アジアの宇宙競争とは、アジアのいくつかの国家間での宇宙進出をめぐる競争である。多くのアジア国家は21世紀初頭の宇宙の主導権争いで、重大な競争者となってきた。例えば2007年9月14日には日本の月探査機かぐやが、同年10月24日には中国の月探査機嫦娥1号、翌年10月22日にはインドの月探査機チャンドラヤーン1号が打ち上げられている。また、2009年2月2日にはイランのオミード、2012年12月12日には北朝鮮の光明星3号2号機、2013年1月30日には韓国のSTSAT-2Cがそれぞれ打上げに成功している。2010年現在で、アジアにおける宇宙競争の主役は中国・日本・インドの3カ国である。特に中国は2003年10月に有人宇宙船神舟5号を打ち上げ、世界で3番目に有人宇宙飛行を達成したことで脚光を浴びている。ただしアジアに宇宙競争が存在するかという論点はまだ議論されており、中国自身はアジアの宇宙競争の存在を否定している。国家の威信を別にしても、商業的な要因も存在する。2006年発行の宇宙フロンティア財団の報告によれば、「宇宙経済」は、おおよそ1800億ドル相当と推定され、そのうち60%以上は商業的な目的とサービスに由来する宇宙活動である。宇宙空間も、多くの国々にとって多方面にわたり戦略上重要である。地球軌道は国家の安全を守るための主戦場となっている。中国、日本そしてインドによって実施されている宇宙開発計画はアメリカと旧ソ連が打ち立ててきた実績に比べれば質素なものであるが、アジアがこの分野を先導するようになるのは、時間の問題だろうと信じる専門家もいる。中国は最初の有人宇宙船を2003年10月に軌道上に投入し、宇宙に人を送ったアジアで最初の、ロシアとアメリカに続く第三の国となった。この出来事は地域での宇宙競争の始まりを示している。中国は2008年9月に船外活動を成功裏に実施した。新しい宇宙開発競争の背景には、国家の威信、国家の安全保障、および商業的利益といった要因が存在する。一部のアナリストは中国の有人宇宙飛行が国家の先進的な軍事技術を開発する試みと密接に関わっていることを指摘している。また、通信、気象予測、地球の大気観測といった商業的・科学的な動機がある。2007年、中国は高度528kmを周回する機能停止した気象衛星風雲1号CをKT-409によって破壊し、世界に衝撃を与えた。これによって生じた爆発は毎秒6マイル以上で宇宙を吹き飛ぶスペースデブリを大量に放出した。2008年2月21日にアメリカ海軍は故障した偵察衛星USA-193を破壊した。アメリカはその衛星破壊が2007年に中国で行われた衛星破壊実験に反応したものであることを否定した。日本は1999年からアメリカとミサイル防衛で協力してきた。北朝鮮の核と中国の軍事計画は、日本の外交関係にとっての深刻な問題の代表である。日本はミサイル防衛システムの開発、次世代軍事偵察衛星、そして月面有人ステーション計画という、軍事的・民事的な宇宙開発を進めている。1998年の北朝鮮によるミサイル発射実験をうけて、日本は情報収集衛星の開発を始めたが、北朝鮮政府は衛星の打ち上げを行ったに過ぎないと主張し、軍事競争を引き起こした日本を非難した。第二次世界大戦後に採択された日本国憲法の政府解釈により、日本の軍事力は専守防衛、すなわち防衛任務に制限されている。世界的な宇宙探査の気運の高まりを受け2009年に宇宙基本法が制定された。これは従来国土交通省や文部科学省など複数の省庁により実行されていた日本の宇宙開発を新たに設置する内閣府宇宙局(仮称)に一元化し、国家戦略として宇宙開発を実行することを目指すものとなっていた。宇宙局の設置は実現しなかったが、2012年に設置された内閣府宇宙戦略室と内閣府宇宙政策委員会がその機能を担う形になっている。インドの宇宙旅行への関心は1960年代初期、科学者達がケーララのジャングル上空にロケットを打ち上げた時から、少しずつ始まった。インドの宇宙計画は比較的小さいが、1980年に初めて自力で人工衛星を軌道に載せて以来、相当の研究開発を行ってきた。中国が2003年第二半期に軌道上に人間を飛ばすと発表したまさに2、3日後、当時のインド首相アタル・ビハーリー・ヴァージペーイーは公式に同国の科学者達に対して、月に人を送ることに努めるよう激励した。インド最初の無人月探査機であるチャンドラヤーン1号は2008年10月に打ち上げられた。インド宇宙研究機関はその次のチャンドラヤーン2号を計画しており、打ち上げ時期については2015年の時点では2017年を予定している。またインドは2008年の時点では2015年までにインド独自の有人宇宙飛行を予定しているとされていたが、2015年の時点では関係者から2021年ごろとコメントされている。韓国は、アジアの宇宙開発競争では比較的新しい競争者である。2006年夏に韓国初の軍事通信衛星、ムグンファ5号がシーローンチによって打ち上げられた。その衛星は対地同期軌道に置かれ、北朝鮮を監視し情報を収集することが可能である。韓国の宇宙開発計画は政府によって長期的商業利益と愛国主義で正当化されている。ソウルは長年、北朝鮮の著しく大きなミサイル実験場を、同市の安全保障に深刻な脅威と見なしてきた。宇宙へ上がった同国初の女性宇宙飛行関係者である李素妍によって、韓国はアジアの宇宙競争参入の自信を得た。同国は2000年から羅老宇宙センターの建設を開始し、アジアの宇宙開発における主導権獲得を画策している。ロシアの企業と共同開発した衛星打ち上げロケット羅老は、2009年8月のSTSAT-2A、2010年6月のSTSAT-2Bの2度の打ち上げ失敗ののち、2013年1月30日にSTSAT-2Cを衛星軌道に投入することに成功した。アメリカの宇宙支配に対し、成長中の二つの勢力である中国とインドがEUと協力するという報告がある。2003年には、EUのガリレオ衛星測位システムに中国が1億4,000万ユーロを、インドは2億1,000万ユーロを融資するつもりであることが明らかにされた。しかしながらインド政府がIRNSS (Indian Regional Navigational Satellite System) 計画を承認し、ロシアとの将来的なGLONASS開発協定に署名したことで、世界的な衛星測位システムでインドと中国が密接に働く可能性は敗れ去った。さらに、インドの月探査計画といくつかの宇宙関連計画にNASAが参加することは、宇宙開発の分野でインドとアメリカ間の協力が強化されていることを示している。中国の有人宇宙飛行は特に注目を集めたアジアの業績だった。その先進的な技術は、多くの関連技術の経験を積み重ねた結果である。中国の宇宙における業績は実用的であり、また2007年の衛星破壊実験のように、しばしば軍事に関連する技術である。初期の中国の衛星である返回式衛星シリーズは多くの大気圏再突入試験を行った。日本をはじめとする他の諸国では、核兵器に関連した技術なので大気圏再突入は避けられていた。再突入経験の少なさは今でも有人宇宙飛行への障害となっている。1990年代、中国はまた商業打ち上げでも成功した。それは多くの打ち上げ経験と、1990年代後半以降の高い成功率をもたらした。これらの業績が2003年の有人宇宙飛行に繋がった。中国は、21世紀初頭では惑星探査をはじめとする科学的な業績も視野に入れている。日本とヨーロッパがハレー艦隊で月軌道以遠の探査を開始した1980年代、中国は不況下にあり、当時は惑星探査は見送られた。2011年11月、成功すればアジア初となる火星周回機蛍火1号が(当初予定から2年の順延ののちに)ロシアのロケットを使って打ち上げられたが、軌道投入できずに失敗した。日本は多くの宇宙の業績を特に科学の分野で得てきた。そこにはいくつかの複雑な事情があった。日本初の衛星軌道打ち上げは大学の研究機関によって、国の宇宙機関よりも先に達成された。そのため初期の日本の衛星は多くが科学探査用であり、多くの科学的な業績を生んだ。一方で国の宇宙機関は早急にその大学に追い付く必要があった。そのため静止軌道打ち上げや気象/通信衛星といったアメリカの技術が早くから導入されたのである。その後、円高とスーパー301条によって日本のロケットの商業的競争力は不利なものになった。日本は打ち上げの機会を失い、経験の無さは1990年代後半以降の成功率の悪化を招いた。そのため政府の衛星を除いて日本国内での打ち上げは技術試験衛星と科学衛星に限られており、それらは世界的な業績を狙わざるをえない。インドは商業打ち上げで成功しつつあり、宇宙技術で急成長している。1回の打ち上げでは最多数となる10機の同時打ち上げが2008年に達成され、同年にはアジアで初めての月面衝突機として設計された探査機を打ち上げた。また、2014年9月には、(日本と中国が失敗した)火星周回軌道への探査機投入にアジアで初めて成功した。2014年に弾道飛行に成功(軌道飛行は2016年の予定)したGSLV-IIIは低コストな大型打ち上げロケットなので商業的な競争力が期待されている。インドはそのロケットでアジア2番目の有人宇宙飛行を目指している。各国で初となる業績の試み(もしくは予定)を、特に断りの無い限り時系列順に記す。? : 日付が確定しておらず、推測に過ぎない"(開発中または上記状態の計画のみ一覧に示す)"太陽系探査は有人宇宙飛行と同様に一般の注目を集める宇宙技術である。アジア初の惑星間探査機さきがけが1985年に打ち上げられて以降、日本はアジアの太陽系探査を長い間先導してきた。しかし21世紀に入ってから、他の国が日本に追い付こうとしている。 月には核融合への利用が期待されているヘリウム3が豊富に存在すると考えられている。急速な経済成長の下にあり、かつ世界人口の60%以上が集中するアジアにおいては、エネルギー供給目的による月開発が想定される。日本は月探査機を打ち上げた最初のアジア国家である。宇宙科学研究所で作られた探査機ひてんは1990年1月24日に打ち上げられた。しかし、この計画は工学実験的な趣が強く、月の観測は主目的ではなかった。2007年9月14日には同国2機目となる月探査機かぐやが打ち上げられた。この探査機は任務を無事終え、2009年6月11日に月に制御落下させられた。中国は2007年10月24日に同国初の月探査機嫦娥1号を打ち上げ、2007年11月5日月周回軌道に投入された。任務を終え、2009年3月1日に月面に制御落下させられた。2010年10月1日には嫦娥2号が打ち上げられた。インドは2008年10月22日に同国最初の月探査機チャンドラヤーン1号を打ち上げた。2009年8月29日に通信が途絶し運用終了となった。確認できるアジア最初の月面着陸は1993年のひてんの追加ミッションだった。それは観測の最後の制御落下(硬着陸)であり、衝突まで何枚かの月面写真が撮られた。しかしひてんは月着陸するように計画されたものではなく、月探査の科学機器もほとんど搭載していなかった。観測終了後の衝突破壊を除けば、日本の次の月着陸計画は1992年に開始されたLUNAR-Aだった。LUNAR-A周回機の中止決定後、その着陸機(ペネトレーター)がロシアの「ルナグローブ」探査機 (Luna-Glob) に搭載される可能性もあったが、ペネトレータの試験結果が2010年10月に確認されて開発が終了した時点ではスケジュール的に搭載は間に合わなくなっていた。ペネトレーターは「どちらかといえば」硬着陸機であるが、軟着陸機と同様に月面着陸時に破壊されない。月面着陸に特化された最初のアジア製探査機は、2008年にチャンドラヤーン1号から放出されたインドの月衝突機 (MIP) である。ガリレオのエントリープローブと同様、MIPは着陸で破壊される硬着陸機に過ぎないが、その搭載機器は衝突まで25分間にわたり月面観測を行った。またその降下試験は2019年に計画されているチャンドラヤーン2号のような将来の軟着陸に応用される。中国の嫦娥1号もまた2009年に観測終了後の制御落下を達成し、月面に到達した6番目の国となった。硬着陸の目的の1つはMIPと同様に将来の軟着陸の事前テストである。中国は2013年12月14日、嫦娥3号で月軟着陸に成功し、アジアで初、世界では3番目に軟着陸を果たした国となった。搭載された自走式の月面車「玉兎号」も稼働させたが、これも世界で3ヶ国目の事例である。ニール・アームストロングが月面を歩いた最初の人間となってからほぼ40年後、アジアの主要勢力は、最初のアジア人を月へ送るという、彼らの持つ宇宙目標を急いでいる。中国、そしてインドはすべて有人宇宙船を月へ送るという計画を持っており、もっとも早いスケジュールでは(中国、インドが)最初の有人月宇宙船を持つのは2020年代、アメリカのコンステレーション計画でアメリカ人が月に回帰するのが予定されていたのと同じくらいの時期になるとされる。探査機を使った日本の主な科学的成果はさきがけ・すいせいによる彗星や、はやぶさによる小惑星といった小天体に限られる。日本で初めての惑星探査は1998年に打ち上げられた火星探査機のぞみによるものだが、火星に到達する前に通信が途絶してしまった。2010年には金星探査機あかつきを打ち上げ、2010年12月に金星上空に到達したものの周回軌道への投入には失敗。その後金星に近い公転軌道を5年飛行したのち、2015年12月におこなわれた再度の周回軌道投入に成功して、日本はアジア初、世界でも4番目の「金星周回機」所持国・機関となった。2017年に欧州宇宙機関と共同で水星探査機ベピ・コロンボを打ち上げる予定であり、成功すればアジア初、世界でも2/3番目の「水星周回機」所持国・機関となる。のぞみに次ぐ火星探査計画MELOSも検討中である。また、日本はイオンエンジンを搭載したはやぶさや、あかつきと同時に打ち上げた小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSによって、化学燃料ロケットによるものとはまったく異なる惑星間航行技術を習得しつつあり、はやぶさは世界初の月以遠の天体との往復航行、IKAROSは世界初のソーラーセイルによる惑星間航行を達成している。将来的にはソーラー電力セイルとイオンエンジンの両方を利用した木星・トロヤ群探査も構想されている。ある中国の科学者は中国独自の惑星探査機を打ち上げるには今から20年かかると予想している。しかし中国は日本と比べたその計44年の遅れを取り戻す可能性がある。中国の蛍火1号はロシアのフォボス・グルントに搭載される形で火星周回軌道への投入が計画され、2011年11月(当初の予定は2009年10月)に打ち上げられたが、前記の通り失敗した。中国科学院では2050年に中国の有人火星探査を計画している。インドが2013年11月に打ち上げた火星周回機マーズ・オービター・ミッション(通称マンガルヤーン)は、2014年9月24日に火星周回軌道に乗り、アジアで初めて探査機を火星に到達させることに成功した。インドはアジア初で世界でも4番目の「火星周回機」所持国・機関となった。一方、フォボス・グルントと一緒に打ち上げられる蛍火1号と同様に、あかつきやIKAROSとともに民間宇宙機しんえんが金星へ向かう軌道に投入された。世界初の民間惑星間航行がアジアで実現されるかもしれなかったが、2010年5月22日にシグナルを受信して以来、しんえんの追跡には成功していない。なお、IKAROSは光圧による航行技術の試験、しんえんは宇宙環境におけるコンピュータの耐久試験が主目的であり、金星をフライバイするが観測機器はあまり搭載していない。1980年7月23日にベトナムのファム・トゥアンがソユーズ37号でアジア人として初めて宇宙飛行した。1981年3月22日年にジェクテルデミット・グラグチャが1985年にはサウジアラビアのスルタン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アル・サウードがスペースシャトルSTS-51-Gで宇宙飛行した。1990年12月2日には日本の秋山豊寛がソユーズTM-11で宇宙飛行した。1992年9月20日に日本の毛利衛がスペースシャトルSTS-47で宇宙飛行した。近年、アジア各国では独自の有人宇宙飛行計画が策定されており、2003年10月15日に中国では神舟5号で楊利偉が宇宙飛行した。(中国有人宇宙飛行計画)インドでも独自の有人宇宙飛行計画を進めている。(インドの有人宇宙飛行計画)イランでも独自の有人宇宙飛行計画を進めている。
出典:wikipedia
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