本項では、日本で幅広く使用されているルールにおける麻雀の得点計算(マージャンのとくてんけいさん)について、和了によって獲得される得点の計算、およびその計算方法とメカニズムを、和了点に関する周辺ルールも含め概説する。麻雀に関しての文脈では、これら和了点の計算は単に点数計算と呼ばれる。 麻雀というゲームは通常、1局1局の和了や振り込みによって勝敗を決するのではなく、半荘終了時の最終的な持ち点の多寡によって勝敗を決する。持ち点の変化は主に和了によって生じるが、和了の際の点数の決定は歴史的な経緯により複雑な計算を必要としている。ベテランならば瞬時に計算することもできるが、初心者には正しく計算することさえ難しい。この点数計算の複雑さは、麻雀を学ぶ際の足枷の1つになっている側面がある。コンピュータを利用した麻雀環境ではこれら点数計算はすべて自動化されているものの、終盤のゲーム運びや戦略を考える上で、点数計算はやはりマスターしておいたほうが有利である。計算方法は、概ね次の手順による。符と飜数が決まれば点数は確定する。これをまとめたものが後掲の早見表である。基本点とは符と飜数の掛け算によって算出される数値のことで、例えば子の満貫8000点の基本点は2000点である。ツモ和了の場合は基本点2000点を子2人がそれぞれ支払い、親が基本点の2倍4000点を支払うことで合計が8000点になる仕組みである。以下、各段階における計算のメカニズムについて詳述する。符とは、手牌の構成や和了の状況により計算されるもので、役(飜数)とともに得点計算の二大要素である。具体的には、以下の各項目をすべて加算し、その合計を10符単位に切り上げたものである。たとえば、合計が34符なら、切り上げて40符となる。七対子は特例として、切り上げなしの25符2飜とするのが一般的である。25符2飜は50符1飜に等しく、子1600→3200→6400、親2400→4800→9600と符計算なしの得点に固定されている。ただし、七対子が役として採用されてゆく際の歴史的経緯により、25符2飜以外の扱いをしているルールもある。七対子の得点計算と歴史経緯については、七対子#歴史も参照のこと。門前ではないが、平和の形になっているような場合(いわゆる喰い平和)、本来はロン和了では副底のみの20符となるはずであるが、例外的に30符として計算するのが一般的である。なお、かつて一飜縛りが採用される以前に喰い平和を認めていた時代のなごりで、ごく稀に以下のような扱いも存在する。得点計算における飜数は、成立している役の飜数を合計したものである。たとえば、立直(1飜)・平和(1飜)・三色同順(2飜)の場合、4飜として扱う。さらに、ドラが含まれる場合は、ドラ1枚につき1飜を加算する。飜数1飜につき、基本的に点数は倍になる。たとえば、符が40符で飜数が2飜の場合、40×2×2=160点である。ただし、飜数が大きくなると点数が爆発的に大きくなってしまうため、得点の上限が定められている(満貫)。満貫については後述する。一部の役には、門前時と副露時で1飜異なる飜数が設定されている。具体的には、三色同順・一気通貫・チャンタ・純チャン・混一色・清一色は、副露した場合に1飜値段が安くなる。これを食い下がりと言い、食い下がりのある役を食い下がり役と言う。現在の麻雀のルールでは、役(およびドラ)による飜数とは別に、さらに2飜が追加される。30符4飜の例でいうと、基本点は30×2×2×2×2=480点だが、さらに2飜追加されることで480×2×2=1920点となる。この2飜を場ゾロ(リャンゾロ、デンデン、バンバン)という。 本来はこの場ゾロも飜数に入れるべきであるが、今日では一般的に飜数は場ゾロを除いて表すのが普通になっているため、ここでも飜数は場ゾロを含めないことにする。歴史的には、開局時のサイコロの目によって異なる飜数が与えられた。点数計算は、基本点が基準になる。これは平たく言えば「子のツモ和了が発生した時に、他の子が支払う点数」のことである。この基本点を元に、あらゆるケースの得点を算出する。例えば40符2飜の場合の基本点は、40×2=640点となる。計算式で算出する上限を2000とする。2000点を超える場合は計算式を用いず、飜数に応じて定めた値を基本点とする。符が大きい場合は3飜で上限2000を越える。このような場合は3飜でも満貫として計算する。特に60符のケースは俗に「1飜アップ」と言われる。30符4飜・60符3飜の場合、基本点は1920点となり、これは満貫2000点に近い値であるため、切り上げて満貫にする場合がある。後述する支払い額で表せば、子の7700点を8000点、親の11600点を12000点にすることに相当する。この取り決めは現在比較的広く浸透しており、フリー雀荘等では「子の7700点や親の11600点は満貫として扱います」などとルール説明される。和了の際に他のプレイヤーが負担する点数は次のように決定される。なお、100点未満の端数は支払いの直前で切り上げとなる。例えば40符2飜の場合は以下のようになる。いくつかの特定の役で和了られ、その役を確定させた副露があった場合、その副露をされたプレイヤーが点の全て(ツモの場合)または半分(ロンの場合、残り半分は放銃者)を支払うルール。和了った者が受け取る点数の合計は変化しない。採用しないこと、採用するケースが一定しないこともある。上記の定義通りの計算を繰り返すことを避け、入門書やルールブックでは計算結果を一覧表にしているのが一般的である。点数計算のできるプレーヤーはこれをほぼ記憶しているため、素早く正確に計算することができる。括弧内はツモ和了の場合の子1人の支払い分である。括弧内はツモ和了の場合の払い分で、カンマの前後が子・親の支払いに対応する。上記の点数計算早見表には一定の法則がある。例えばまず、という法則である。具体例は以下の通り。上記の3例に限らず、20符→40符→80符、25符→50符→100符、30符→60符は1飜増しの関係にある。20符と40符の列に登場する数字は共通しており、20符・40符を覚えれば80符の列を覚える必要はない。同様に、25符・50符の列に登場する数字は共通しており、25符・50符をまとめて覚えてしまえば、100符の列は50符を倍にすればいいだけなので覚える必要がない。30符と60符の列も同様である。70符の列に登場する数字は「12-23-34-45-68」と覚える。子70符1飜2300,2飜4500でツモ和了の場合は600-1200-2300、親70符1飜3400,2飜6800でツモ和了の場合は1200オールと2300オールである。右の簡易一覧に見るように、90符の列と110符の列は、50符の列を利用した足し算で求めることができる。上記2例だけでなく、50符の列と40符の列を足し算すれば90符の得点に、50符の列と60符の列を足し算すれば110符の得点になる。このことを知っていれば90符・110符の列も覚える必要はない。なお、30符の列と40符の列を足して70符の列を求めようとするなど、端数の切り上げをしている列同士で足し算をすると誤差が出る。50符の列は端数の切り上げをしていないため、50符の列と他の列で足し算をしても誤差が出ない。上記3つのポイントを押さえておけば、暗記すべきは20符・25符・30符・40符・50符・70符の6列で、それ以外の60符・80符・90符・100符・110符は足し算と掛け算で求めることができる。なお70符の列も理論上は50符と20符の足し算で求められるが、20符の列が不完全であるため、上記の例では丸暗記として紹介した。早見表における頻出パターンを下図にまとめる。いくつかの限られたパターンを覚えることで親子とも60符以下の点数はすべて網羅されることが分かる。連荘や流局などによって積み棒(場棒)が存在する場合、積み棒1本につき和了時の得点が300点加算される(ツモ和了の場合は各自の支払いが100点ずつ増える)。これを積み符という。1本場につき300点とするのが一般的であるが、1本場1500点とすることもある(ツモ和了の場合は各自500点ずつ)。また、積み棒自体を採用しないルールもある。通常のルールは1本場300点だが、300点程度の積み棒の重要度はさほど大きくない。しかし、1本場を1500点とするルールの場合、上の表のとおり積み棒が1本多くなるごとに1500点増し、3000点増し、4500点増しとなるため、積み棒の重要度は格段に高くなる。これは例えば、4本場であれば1000点が7000点になるということである。1000点が2200点になるのとでは比較にならない。また、1本場300点のルールには特に名称はないが、1本場1500点のルールは俗に場千五(バセンゴ)と呼ばれる。これは「場に1500点」を略した俗称である。得点計算において、複数の解釈が成立する場合、最も点数が高くなるように計算しなければならない。この原則を高点法という。例えば の手を であがった場合、萬子部分は「2の対子」「345の順子」「45の両面搭子」にも取れるし、「5の対子」「234の順子」「24の嵌搭子」にも取れる。2を雀頭にする場合あがり役はタンヤオ+平和+一盃口となり、30符3飜の得点になる。しかしこの手の場合、萬子以外の2面子が234を構成しているため、萬子部分も345ではなく234と取り、三色同順に取ったほうが得点が高くなる。その場合あがり役はタンヤオ+三色+一盃口の40符4飜となる (ただし、萬子部分を234と取る場合、待ちの部分は24の嵌張に取らなければならないため、平和は消えてしまう)。このように、同じ形で2通りにとれる場合は常に得点の高くなるほうで点数計算をするのが高点法である。このほかにも代表的な例として、七対子とも二盃口とも解釈できる場合がある。この場合、点数が高くなるように二盃口と解釈する。例: 高点法は符計算にも適用される。例えば3455の待ちで5で和了した場合、2と5の両面待ちではなく単騎待ちと解釈したほうが符が2符高くなる。ただし、平和が成立する場合には、両面待ちと解釈することになる。下図の例は、リャンメンにも取れるしカンチャンにも取れるケース。カンチャンに取ったほうが点数が高くなる。例: リーチツモ 得点計算に誤りがあった場合、得点の支払いをすませて次局に進んでいれば、現状を有効として訂正しないのが一般的である。(4者の合意がある場合や、公式戦で記録のある場合は訂正されることがある)以下、平場(積み棒なし)の場合のみを扱う。東場の東家、リーチしてツモ和了、ドラ表示牌裏ドラ表示牌東場の南家、リーチして一発目のツモ番でツモ和了、ドラ表示牌裏ドラ表示牌東場の東家、リーチして南家からロン和了、ドラ表示牌裏ドラ表示牌東場の南家、以下のように副露して東家からロン和了、ドラ表示牌裏ドラ表示牌が南場の東家、リーチしていない状態でツモ和了、ドラ表示牌裏ドラ表示牌南場の東家、リーチして北家からロン和了、ドラ表示牌裏ドラ表示牌東場の南家、西家からロン和了、ドラ表示牌裏ドラ表示牌数え役満を採用する場合、以下のような形が13飜以上となる:点数計算も麻雀ルールの多様性の例外ではない。特にグループによって異なりやすい数え役満・切り上げ満貫・積み棒の大きさ・連風対子の符数などは上述した通りである。以下ではその他の採用頻度が相対的に低いと考えられるルールを列挙する。点数授受をさらに引き上げるルールに割れ目 (われめ、ワレメ) がある。割れ目は、局の開始時に牌を取り始めた山 (開門) の位置のプレーヤーはその局の点数授受が倍になるというルールである。倍になるという点で親と似ているが、割れ目ルールでは積み符計算まで済んだあとで機械的に点数を倍にする。割れ目が親なら容易に高得点が実現される、リスキーなルールである。例えばサイコロの出目が10だった場合、南家のその局の収入・支出が2倍となる。その状態で南家が満貫の手を和了すると収入は16,000点となり、親が満貫の手を自摸あがりした場合は通常なら子3人で4,000点ずつの支払いとなるところ南家は8,000点の支払いとなる。フジテレビで不定期に放送される麻雀番組「THEわれめDEポン」でこのルールが採用された事から、近年では知名度が高まっている。導火線ルールは、得点授受2倍の対象を割れ目とするのではなく、和了が発生した時のツモ山の位置とするルールである。割れ目ルールでは得点授受2倍の対象は固定されているが、導火線ルールでは局の進行によって得点授受2倍の対象が上家方向に移ってゆく。現実の麻雀で採用されることはまれだが、特殊ルールとして、青天井と呼ばれる以下のような点数計算法が採用される場合がある。前掲の早見表にあるように、通常の点数計算では飜数に応じてそれぞれ満貫・跳満・倍満・三倍満・数え役満の点数が固定的に定められる。しかし青天井ルールでは、そのような通常の満貫以上の打ち切りをせず、符×2の計算式に符および飜数を厳密にあてはめて計算する。すなわち、1飜上がるごとに得点は倍になっていく。符計算は煩雑であり、初心者には難しいとされている。そのため、符を用いず、飜数だけによって点数を計算する簡便な点数表が採用されることがある。これを符なしルールという。いくつかの麻雀入門書やゲームで紹介されているほか、天野晴夫などの麻雀改革派が経営するフリー雀荘でも採用されている。これにより、面子全員が符計算できない場合でも麻雀を楽しむことができる。和了形の符は30符になることがもっとも多く、また4飜の和了が満貫の点数に近いため、符なしルールの点数表も30符をベースにした上で切り上げ満貫の発想を推し進めたものになっている。「親は子の約1.5倍」、「4飜以下は1飜増しで2倍」という点数計算の原則が厳密に適用されており、初心者にとってはこれらの理解につなげることができる。一般的な日本の麻雀ルール(立直麻雀)以外のルールでは、得点計算の方法も大きく異なることが多い。以下の記事の「得点計算」等の節を参照。政治家になる以前の菅直人が、麻雀の点数計算の複雑さに目を付けて麻雀の点数を自動的に計算する機械を発明して特許を取ったが、実用化はされなかった。(ハン数と符を入力すると得点が表示されるというもので、紙の一覧表を見たほうが早かった)現在は点数計算を自動でおこなう全自動卓も存在し、点棒を使わず打つこともできる。
出典:wikipedia
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