移動現象論(いどうげんしょうろん、)は輸送現象論、移動速度論とも呼ばれ、物質(成分)、熱、運動量などの物理量が移動する速さを扱う工学の一分野である。移動現象は物理学や化学のさまざまな分野で現れ、その法則も類似している。一般に、物理量の空間勾配を駆動力にして、それに比例した大きさの流束(単位時間、単位面積当たりに移動する物理量)が生じるという形になっている。このときの比例係数を一般に輸送係数とよぶ。各現象の名称については、熱交換、物質交換などのように、「移動」を「交換」と呼び換えることがある。流体力学の分野のニュートンの粘性の法則によると、せん断応力(運動量流束)τ は(速度"v" の勾配)に比例する:比例係数μは粘性係数と呼ばれる。伝熱工学の分野のフーリエの法則によると、熱流束"q" は温度"T" の勾配に比例する:比例係数λ は熱伝導率と呼ばれる。拡散に関するフィックの拡散の(第一)法則によると、質量流束"j" は濃度"c" の勾配に比例する:比例係数"D" は拡散係数と呼ばれる。電磁気学における電気伝導によると、電流密度(電荷の流束)"J" は電界"E" (電位"V" の勾配)に比例する:比例係数σ は電気伝導率と呼ばれる。それぞれの物理量に対応する保存則から、物理量の時間変化は流束の発散で表される。上記の各例についてこのことを定式化すると、以下の拡散方程式で表される。上記の各移動現象は同時に起こることも多く、各流束の大きさの比較が重要になることがある。粘性係数は動粘性係数νで、熱伝導率は熱拡散率α で考えると(拡散係数はそのままでよい)全て単位がm/sとなる。そのため、それぞれの値の比をとった無次元数を調べることにより、大きさの比較をすることができる。流体中における運動量、熱および物質の移動現象については、それぞれの分野でデータの蓄積を中心に個別的かつ経験的に発展してきたが、それらがいずれも類似の基本法則に支配されることに着目し、共通の視点から取り扱う新しい工学体系として提案したのはBird (1960)であった。
出典:wikipedia
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