フォーミュラカー (Formula car) は、「車輪とドライバーが剥き出しになっている」という規格(フォーミュラ)に沿ったレーシングカーである。フォーミュラカーで行われる自動車競技がフォーミュラレースである。この項ではフォーミュラレースについても記載する。日本語の「フォーミュラカー」が指す対象を指す用語としては、米語でよく使われるのは「オープンホイールカー」(open-wheel car)、英国英語でよく使われるのは「シングルシーターカー」(single-seater car)であるが、いずれも微妙にズレがある(#呼称)。フォーミュラとは「規格」であり、直接には、国際自動車連盟(FIA)によるF1を頂点とする自動車競技(レース)に参加するための車輛の規格、ないし同様のレースのためのレーシングカーである。ゼロヨンのトップカテゴリである「Top Fuelドラッグスター」や自動車の速度記録専用車のような「走る」「曲がる」「止まる」の後2者を伴わない車輛を別とすれば、レーシングカーの中でも特にレース専用の形態をしており、単純には比較できないがプロトタイプレーシングカーよりも「レース専用車」の側にある。まず根本である「フォーミュラ」についてであるが、一例として学生フォーミュラ(w:Formula Student、全日本学生フォーミュラ大会を参照、Tier外)のルールから引用すると「The vehicle must be open-wheeled and open-cockpit (a formula style body) (以下略)」とある。つまり「タイヤがカウルで覆われてなく、コックピットがオープン」という車体が、フォーミュラスタイルである。その他としては、まず第二次世界大戦以前の自動車競技からの特徴として、といったものがある。次いで、1960年代以降に付加されていった特徴としては、がある。フォーミュラカーの外観において最も特徴的といえるのが、タイヤが剥き出しとなった構造である。空気抵抗(専門用語で抗力)が小さい形態である、とされることがあるが、あまり正しい理解ではない。空気抵抗を評価する値としてしばしば使われる抗力係数(いわゆるCd値)は、フォーミュラカーでは約1前後であり、係数だけを比較すればプリウスなど近年の低抗力係数のスタイリングのそれの約4倍にもなる。しかし、ここで注意が必要なのは、抗力係数が動圧と面積により無次元化した「係数」であるという点である。すなわち(前方投影)面積が比較して十分に小さければ、Cd値が大きくてもそのヴィークルが受ける空気抵抗自体は小さい。なお、単純に比較することはできないが、たとえばCカーのCd値はフォーミュラカーより小さく、最高速度は改修前のユノディエールの終端部で400km/hを越えF1よりも速い。以上のことから、なぜ抗力係数の大きい形態を変えないのかという疑問を持つ向きもあるが、そもそもタイヤが剥き出しの構造こそがフォーミュラカーの定義である。レーシングカーでは、十分に対抗できる推進力があれば良い抗力よりも、車体を浮き上がらせてしまう揚力を発生させず、逆に下に押さえつけるダウンフォースを得ることと、安定性と操縦性のバランスが良いことのほうが、むしろ重要である。車体に取り付けられた様々なエアロパーツは、車体を地面に押さえつけ車体の安定性を向上させるダウンフォースを発生させたり、気流を制御して走行を安定させるために付けられている。とりわけダウンフォースは大きく、F1カーの史上最大ダウンフォースは、2008年のレギュレーションにおいて約2,000kgfとされ、車重(約600kg)よりも大きい。天井を走行することも可能、と考える向きもあるが、そのダウンフォースを得るために必要な速度と、その速度を維持するために必要なグリップ力が得られるか計算する必要がある。フォーミュラカーの場合、運転席(操縦席)は「コックピット」と呼ばれ、ドライバーの体を囲むだけの必要最低限の空間において運転作業が行われる。安全確保のため、近年の車体ではコックピット周辺だけは特殊材料で極めて頑丈に作られており、コクピットシェルと呼ばれる。大クラッシュなどでは他のパーツが破損四散する中でコクピットシェルだけが残りドライバーを保護する空間を確保している様子が見られる。フォーミュラカーの運転、というより操縦は、軽量なボディ・高度な空力パーツなどの要因から車の動きは極めて鋭敏で、必要とされる技術は市販車とは大きく異なり、ドライバーには非常に高いスキルが要求される。乗用車やラリーカーなどと違って、フォーミュラカーは停止〜発進時よりも中間加速に優れている。トランスミッションのギアレシオにもよるが、ヨーロピアンサーキットを走行する場合、0-100km/hの加速には3秒強かかる。100km/h以上では大きなダウンフォースが掛かるために駆動輪が大きな摩擦力を発生し、許容駆動力が向上する。そのために加速力が向上し、100-200km/h加速は0-100加速よりも速く約2秒しかかからない。同時にこのダウンフォースによってカーブ(コーナー)を通過する速度が向上する。F1の場合は最大で外側に約5Gの遠心加速度がかかっている。快適装備や保安部品が搭載されていないのは、これらの部品で重量や空気抵抗が増加し、レースにおいてタイムや燃費を低下させる悪影響につながるためであり、エンジン位置や車高についてはレース中の車の運動性能や挙動を極限まで追求した結果によるものである。フォーミュラカーは前記のとおり空気抵抗係数は大きいが、最高速性能も優れている。ヨーロピアンサーキットに特化したF1でも340km/h(モンツァ・サーキット)に達し、最高速性能が高いインディカーでは370km/h以上に達する。フォーミュラカーがサーキットで記録した最高速度は、2000年CART、ミシガン・インターナショナル・スピードウェイで記録された413.518km/hである。日本国内においては、フォーミュラカーは基本的にレース開催時を除き一般車に混じって公道を走行することはできない。これは「保安部品がない」点などが道路交通法に則していないからである。過去には、改造車の専門店ガレージリボンが全日本F3000用に製造されたフォーミュラカーにウインカー・バックミラーなどの保安部品を追加し、実際にナンバープレートを取得した例(F3000公道仕様車)もあるが、申請には型式認定の取得で膨大な手続きと改造費が必要になるため、法的には可能でも、現実的には非常に難しい。また、現代のような最低地上高が極端に低い車両では、通常の公道における段差に全く対応できない点においても現実的でない(例としてシャコタン車は、半地下駐車場ではスロープに車底が当たりカメ状態になるので入庫を断られる)。フォーミュラカーを用いたレースは数多く存在する。国際自動車連盟 (FIA) が定める最高級クラスがフォーミュラ1 (F1) クラス。その下にGP2やフォーミュラ2 (F2)・フォーミュラ3000 (F3000)など、そしてさらにその下にフォーミュラ3 (F3) がある。またそれ以外の有名なフォーミュラカーによるシリーズとして、北米大陸のインディカー・シリーズやその下位カテゴリーのインディ・ライツ、スペインを中心とするワールドシリーズ・バイ・ルノー、日本を舞台にしたスーパーフォーミュラ(旧フォーミュラ・ニッポン)などがある。特に北米をメインに行われるカテゴリーでは「オープンホイールカー (open-wheel car)」という呼称が用いられる。F1は世界選手権として、世界を回るFIA管轄のシリーズとして開催されている。エンジン(ハイブリッドシステムと合わせてパワーユニットと呼ばれることが多い)は1.6LのV6ターボ+ハイブリッドシステム(エンジン単体で500数十馬力以上、ハイブリッドシステムが100数十馬力以上で合計約750馬力以上と言われる)。最大の特徴は、世界のフォーミュラカーレースで唯一、参戦チームが独自に開発したシャシーでレースが行われる点にある。そのため参戦するチームはコンストラクターと呼ばれる。1台の製作にかかる費用は数百万ドルとされており、チームの運営費が少ないところでも数十億円、トップチームになると500億円に達するほどである。それゆえF1ではプライベートチームを中心に、経営維持のために多額の持参金(スポンサー費用)を持ち込むドライバー(いわゆる)が存在する。なお参戦するドライバーはFIAが発給するスーパーライセンスを保持している必要がある。スーパーフォーミュラと肩を並べるアメリカ独自のカテゴリー。元々「インディカー」とはインディ500を走るレーシングカーを指す言葉で、その後アメリカのオープンホイールカーの代名詞になった。インディカーによるレースシリーズは、インディ500が開催されて以来100年以上に渡り複数の運営団体によって開催され、過去にはアメリカ自動車協会(AAA)、アメリカ合衆国自動車クラブ(USAC)、CART、インディ・レーシング・リーグ(IRL)が存在した。2011年よりIndyCarが主催するインディカー・シリーズでは、アメリカ国内を中心に、オーバル、ロード、市街地といった多様なコースを走り、特にオーバルでは最高速度350km/h以上の超高速戦が展開される。エンジンはエタノールがメインの混合燃料を使用、最大2.2Lの過給式6気筒直噴(最高約700馬力)である。なお参戦するドライバーはグレードA(国際A級)ライセンスが必要。かつてはF3000クラスだったが2009年から独立カテゴリ化した、日本独自のシリーズ。2012年までの名称は「全日本選手権フォーミュラ・ニッポン」。上記の2カテゴリに比べてレース数や集客は少ないが、それでもなお独立レースとしては2大カテゴリに次ぐ繁栄度を誇っている。しかし、未だにステップアップカテゴリのイメージが払拭されていない(一部の公式なウェブサイトでさえF1直下のカテゴリとして扱われてしまっているケースも少なくない)ことに加え、景気停滞や自動車メーカー側がSUPER GTに主眼を置いていることなどからメディア露出も少なく、再興への策が求められている。エンジンは現在は2.0L 直列4気筒シングルターボが採用されており、将来、エネルギー回生システムを組み合わせることも予定されている(2015年から採用予定だったが、現在延期中)。なお参戦するドライバーは参戦数を確保するためかグレードB(国際B級)以上のライセンスが必要となっている。F3000クラスに該当するカテゴリーとしては、ヨーロッパ各国を転戦するGP2(旧国際F3000)やワールドシリーズ・バイ・ルノー、AUTO GP(旧ユーロF3000)などが開催されている。本来はF1へのステップアップカテゴリーであるはずだが、近年F3からの飛び級組に押されドライバーのF1へのステップアップが困難になっていることから、ヨーロッパを中心にカテゴリー自体のリニューアルが相次いでいるほか、日本でもフォーミュラ・ニッポンが独立カテゴリ化を図った。エンジン出力は500~600馬力程度で、いずれもワンメイクマシンによるイコールコンディションが売り物となっている。アメリカには、インディカー・シリーズの下位カテゴリーであるインディ・ライツ(450馬力)がある。ここでのチャンピオンはほぼ確実にインディカー・シリーズへのステップアップが可能である上、オーバルでのレース経験も積める利点もある。F3クラスに相当するカテゴリーは、モータースポーツが盛んな国において多数存在し、代表的なものとしてはアイルトン・セナやミカ・ハッキネン・佐藤琢磨らが参戦したイギリスF3、2001年に金石年弘が王者を獲得したドイツF3、2001年に福田良が王者を獲得したフランスF3をベースに誕生したユーロF3、イタリアF3、全日本F3などがある。これ以外にアジアF3、南米F3などのカテゴリーもあるが、ヨーロッパF3はFIAのライセンス規定上別格として扱われ、F1参戦に必要なスーパーライセンス発給の条件であるポイントがランキング上位者に順位に応じて(1〜10位まで40〜1点)付与される。これら世界中のF3選手権の成績上位者を集めて行われるF3世界一決定戦が、マスターズF3やマカオGPなどである。エンジン出力は220馬力程度。またアメリカのプロ・マツダ・チャンピオンシップ、インドのMRFチャレンジなども、エンジン出力がF3とほぼ同等なためF3と同格として分類する場合もある。この他、特定の自動車会社が作ったフォーミュラカーでの選手権などもあり、その場合は「フォーミュラ○○」という名前で行われている。その多くはF3よりも格下のジュニア・フォーミュラに分類されるが、中にはワールドシリーズ・バイ・ニッサンのようにF3000と同格に位置づけられるものも存在する。フォーミュラ・リブレ(Formula Libre = FL)とはフランス語で「自由規格」の意味で、「フリー・フォーミュラ」と英訳される。FIAや開催国の自動車レース統括団体 (ASN) が定める統一規格とは異なる、独自の車両規定によって開催されるシリーズ、もしくは、カテゴリの異なる車両が混走するレースのこと。日本においては日本自動車連盟(JAF)の規定上、かつてのフォーミュラ・トヨタやフォーミュラ・ドリームなどがフォーミュラ・リブレに該当する。日本語の「フォーミュラカー」が指す対象を指す用語としては、米語でよく使われるのは「オープンホイールカー」(open-wheel car)、英国英語でよく使われるのは「シングルシーターカー」(single-seater car)である。しかし、どちらの語も基本的にはそれぞれ字義通りの意味を持つため、微妙にズレがある。Wikipediaで当記事に対応する英語版の記事は、フォーミュラーレーシング()の記事になっている。車輛についての英語版の記事はオープンホイールカー(、日本語版ナシ)であり、英国英語ではシングルシーターカー(single-seater car)である、としている。フォーミュラカーは通常オープンホイールでシングルシーターである。オープンホイールカーにはフォーミュラカー以外に、ダートで競われる短距離競技のスプリントカー()なども含まれる。また戦前のグランプリカーなどに、オープンホイールだがシングルシーターでないものがある。モンスタースポーツのE-RUNNERパイクスピークスペシャルはシングルシーターだがオープンホイールではない。ウィキメディアコモンズの各カテゴリも参考のこと。
出典:wikipedia
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