三塩化酸化バナジウム(V)(さんえんかさんかバナジウム ご、)は、化学式が VOCl と表されるバナジウムの化合物である。常温で液体で、蒸留は可能だが空気中で直ちに加水分解される。強い酸化剤であり、主に有機合成の試薬として用いられる。毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。三塩化酸化バナジウム(V)はバナジウム(V)の化合物で、反磁性である。四面体形構造を持ち、O-V-Cl 角は111度、Cl-V-Cl 角は108度、V-O 結合長は 157 pm、V-Cl 結合長は 214 pm である。非常に水と反応性が高く、放置しておくと塩素が発生する。無極性溶媒(ベンゼン、ジクロロメタン、ヘキサンなど)に可溶である。塩化ホスホリルとは類似点もあるが、塩化二酸化バナジウム(V)には酸化性があるという点で異なっている。一般にリン化合物には酸化性はない。VOCl は、酸化バナジウム(V)の塩素化によって合成できる。この反応は約600 程度で進行する。VO と炭素との混合物を用いれば、この反応は200-400 で進行させることが可能である。この場合炭素は、TiO から TiCl を製造するクロール法と同じように脱酸素剤として作用する。前駆体として酸化バナジウム(III)が使われることもある。実験室レベルでは、塩化チオニルによって酸化バナジウム(V)を塩素化して合成する。VOCl は、速やかに VO と HCl に加水分解される。ビーカーの中に入れておくと、壁面に VO が生成しているのが見られる。反応中間体として塩化二酸化バナジウム(V)が発生する。VOCl はトリエチルアミンなどの塩基の存在下、アルコールをアルコキシドに変化させる。VOCl は VOCl の合成においても使われる。塩化二酸化バナジウム(V)は、一酸化二塩素を用いる特殊な反応によって合成される。VOCl は180 より高い温度で VO と VOCl に分解する。同様に、VOCl も VOCl と VOCl に分解する。VOCl は強力なルイス酸であり、アセトニトリルやアミンなどと錯体を作る傾向がある。錯体を作る際、バナジウムは4配位四面体形構造から6配位八面体形構造に変化する。VOCl はエチレンプロピレンゴム (EPDM) の合成の触媒、または前駆触媒として使われる。
出典:wikipedia
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