渦電流式レールブレーキ(うずでんりゅうしきレールブレーキ)は、鉄道車両で使われる電磁ブレーキの一種で、電磁石によりレールに渦電流を発生させてブレーキ力を得る装置である。レールに接近させて(7 mmほど離して)電磁石を設置し、ブレーキ力が必要な時にこれを励磁して、磁力でレールに渦電流を発生させてブレーキ力を得る。磁石のN-S極を前後方向に並べることで、同一地点のレールにはN極とS極が交互に接近するようになっており、これによる磁界の変化によりレールに渦電流が発生し、レンツの法則によりブレーキ力が得られる。このブレーキによって車両の運動エネルギーはレールの渦電流に変化し、その電流の損失により最終的に熱エネルギーに変換されてレールを暖めることになる。このブレーキの原理となっている、磁界の中で回転する円盤に渦電流が発生することを発見したのはフランスのレオン・フーコーである。レールとの間に物理的な接触がなく、また車輪に対して制輪子を当てる方式でもないため、レール・車輪・制輪子などが磨耗したり割れたり裂けたりといった機械的な欠損を引き起こすことがない。また騒音や嫌なにおいなどを発生させることもない。ただし、低速では効果がほとんどないため停車させるためのブレーキには使えず、他のブレーキ手段と併用する必要がある。高速度では非常ブレーキとしても常用ブレーキとしても利用可能である。EUの汎ヨーロッパ高速鉄道に関する相互運用性に対する技術仕様 (TSI: Technical Specifications for Interoperatibility) では、新造される高速鉄道車両全てに渦電流ブレーキを装備することを求めている。最初にこの方式のブレーキを装備して営業運転に就いたのは、ドイツのICE 3である。渦電流を用いてブレーキ力を得るという点では渦電流式ディスクブレーキと全く同一であるが、渦電流式ディスクブレーキでは車軸に設置したディスクに対して電磁石を設置して渦電流をディスクに発生させるのに対して、渦電流式レールブレーキはレールに対して発生させる。このため、渦電流式ディスクブレーキは最終的に車輪のレールとの粘着による制約を受け、強くブレーキを作動させると滑走状態となりうる。一方、渦電流式レールブレーキはレールとの直接作用によるブレーキとなっているため、粘着係数の影響を受けない。一般的に高速になるほど粘着係数は低下するため、渦電流式レールブレーキが有利となる。レールに対して電磁石を近づけるという点では電磁吸着ブレーキと似ているが、電磁吸着ブレーキは電磁石をレールに接触させるのに対して渦電流式レールブレーキは非接触である。また、電磁吸着ブレーキではレールの左右方向にN-S極を並べて前後方向には同一極性になるようにしている。これは渦電流によるブレーキ力は速度によって変化するため、速度に依存しないブレーキ力を得るために渦電流発生を抑止する向きにしてあるものである。故意に渦電流を発生させてブレーキ力を得ようとする渦電流式レールブレーキとは極性の向きが異なっている。近年のローラーコースターでは、渦電流式ブレーキを装備しているものがある。こうしたものでは電磁石ではなく永久磁石を使用している。電力を消費しないという利点があるが、ブレーキ力を調整することはできない。
出典:wikipedia
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