『ナース・ステーション』とは、島津郷子による日本の漫画作品である。『YOU』(集英社)にて連載され、単行本は全20巻、文庫版全12巻及び「完結編」全1巻。ナース(看護婦)を題材とした漫画で、主人公の中山桂子ら大学病院に勤務する看護婦達が、生と死が交錯する病院で悩み、苦しみながら成長していく姿を描く。主に病院を舞台とした人間模様が描かれ、癒して退院してゆく患者もいる一方で患者の死が描かれることもしばしばである。また、看護婦、患者、その他の人物が絡んだ、恋愛話も描かれる。1991年から2001年にかけて連載されたのち、2001年から2002年にかけて『新ナース・ステーション』が連載されたが、島津がパーキンソン病に罹ったために連載中断。その後、島津は脳深部刺激療法のための手術を受けて2009年に特別編を発表し、ここで島津の闘病手記も発表された。そして2010年から2011年にかけて「完結編」を連載し、『ナース・ステーション』は完結した。『ナース・ステーション』は、しばしば島津郷子の代表作の1つとして数えられる。『ナース・ステーション』は、元々1話のみのいわゆる読み切りの作品となる予定だった。作者の島津郷子は、病気などにある種の恐れを抱いていると本作品(単行本)の後書きなどでも述べているが、その関係で、当初は病気を扱う可能性のある作品を書こうとは思っておらず、そのような話は断っていた。この病気に対する恐怖は、おそらく幼少の頃に見たドラマ(映像作品)の影響であろうと、島津自身が分析している。ところが、たまたま知人の看護婦の話を聞く機会があり、その話が面白かったこと。そしてそんな折に、漫画雑誌『YOU』で職業特集が組まれたため、島津が看護婦を主人公にした漫画を描くと思わず言ってしまったことから、本作は誕生した。執筆に当って取材や資料集めなどは行ったものの、1回だけで終わりにする予定だったこともあり、勉強不足であったと島津は後に後書きで述べている。具体的には、大学病院なのに小児病棟と大人の病棟が分かれていなかったり、勤務中の中山桂子の髪の長さが長過ぎたりといったことである。1話読切だったはずの本作は読者の好評を得たため、結局『YOU』で連載が行われることとなった。連載が決まったこと自体は喜ばしい反面、病気に対する恐怖があること、また命を扱う作品であることで気が重かったということから、島津は当時の心境を後書きで「複雑な気持ちであった」と述べている。漫画雑誌『YOU』での連載が決まってしまったので、島津はより取材や資料集めに力を入れた。看護婦への直接取材などはもちろんのこと、島津自身が看護婦の1日体験をしてくるといったことも行った。他、病気などに関する書籍資料を当ることもしたが、その結果、より病気が恐ろしくなり、自分の現在の症状は何かの病気ではないかと島津自身が何度も病院に足を運ぶようなこともあった。また、島津の親類がたまたま病院へ入院するということが起こり、その見舞いがてら病院の中をじっくりと観察する機会もあった。これらの結果、執筆中に多少の修正が加えられることとなり、登場人物の容姿、行動、病院の設定などが一部修正され、中山桂子の髪の長さは連載の途中でより短く修正されている。単行本は全20巻であるが、20巻は竹沢裕哉が死亡した場面で終わっている。それ以降の展開は、文庫版でないと読むことができない。そして、その文庫版も2003年1月に刊行された第12巻で、渡辺淳子が来年留学から帰ってくるとの知らせが入り年が明けた場面で終わっている。この場面は2002年の初頭に漫画雑誌『YOU』で発表されたもので、ここで『ナース・ステーション』は未完のまま、8年以上の間、連載中断となった。これは、作者の島津が後に手記で明かしたところによれば、2001年の初め頃にはパーキンソン病と思われる症状が出始めていて、その後入院したためであった。パーキンソン病は神経細胞の死を原因とする進行性の疾患の1つであり、使用し始めた当初は効果を上げていたレボドパも充分に効奏しなくなったため、島津は2008年10月に脳に電極を埋め込む手術を受けることでパーキンソン病を抑えることを選択した。完結編の「あとがき」にある島津の言葉によれば、『ナース・ステーション』の執筆は、未完のままで連載中断となった段階で、すでに「ライフワークのようになっていた」ために、完結させたいと考えていたという。電極を埋め込む手術は一定の効果をあげ、これによって『ナース・ステーション』の執筆再開に道筋が付き、『YOU』の2009年18号の別冊付録で発表した手記で執筆を再開したことが記されている。完結編は、漫画雑誌『YOU』の2010年18号より連載を再開し、『YOU』の2011年4号までの連載を以って完結した。ただし、完結編の「あとがき」で、準備期間と制作期間を合わせると、完結までに1年半以上かかったことが明かされている。この完結編は、中山桂子と村上慎一郎との恋愛のその後が話の主軸となっている。未完のまま中断してから執筆再開までの間に、日本の病院ではナースキャップがあまり用いられなくなったり、コンピュータを利用してのデータ管理が一般化されたなどの変化が起こっており、完結編ではそれらが反映されている。また、「看護婦」という言葉も「看護師」に置き換わったりしたことで、役職名も、例えば連載中断前は「婦長」であったものが、完結編では「師長」と置き換わっているなど、使用される言葉の変化も反映されている。そして、男性の看護師も完結編で初めて登場する。なお、『ナース・ステーション』の完結編(文庫版)が刊行されたのは、2011年4月20日である。西里大学病院(にしざとだいがくびょういん)は、東京に存在するという設定の架空の大学病院(総合病院)でここを拠点として物語が展開されている。連載が続く中で、その設定が固まっていった。文庫版の後書きでは、その構造も明らかにされている。なお、連載が続くにしたがって連載開始当初とは、設定が変更された部分も存在する。また、西里大学病院の敷地内に存在する保育園のような付属施設が話の舞台になったり、さらには、西里大学病院の外で話が展開されている部分も存在する。島津郷子のブログ『私のパーキン生活』の一番上に表示されている絵は、2015年現在、本作品のキャラクターの絵である。
出典:wikipedia
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