高速バス(こうそくバス)とは、主に高速道路を通行する路線バスのことを指す。以下、特記ない限り、日本国内の高速バス(道路運送法に規定される「一般乗合旅客自動車運送事業」の形態として運行されるバス)について記述する。一般的には、距離が数十から数百キロの都市間輸送、ないしは都市と観光地を結ぶものの中で、高速道路を利用するものを指す。ただ、国土交通省等役所の各通達で使われていた「高速バス」という言葉も一定ではなく、「高速バス」という語の法律的な定義はされていない。そのため旅行業者(「一般貸切旅客自動車運送事業」の形態として運行されるツアーバス)が自社商品を「高速バス」と呼称している事実もあった。高速道路上(道路標識など)では単純に「路線バス」と記載されている。観光バスなどとの識別のため(高速道路の料金区分が大型バスの場合、路線バスは大型車、それ以外は特大車料金になるため)、バスのフロントガラスの運転席寄りに「路線バス」の標識を付けている(ただ、ETCの普及で、料金所での人手を介した通行券の受け取りや支払いがなくなったことから、「路線バス」の表示はない場合も見られる)。空港へのアクセスを担う高速バスは事業者によってリムジンバスとも案内されるが、リムジンバスを高速バスの下位概念として見なされることがある。高速道路は通過しないが中長距離の都市間連絡を担う特急・急行バスも場合によっては制度上は高速バスと同等に扱う場合もある。なお、特急、急行バスは多くは一般道経由のバスとして高速バスと区別されるが、事業者によっては高速バス内の上位種別として特急、急行バスと称する場合や、路線名としてそのように称する場合もある。また、路線全長の内、高速道路走行区間が短い路線を準高速バスと称する場合もある。東名ハイウェイバス、名神ハイウェイバス、中国ハイウェイバスの各停便は、種別が急行となる。但し、名神ハイウェイバスの急行便は2006年(平成18年)現在名称上廃止している。高速道路を通過する際には、法規によりバスの着席定員以上の乗客を乗せて運行することが禁じられているので、所要時間1~2時間程度までの短距離路線など一部を除き、事前に席を予約する座席指定制を採用することが多い。一部では、一般路線バスと同様に予約不要だが、定員以上は乗車できない定員制を採用している。また、ほぼすべての路線で全席禁煙となっている。他の交通機関と比較して安価である場合が多く、鉄道と異なり道路を利用する関係上、天気などの気象状態のほか、大型連休・旧盆・年末年始などの行楽シーズンや、集中工事期間、突発的な交通事故などの発生による渋滞・交通規制などにより、定時運行ができないことがある。以下の記載は、基本的に路線バスとしての高速バスに限定して記述する。観光バスタイプの車両に類似するが、路線バスとして運行するため行き先表示装置・自動放送装置・降車ボタン・運賃表示器・運賃箱等の一般路線バス車両と同様の機器を取り付けている。逆に必要のない出入口部のガイド席や客席のマイクなどは装備されていない。ただし、完全予約制の路線については自動放送装置・運賃表示器・運賃箱のない車両が利用される場合もある。室内のシートはほとんどがリクライニングシートで、昼行路線が3列(2+1)または4列、夜行路線が3列独立シートの場合が多い。なお2+1タイプの3列シートでは、出入り口側に通路がある車両と運転席側に通路がある車両が混在する。また、観光バスとして用いていた車両に、運賃箱や放送装置などを取り付けて、高速バスに転用した車両も多い。観光バスからの転用の場合、ある程度の距離を走る路線でもトイレ無しの場合がある。西日本鉄道などでは、夜行車を昼行用に転用したことがある。逆に、JRバス関東では昼行用の車両を独立3列シートに改造の上、夜行用に転用したことがある。黎明期の高速バスでは、通常に比べ出力(馬力)の大きい専用のエンジンを搭載したバスをメーカーに特別注文したものもあった(その代表例が国鉄専用型式)が、通常の観光バスと比べ価格が高く、また市販の観光バスの車両も出力が大きくなったために、必要性が薄れ、現在では製造されていない。ただし、前述のように各メーカとも通常の観光バスをベースとして、行き先表示装置(サボで代用する場合もある)など路線バスとしての装備と、車内を最小限の簡素な仕様とした高速バス向けの車両を用意している。さらに、夜行高速車の場合、3列シート、交代乗務員の床下仮眠室など夜行バス向けの装備と、高出力エンジンと制動力に優れたフルエアブレーキを装備したインターシティ仕様を各メーカが設定している。またコストダウンとバリアフリー化のため、近距離高速バスについては高出力エンジン仕様のトップドア路線バスや、いわゆる「ワンロマ」をベースとした車両もあり、一部事業者(特に首都圏や九州地方)で集中的に導入されている。一部事業者では、運行コスト削減のためマイクロバスを使用する事例もある(中国バス運行が運行していたフライングフィッシュ号やオーシャンライナー、南部バスの軽米高速線など)。また、曜日限定ではあるもののジャンボタクシー車両を使用した路線も存在した(両備バスがかつて運行していた広島つやまエクスプレス)。中長距離用の場合は車両中央部の床下または最後部に便所を設けてあるものが多いが、盆や正月などで増便する場合、観光バス車両など、トイレを設置していないバスが使用されることがある。その場合は高速道路のサービスエリア等での休憩をこまめにとることがある。トイレはハイデッカー・スーパーハイデッカーでは中央部か最後部、ダブルデッカーでは1階の最後部に設置されている例が多く見られる。設置場所の制約からコンパクトにまとめられており、下の写真にあるように、用を足すための最小限の広さのものが多いが、広さを横幅いっぱいに拡大し、便器のほかに洗面台や鏡を備えたパウダールームを設置している例もある。床下には大きな荷物を収納するためのトランク(荷物入れ)が設置されており、車外から車体側面下部にあるトランクリッドを開けて荷物を出し入れするようになっている。また夜行高速車では床下もしくは最後部、2階建て車の場合は階下席前扉脇にカプセルホテルに似た形状の乗務員仮眠室も設置されており、運転しない乗務員は横になって仮眠することができる。床下配置の場合は中央床下トイレの脇に仮眠室の出入口があり、また外部からもトランクルーム同様のドアがあり出入りが可能になっている。続行便等で仮眠室を装備していない車両を使用する場合は、運転席後部の座席を仮眠スペースとして使用するケースが多い。かつては長距離路線を中心にAVサービス機器(ビデオやテレビ放送の放映、マルチチャンネルオーディオ、ラジオなど)が装備されていたが、近年は縮小・省略の傾向にある。座席に個別の液晶テレビを備えている例もある。また長距離路線を中心に給茶機・冷蔵庫によるセルフサービスでの飲物の提供、あるいは自動販売機による飲物の販売、100円硬貨もしくはテレホンカード専用車内電話などの設備・サービスが実施されていたが、これらも縮小・省略の傾向にある。一方、近年では乗客がノートパソコンやスマートフォンを利用して車内でインターネットに接続することを可能にするため、車両に公衆無線LANを導入したり、座席にモバイル機器充電用のコンセントやUSBポートを設置したりする事例も増えている。同一の区間で設備と運賃に格差をつけた複数の便が運行されている例がある。また同じ車両であっても設備と価格に格差をつけている場合がある。戦前にも省営自動車広浜線(広島 - 浜田間)など長距離路線が存在したが、第二次世界大戦による燃料統制でバスの運行は極めて困難な状態となった。戦後、燃料統制が解除された1950年代から再び長距離路線が増え始める。1950年(昭和25年)には一畑電気鉄道(現一畑バス)が広島 - 松江線を直通急行バスとして運行開始(1960年には 広島電鉄バスも参入)。九州の福岡 - 熊本間(西日本鉄道・九州産業交通)や福岡 - 小倉 - 大分間などで長距離バスの運行が開始され、その後は自動車技術の発達と道路改良に伴って、各地に一般道路経由の長距離バスが誕生した。関門急行線以降、長距離バスにはパワーステアリング・エアブレーキ・エアサス・冷房装置・リクライニングシートといった長距離輸送に適した装備を備える車両が使用されるようになっていった。当時は、国鉄の輸送が近代化される前で幹線でも単線・非電化で輸送力の低い路線が多く、またマイカー普及前で交通量も少なかったことで渋滞が少なくバス利用者も多かった。その頃の長距離バスは、鉄道のライバルというより、むしろ鉄道の補完的な役割であった。日本では、以下のバス路線が緒とされている。これ以降、旧盆や年末に、貸切バスを利用した会員制「帰省バス」と銘打った大都市から地方都市への長距離バスが運行されるようになる。帰省ピーク時でも座席が確保されるということもあって、好評を博していた。また、一般道路経由の長距離バスも国道改良が更に進み、所謂「バス黄金時代」を迎えていた為多数の路線が開設され、その受け皿になる沿線バス事業者出資の合弁バス事業者も数多く設立された。1970年代後半は、新幹線などの鉄道輸送網が所要時間などの面で優位に立ち、その上2度にわたるオイルショックの影響も重なり、高速バス路線の運営が硬直化していったこともあって、本州の高速バスにとっては厳しい時代を迎える。1980年代に入ると、旧国鉄の運賃・料金値上げや夜行列車の削減・廃止が相次ぎ、鉄道輸送網が次第に競争力を下げてゆき、高速バスの運賃面での優位性が際立ってきた。また路線の運営面でもより合理的なシステムが生まれた。そのため次第に高速バス路線が増加の傾向を見せる様になった。この時代は、好景気や高速道路網の拡大と相まって、大都市のバス事業者と地方の事業者が相互乗り入れ(共同運行)する形で路線拡大が急速に進み、全国ネットを確立していった時代である。全国の高速バス路線網が一通り完成して「開設ブーム」が終わり、新規路線拡大が落ち着きを見せる。不況とも相まって、利用者のニーズに合わない路線が淘汰されていった時代といえる。2001年2月の改正道路運送法施行により、バスの新規路線開設、さらにバス事業自体の免許制から許可制への移行など、規制緩和されたことから、貸切バス事業を中心とした新規参入、さらにこれを利用した会員制都市間ツアーバスの運行が活発に行われるようになり、高速バスは厳しい競争の時代を迎える。また過剰な設備を排し、高速バスの最大のメリットである低運賃を今までよりさらに追求していく傾向が出て来た。2010年以前から、「ツアーバス」の形態について各種の問題点が指摘され、ツアーバスのあり方が検討されてきたが、2012年に発生した関越自動車道高速バス居眠り運転事故を受けてツアーバスと高速路線バス(乗合バス)の一本化が行われることとなった。一本化後の制度は「新高速乗合バス」とされ、2013年7月31日夜から運行されている。この過程で元々の乗合バス事業に対しても、運賃設定や管理の受委託などの規制緩和が行われ、既存事業者にもそれらの制度を活用する例が現れた一方、ツアーバス事業者のうち新高速乗合バスに移行したものは3割程度にとどまっている。旧ツアーバスの事業者については、新高速乗合バスへ移行後にさらに新規路線を運行開始する事業者もある一方、いったんは新高速乗合バスへ移行して運行開始したものの、その後に事業を廃止し、路線を休廃止したり他社に譲渡したりした事業者もある。2000年代に行われたバス事業規制緩和と引き替えに、交通違反などの各種法令に違反した場合の行政処分の規定が新たに設定された。違反した場合は道路運送法40条に基づき、状況に応じて事業者・営業所単位で違反点数(使用停止台数と使用停止日数の積を10で割った数値)が付加され累計違反点数が一定以上になると、50点以上でバス事業の停止、80点以上で事業の許可取消処分が行われる。そのため、違反した事業者は国土交通大臣及び各運輸局長・運輸支局長・自動車検査登録事務所長の命令により、一定期間違反した事業者・営業所での事業拡大(路線の開設や参入)が禁止される(このことを服喪期間という。ただし地元自治体などからの要請があれば特例で路線開設を認める場合もある)。違反点数の累積期間は原則3年間である。ただし、違反点数が付加されていない営業所において行政処分以前の2年間に違反行為がなく、かつ違反点数が付加された営業所において2年間違反行為がない場合は、行政処分から2年経過した時点で消滅する。なお事業者が分割・譲渡した場合は事業者・営業所単位の累積違反点数が承継される。なお2004年(平成16年)8月1日に基準が改正され、事業拡大の禁止期間がそれまでの2年間から5点以下の処分で3か月、19点以下で6か月、20点以上や悪質違反で1年間に緩和されたが、車両停止の処分については厳格化され従来は使用停止台数と使用停止日数の積を10で割った数値が整数でない場合は端数を切り上げていたが、改正後は使用停止車両のうち1台の使用停止日数を延長して整数となるように変更された(端数調整により日数が延長されるのでより厳しくなっている)。2006年(平成18年)5月には、飲酒運転を放置した事業者に対しては、違反点数に関係なく事業停止の処分が下せるようにするといった法案が提出された。座席指定なしで発売。この場合は事前予約はできないので、乗車時にターミナルの窓口で乗車券を購入するか、一般路線バスの様に車内で直接運賃を支払うことになる。先着順に乗車し、空いている席に自由に座ることができる。満席となった場合は補助席を利用することになる。法令により高速道路では立っての乗車はできないため、補助席も埋まると乗車できず、次発の便に回されてしまう。近距離(100km程度まで)の高速バスはこの方式を採用している路線が多い。基本的には座席定員制と同じだが、事前に乗車する便を指定して予約することが原則である。座席は指定せず、空いている席に自由に座ることができるが、予約していればその便の座席が1席分確保されているので満席で乗れない心配はない。予約せずに乗る場合は予約した乗客が優先されるため満席で乗れないこともあり得る。その場合も座席定員制と同様、補助席を利用する。補助席も埋まると次発便へ回される。予約指定制ともいう。事前予約を原則とし、発券時に乗車便・座席も指定するもの。ほぼすべての夜行路線や、私鉄・専業系バスの中・長距離路線の大半で、この方式が採用されている。乗車券はバスターミナルなどにあるバス事業者の直営窓口や旅行会社で事前に購入する。購入前に電話で予約ができる路線がほとんどである。なお、バスターミナルや旅行会社以外での購入方法として、次のようなシステムがある。旅行会社で座席指定制高速バスの乗車券を手配する場合(事前にバス会社に直接予約を入れた後での旅行会社での手続きを含む)、旅行業務取扱料金が別途加算される場合があり、1路線毎(往復で購入する場合は往復購入で1路線扱い、往復利用であっても往復割引が利かない日数を空けたために片道2枚の購入となった場合は2路線とカウントする)に、「(一例として)設定された下限額あるいは乗車券の20%相当額のいずれかを旅行業務取扱料金として徴収できる」と、「旅行業法第12条の4による取引条件説明」として提示の上で徴収される場合がある。この場合、往復割引が利いてもその割引分が取扱料金として徴収される取扱料金の負担で相殺されてしまうこともあるため、片道運賃からの単純計算で2倍前後あるいはそれを上回るケースもある。この旅行業務取扱料金は、旅客鉄道各社発行の乗車券や特急券(立席特急券や指定席、グリーン席、グランクラスも当然同様)には適用されないため、みどりの窓口で発券可能なバス路線の場合は、旅客鉄道各社の切符発券の方式に準じて対応する(いわゆる、マルス発券による)ケースもあるため、旅行業務取扱料金が加算されない場合もある(みどりの窓口発券対応路線であっても、マルス発券によらない受付は、当然に旅行業務取扱料金の運輸に関わる部分の対象となり、徴収対象とされる)。ツアーバスから移行した新高速乗合バスの場合、上記とは異なる独自の予約サイトを持ち、窓口を持たず支払方法をクレジットカードまたはマルチメディアステーションでの支払いに限定し、乗車券を発券しない場合が多い。また、新高速乗合バスでない高速乗合バスは乗車券を発券した際に座席も指定されるが、新高速乗合バスは運賃を支払ってもその時点では座席が指定されず、当日の乗車時に乗客の性別などを考慮して座席が設定され、各乗客に連絡される場合が多い。日本の高速バスでは便または路線ごとで愛称を付けているケースが多い。理由については様々だが座席指定制の場合は発券、事務処理上の便宜として付けているほか路線・目的地の宣伝広告の意味で付けているケースがほとんどである。自由席の路線でも路線・目的地のアピールとして付けているケースがある。つけ方としては以下のようなつけ方がみられる。鉄道や航路の未発達な途上国を中心に利用されているが、先進国・準先進国でも、高速道路が発達した地域では、多くの路線が設定されていることが多い。フィリピンやペルー、ドイツや台湾、韓国はそれぞれの例である(台湾のバス交通及び韓国のバスも参照)。特に鉄道・航空機との競争が激しい台湾では、路線によっては2列シート・按摩・おしぼり・個人テレビ・バスガール付きの豪華な都市間高速バスが24時間体制で運行されている。一方アメリカではアラスカを除く本土全土に路線網を有する「グレイハウンド」高速バスがあるが、鉄道のアムトラック同様以下の理由により都市間交通は高速な航空機(格安航空会社)の独擅場と化し、都市間バスは淘汰されつつある。ヨーロッパでは、ほとんどの国が陸続きになっていることから国際(EU域内)間の路線バスも多く、各国のバス会社が加盟するユーロラインズという協業組織がある。
出典:wikipedia
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