青木 定雄(あおき さだお(通名)、1928年6月23日 - )は、日本の実業家。在日韓国人1世で、本名は兪奉植(ユ・ボンシク、유봉식)。元エムケイ会長、近畿産業信用組合代表理事会長など、複数の企業・団体の要職を歴任した。韓国慶尚道生まれ。関西在日コリアン社会の代表的な人物として知られる。(経歴は青木定雄の自伝、紳士録、MKグループホームページ「MKの歩み」、国会委員会議事録、記事などから)日本におけるタクシー業界の規制緩和は、青木による運賃値下げ闘争から始まったといわれている。青木は運輸省によるタクシーの『同一地域内、同一運賃』の行政指導へ異を唱え、京都市内における一律のタクシー料金値上げにも単独反対し、タクシー料金値下げを単独断行した。1985年、青木は運輸省近畿運輸局に対し運賃値下げ訴訟をおこし、大阪地裁で勝訴、翌1986年に大阪高裁で和解した。和解により、1993年になってから、MKタクシーに対し運輸省によって全国初のタクシー運賃値下げ(10パーセント)認可がおこなわれ、近畿運輸局から認可書が交付された。運賃値下げ訴訟の和解以後、2002年の改正道路運送法までの間、運輸省は、市場の「適正車両数を越えた最大20パーセントまでの新規参入と増車の許可」・運輸局の定める「標準運賃より最大10パーセントまでの値下げ許可」などの規制緩和措置を試験的に講じた。2002(平成14)年2月1日、改正道路運送法が施行されタクシー事業は規制緩和された。これにより、タクシー会社の新規参入は免許制から許可制となり、区域ごとのタクシーの台数制限は撤廃された。タクシー運賃はこれまでどおり認可制だが、国土交通省は不当なもの以外は認めることにした(2002年2月1日産経新聞東京朝刊など)。タクシー事業の規制緩和によって、タクシー会社の新規参入が容易になり、タクシー台数の急激な増大、運賃の低額化が見込まれるようになった。 同日、エムケイ本社は、大阪と名古屋で初乗り運賃500円(中型、クラウンかセドリック)のタクシー事業に乗り出すとし、大阪エムケイは近畿運輸局に事業認可を申請した。大阪エムケイは「平成15年春までに200台の500円タクシーを営業する計画だ。そうなれば年間1億円の経常利益を稼ぎ出せる」と予測した(2002年2月1日産経新聞大阪朝刊経済面など)。初乗り運賃500円は当時業界最安値のレベルであった。2002(平成14)年5月30日、タクシー事業の規制緩和の改正道路運送法の施行から約4か月の間、近畿2府4県では、1,000台以上もの新規タクシーの「増車申請」があった。「値下げ申請」も5月29日までで111件に達しており、6月中にも認可されれば「初乗り500円」を掲げた新運賃タクシーが登場することになった。上記大阪エムケイは、当初は初乗り1・7キロ、500円で申請したが、近畿運輸局から客には「距離がわかりにくい」と指摘され、同2キロ500円で再申請した(2002年5月30日産経新聞大阪朝刊経済面など)。国土交通省の改正道路運送法(2002年)によって、運賃設定・新規参入・増車などで、タクシー業界は規制緩和され、上記のようにMKタクシーではこれに対応した顕著な動きがあった。エムケイ(経営企画部)は、2004年11月、「規制緩和は数年すると業者の淘汰が進むことが多いが、タクシーは賃金体系の特質から、運転手にしわ寄せがくる構造だ」と指摘した(2004年11月17日産経新聞東京朝刊社会面)。 MKグループでは代表取締役社長直属の秘書課が苦情処理等をおこない、経営企画部がマスコミからのインタビューへの対応等をおこなっているという指摘がある。青木は接客サービスの向上により旧弊の残るタクシー業界に新風を吹き込み、2002年のタクシー業界の規制緩和の『きっかけ』を創った人物として評価された時期もあり、青木自身も講演等においてこの点を特に強調している。ただし、タクシー業界における規制緩和は、接客トラブルの増加、交通違反、都市部のタクシー台数増加による過度の交通渋滞、低賃金と過酷な長時間労働のもたらす過労による交通事故の顕著な増加、タクシー乗務員の自殺の誘因を作ったことなどの弊害を指摘されている。警視庁交通部理事官は、「110番と事故処理で他の業務ができず、タクシーが地域の治安悪化の原因を作っている」と指摘している(東京交通新聞2009年7月20号3面など、ブログ「タクシーを語る」「警視庁が激怒した理由2009年8月7日」)。また、第45回衆議院議員総選挙直前の2009年8月16日、読売新聞は、「収入減で『楽しみの酒を控えるようになった』『この選挙は規制緩和反対の我々にとって『一揆』に近い』と憤りを隠さない。離婚や自殺に追い込まれた仲間の思いまで、1票に込めるつもりだ」という個人タクシーの男性のインタビューを報じた。現在、タクシー業界の規制緩和はニューヨークをはじめとする世界の主要都市で否定されている。タクシー会社の利益拡大と市場経済メカニズムとは融合し得ないため、タクシーの車輌台数や運賃などには、法及び公的機関などの一定の規律の取れた管理を必要とすることによる。日本では2009年6月19日の参議院本会議で全会一致により可決成立したタクシー特措法によって実質的に否定された。これはタクシー会社の収益構造に起因する。タクシー会社の利益は、売上に応じて運転手とタクシー会社が取り分を分け合う給与体系のため、タクシー会社側は次々増車して利益を確保しようとする。そして、この増車に伴い、タクシー会社各社においては限られた乗客の争奪戦が始まり、結果として簡単に『運賃値下げ』が行われがちである。タクシー会社は一定の大きさの乗客の需要というパイの中で、極端な運賃値下げ競争と車輌台数増加を行い、自社の利益の最大化を追求する傾向になりがちである。それは市場原理による価格決定のメカニズムに基づき、タクシー利用者の需要に応じて、供給側であるタクシー会社がタクシー台数を増やすというものではない。なぜならば、タクシー会社とその他の業種の会社とでは、売上高及び人件費にかかる利益の算出根拠が大きく異なるからである。この点言い換えれば、タクシー会社の利益は、各運転手の売上(水揚げ)にさほど影響を受けず、それよりタクシー会社の保有する(稼動する)タクシー車両の台数により大きく影響を受けるのである。タクシー会社の収益構造はこのように特異な性質をもっている。エムケイにおいては、売上に応じて運転手とタクシー会社が取り分を分け合う単純な給与体系ではなく、運転手の当月の賃金が確定される前に、運転手の売上から経費及び会社の取り分を事前に差し引く、いわゆる「売上原価決定前の利益事前確定」という、企業会計の一般原則及び税法に反する経理手法であるため、同業他社と比べより一層、当該「極端な運賃値下げ競争と車輌台数増加」という現象が顕著である。かつて青木による独特の社員教育に注目が集まった時期があったが、近年ではMKグループと近畿産業信用組合における運転手や従業員の離職率が非常に高いことが公共職業安定所を通じて明らかになっている。MKグループの広報担当は離職率が高い理由について、「社員教育などが厳しいため」と説明しているが、現実には労働基準法にも満たない労働条件や、朝から全員大声を出したり拍手の練習をしたりといった独特の社員教育や、特有の社風及び洗脳的な社員教育に疑問を感じて退職していく者たちがいる。青木の経営の特色は、低所得者層を主な乗客として取り込み、広く浅く収益を上げることであり、エムケイタクシーの低料金はこれを具現化したものである。問題点は、低賃金や無報酬および労働基準法にも満たない労働条件を従業員に強要していることである。青木は会長退任後もMKグループ内で"オーナー"と呼称されている。これについて2004年6月24日付東洋経済日報は、「兼任違反の恐れがある。信用組合の経営者は、法的に他の企業経営を禁止されている。兪会長はMKグループのオーナーということだが、実質代表権を持っていることは、MKグループの京都路線バス参入問題で発言していることにも表れている」と指摘している。青木は2005年に韓国のメディアの取材に対し「韓国民が意志を結集すれば、10年内に日本に追いつくことができる」という持論を述べた。青木は持論として次のように述べた。「何よりも運転手の意識改革が先決だとの強い思いから挨拶と清掃を中心とした『基本』と『常識的なこと』の励行を徹底して行った」(近畿産業信用組合の「きんさん新聞」2009年6月1日号、第155号)。しかし現実には、青木は既存のタクシー運転手に社員教育を行い意識改革し挨拶をおこなえるようにしたわけではない。名古屋地方裁判所が2008年12月16日の判決で事実認定したように、青木は、タクシー業界未経験者に対し、ハローワークやリクルート雑誌などを用いて虚偽の雇用条件で求人を行ない、運転手として雇い入れた。その後彼らに型にはまった挨拶の訓練をおこなっているだけである。青木が代表理事会長を務める近畿産業信用組合は経営破綻した三つの信用組合の事業を引き継いでいるが、この破綻処理には総額8,670億円の公的資金が投入されている。その後、同信用組合は、金融当局から法令違反、ずさん融資、見せかけ増資、そして不明朗融資等の複数の指摘を受けた(財務省近畿財務局公表内容等より)。なお、当局からの指摘事項の多くは青木が深く関与していたとみられ、信組の私物化との批判が強まっている。以下、時系列で表す。近畿産業信用組合をめぐる主な法令違反・ずさん融資・不明朗融資など第154回国会 財務金融委員会 第154回国会 衆議院財務金融委員会(2002〔平成14〕年5月17日)において、近畿産業信用組合に関連して青木のことについても議論がなされた。五十嵐文彦の質問と、それに対する村田吉隆(当時の内閣府副大臣)の答弁を部分的に抜粋する。なお、詳細については第154回国会 財務金融委員会の議事録を参照のこと。第171回国会 衆議院国土交通委員会(2009年6月9日)
出典:wikipedia
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