きがあり、貧血防止や妊婦など、多量の鉄分摂取が必要な人には理想的な食べ物であるといわれている(妊婦のビタミンAの過剰摂取は催奇形性がある為、摂取は慎重に行う必要がある)。また、レバーには、ビタミンB6の一種であるピリドキサミンが、他の部位や他の食品に比べて多く含まれている。牛や豚のレバーは消化酵素を加えて加水分解され、肝臓水解物として二日酔いや慢性肝疾患治療の医薬品原料となる。栄養価は高いが、血の味がするなど、癖が強く、また、火を通しすぎるとボソボソした食感となるので、好き嫌いがはっきりしやすい。加熱調理の場合には、水に晒すなど、血抜きをしなければならない。この下処理をしなければ、血の味が強く残ってしまい、美味しく仕上がらない。レバーの臭みは、肝臓に含まれるアラキドン酸が、血液の鉄分と反応して起きるためである。血抜き以外では、牛乳などに浸して、マスキングで臭みを消す方法もある。また酢を使って臭みを取るという方法もある。揚げて、スパイスを利かせると、臭みもあまり気にならない。主な調理法は、焼肉の焼きレバー、焼き鳥の串レバーなどが挙げられる。牛レバーの料理の定番としては、ニラと合わせて炒める中華風のレバニラ炒めがある。茨城県のスタミナラーメンなど、中華風の麺料理に使われることもある。鶏のレバーはショウガで臭みを消して、甘辛い煮物にされることが多い。また、レバーを生のまま刺身状にスライスし、塩と胡麻油などにつけて食べるレバ刺しがある(ただし、後述の通り2012年7月から飲食店での提供は禁止となった)。日本の郷土料理では、沖縄料理に豚のレバーやニンジンを使った「チムシンジ(肝煎じ)」という汁物があり、奄美料理では茹でた豚レバーの粒味噌漬けがある。また、山梨県のレバーを含む鶏の内臓を煮た甲府鳥もつ煮も有名となった。日本で考案されたものに、鶏レバーをマヨネーズ漬けにすることで、フォアグラの味に似せるという料理法がある。また日本の居酒屋チェーン鶏冠菜では、独自の商品と提供方法を開発している。白レバーに豚の脂を巻き、強火の直火で素早く表面を焼いてスープを閉じ込める手法で「賞味期限40秒」と銘打ち、焼き終わった後にタイマーを始動して客席に提供後すぐに食すように薦めており、「ごっそ玉」として同店の看板商品としている。他の部位と同様にと殺・精肉加工される以前に動物が感染していた病原体および、と殺以降の流通過程で付着した病原体がレバー中にも存在するものがあり、非加熱のレバーを食用にする事により感染症を発症する恐れがある。鶏、牛、豚の生レバーの一部は中に病原性大腸菌、カンピロバクターなどの食中毒の原因となる病原体を含んでいる。特に、豚の生レバーにおいては豚自体が保有しているE型肝炎ウイルス、無鉤条虫などの病原微生物により豚肉の生食と同等の危険性がある。また鶏に於いては、犬回虫、猫回虫などの寄生虫に汚染されている場合がある。危険性については"豚肉#生食の危険"も参照。日本の厚生省は1996年にO157の感染多発を受けてレバーなどの食肉の生食を避けるよう通達し、1998年に生食用のレバー及び食肉の加工基準を策定した。日本各地の自治体や保健所は、レバ刺しには生食用基準に沿って加工されたレバーを用いるよう指導した。2012年3月30日、厚生労働省は飲食店や販売業者が「牛」のレバーを生食用で提供することを禁止する方針を打ち出し、内閣府の食品安全委員会においても「提供禁止は妥当」とする見解が出たことを受け、同年7月1日から食品衛生法に基づき提供禁止とすることとなった。違反すれば2年以下の懲役か200万円以下の罰金の刑事罰が科される。また、厚労省は「豚」のレバーについても加熱して食べるよう注意を喚起した。一方、生レバーの提供禁止に反対する消費者も多かったこともあり、一部の飲食店では「焼きレバー」用として生レバーの提供が行われていたが、2013年8月に生レバーの提供が原因とみられる食中毒事件が発生。同年10月15日、牛の生レバーを提供したとして食品衛生法違反の疑いで京都府の焼き肉店の経営者らが逮捕され、同月26日に京都簡易裁判所は社長に罰金100万円、店長に罰金50万円の略式命令を出した。また、2015年5月には、牛の生レバーを提供したとして、兵庫県警察が居酒屋チェーンの経営者を逮捕したが、焼肉店以外の摘発は初のことになった。さらに2015年6月中旬より、豚についても、生レバーを含む生肉の提供が禁止されることになった。こうして日本ではレバーを外食で生食する事が禁じられて数年が経ったが、逮捕者が出る程に生食のニーズは根強いものがあり、厚労省も外食産業からの解禁嘆願により、解禁を模索している。しかし解禁する為にはレバー内部をきちんと(比較的)簡易に殺菌できる方法が確立する事が絶対条件であるので、厚労省は2012年の生レバー提供禁止と同時期に国立医薬品食品衛生研究所に所属する研究者らで構成された研究班を設置し、現在に至るまで研究を行っている。その条件を満たす可能性のある殺菌としては塩素系消毒薬(次亜塩素酸ソーダ)による処理、高い気圧をかける処理、放射線(ガンマ線)照射の三つがあり、現時点ではガンマ線照射が一番有効性が認められている。次亜塩素酸ソーダによる処理では発癌性物質とされるトリハロメタンが生成されるほか、ガンマ線を照射すると、非照射時には無かった独特の臭気(イオウのような臭気と甘い匂いが混ざったような感じ)が発生すること、ガンマ線照射の商業用施設は国内に余り多くない(食材用はジャガイモの芽が出ないようにするものが北海道に一ヶ所あるのみ)こと、放射線を食材に照射する安全性を確認する必要があるなど多くの問題が未だあり、これらを完全に解決するには今しばらくの時間を必要とすると思われる。

出典:wikipedia

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