Cz75は、1968年に開発が計画され、1975年に製造されたチェコスロバキア製の自動式拳銃。名称のCzは、(チェコ兵器廠国有会社(チェコ語:Česká zbrojovka, n.p.:ČZ、1992年民営化)にちなむ。主任設計者はFrantisek Koucky。第二次世界大戦後、共産党が政権を握ったチェコスロバキア国(当時)は、国内の武器生産能力を維持し、また、外貨獲得の手段とするため、タイプライターやディーゼルエンジンなどの工業製品を製造し、その傍ら民間向けの自衛用銃器も製造した。チェコ製銃器は設計技術と製造品質の高さが評価され、輸出売上高は急速に拡大し、外貨獲得の優良な供給源に成長した。1968年、輸出市場向けに9mmパラベラム弾薬を用いる拳銃を開発することが企画され、Frantisek Kouckyは、新型ピストルの開発を指揮するために、Uhersky Brod社と契約を交わした。 当初、彼はコンパクトで単列(シングルカラム)弾倉を持つピストルを考えていたが、1972年にチェコの産業貿易省は、軍や警察の需要を見越して、複列(ダブルカラム)弾倉を装着することを設計要件に加えた。デザインチームはいくつかの試作品でテストを行い、1975年にCz75ピストルが完成した。ブローニング型ショートリコイル作動方式を採用し、複列単給弾方式弾倉(ダブルカラム シングルフィード マガジン)付属、ダブルアクションとシングルアクション両用の引き金機構を持っている。フレームには鋼材を採用し、手動安全子(マニュアルセーフティ)はコックアンドロック方式、フレームがスライドを包み込む結合方式となっている。フレームとスライドの結合はと同じ方式である。長所は、スライドとフレームとの組合わせガタを少なくでき、命中精度を高めることができる。短所は、噛合わせ部分に異物が侵入した場合に除去されにくく回転不良を招きやすいこと、スライドの指掛け部が狭く操作ミスを起こしやすい。Cz75は、米国市場に紹介されると、工作精度の高い鋼製フレームとコックアンドロック式の手動安全子、高い耐久性とコルトガバメントモデルと同一の操作性などがプラクティカルシューティング層に支持され、「世界最高のコンバットセミオートピストル」と評価された。製造国のチェコスロバキアはワルシャワ条約機構の一部であったため、米国では高額の輸入関税が課されており、正規輸入する場合、納税済みの書類手続きを完了させるには約900ドルの費用が掛かった。 当時の他のハンドガンの価格は、S&W M19は約200ドル、コルトゴールドカップは約370ドル、コルト・パイソンが400ドルであった。そのため、1980年代前半の間は、米国内に流通するCz75は、ドイツまたはカナダなどを経由し個人レベルで持込んだり、間接的に輸入されたものに限られていた。設計者であるFrantisek Kouckyが取得していた4つの特許(Cz75のDAトリガー機構の部品構成に関するもの)は、チェコスロバキア軍がCz75の採用を検討していたことから機密扱いになっており、国内特許であったため、イタリア、スイス、スペイン、トルコ、イスラエルなど不利な関税制限のない国でコピー製品が製造され、米国に輸出されていた。イタリアではCz75をもとにが製造された。1980年代中盤になると、カナダのバウスカ社が代理店となりCz75が米国市場に流通するようになった。この輸入モデルは製造コストを押さえるために、従来のブルーイングではなくエナメル塗装仕上が施されていた。1989年以降になるとチェコの共産主義政権は崩壊し、それに伴い米国の輸入関税は課されなくなったため、米国内でもCz75の価格は他の製品と競争できるまでに降下した。後に米国内にCZ-USA社が設立され、改良が加えられたCz75Bをはじめとして、様々なバリエーション製品が製造販売されている。チェコスロバキアは、当時共産圏であったために、コストパフォーマンスを第一に考える必要がなく、強度のある最高級のスチール削り出し加工で部品を薄くすることができた。これに人間工学的な設計を加えることでグリップ形状に特徴を持たせ、握りやすさを向上させている。チェコスロバキアは政治的に東側の一員だったが、西側諸国にも多数が輸出され、高品質に比べて値段が安い優秀な自動拳銃として評判を高めていた。現在でも前期型は高価で取引されている。当時コンバットシューティングを提唱していたジェフ・クーパー(Jeff Cooper)がCz75を高く評価し「これが.45ACPであったなら世界最高のコンバットオートである」と述べ、後にこの提案をもとにした「ブレン・テン10mmオート」の開発に協力した。当時の米国では、「評価は高いが共産圏製で手に入らない」という点から、実力からは想像も付かない過大評価がされていた。前期型の成功により受注が増えたCz75は、生産性を上げるためにいくつかの変更を行った。便宜上2ndモデルとも呼ばれる。カナダ輸入モデルはエナメル塗装仕上げになっており、輸入代理店の名からバウスカ・モデルとも呼ばれる。製造過程を削り出しからインベスティメント キャスト(精密鋳造)へ変更し、これによる強度の低下のため、スライドとフレームの形状を若干変更している。また、グリップパネルは人間工学的に優れたデザインに変更された。これに伴い重量もやや増加し、デザインも多少変化している。東欧民主化後、チェコスロバキアからチェコ共和国へと製造国の政治形態は変化したが、Czで生産は続けられ、世界市場に向けてさまざまなバリエーションが作られている。以下は現在ラインナップされている主なモデル。現在の公式サイトではモデル名はCzではなくCZと大文字で表記されているため、ここではそれに準ずる。いずれのモデルも特に記載がなければ基本的には9mmルガーを使用する。他にもコンペンセイターを装着したモデルなど、競技用を中心に多彩なラインナップが存在している。Cz75シリーズは、本国チェコを中心に中央ヨーロッパや東ヨーロッパ諸国などの法執行機関で採用されている。アジアにおいては中国や北朝鮮などで明らかなCz75のコピー品が使用されている。時代背景や土地柄もありアメリカや西ヨーロッパ圏の執行機関での採用実績は今ひとつではあるが、近年はSP-01やP-07などのセールスに力を入れているようだ。変わったところではNHKのドキュメンタリーで、匿名を条件に取材に応じたイギリスの民間軍事会社がバリエーションのひとつ、CZ75Dを実弾訓練の際に利用しているところが確認されている。(実戦において使用しているかどうかは定かではない)Cz本社以外からもクローン製品やその競技用バージョンなどが発売されている。イタリアのはCz75クローンとして有名である。TA90はCz75に先駆けて1980年代初頭には米国市場に輸入されていた。TA90はデコッキング・セフティをスライドに装備するなどCz75より携帯時の安全性に気を配ったデザインだった。タンフォリオはただのクローンにとどまらず、Cz社よりも早い段階でポリマーフレームモデルの"シリーズを投入するなど積極的な商品展開をしている。Cz製よりも安価な上に10mm Autoモデルやコーンバレルを搭載したモデルなどの意欲作が存在する。さらには世界的な射撃競技であるにおいてタンフォリオ・チームのがオープン・ディビジョンで5度の優勝(1999、2002、2005、2008、2011年)と2014年にプロダクション・ディビジョンで優勝を飾るなど性能面で優秀なこともあり、日本ではマイナーながらも海外での人気は比較的高い。イスラエルのIMI ジェリコ941は上記のイタリア タンフォリオ社から技術提供を受け開発されたもので、間接的ではあるがCz75の血統といえる。アメリカにおいてもCz75は爆発的な人気を得たため、至高のコンバットハンドガンを目指した10mm Auto拳銃 ブレン・テンの参考にされている。同じくアメリカのスプリングフィールド・アーモリーは1989年にP-9の名称でCz75のコピーの販売を開始したが、1992年に同社が倒産し、販売は終了した。同社は1994年に再建したが再生産されることはなかった。このP9の部品はタンフォリオで製造されたものである。アメリカを代表する銃器メーカーであるコルト社のColt Z40はCz75のクローンとして異色の存在である。コルト社はCz社と正式な契約を結びコルトのブランドでZ40を販売したが、Z40を製造していたのはCz社であり厳密にはクローンとは言い難い。Z40はコルト社を代表する製品であるコルト・ガバメントを意識したデザインのアレンジがなされコルトの商品であることをアピールしていたがコルトのユーザーにもCzのユーザーにも受けず、コルト社は1999年末から2000年初頭までのわずかの間で販売をやめてしまい、残った在庫はCz社がCZ40Bとして販売したが、短期間で販売は打ち切られた。1000丁程度しか販売されず珍銃とされているが、後のCZ2075 RAMIのベースとなっている。スイスのソロサーンはAT84Sの名称でコピーを販売したが、これはタンフォリオから部品の供給を得ている、しかしながら、タンフォリオより高品質だったという。同じくスイスのは基本のメカはコピーしつつも大きなアレンジを施し、オリジナルであるCz75に勝るとも劣らない品質という評判もある。中国、北朝鮮でも生産されているが、中国ノリンコ製のものは、外観の仕上げが劣るとされている。北朝鮮では朝鮮半島の代表的な山である白頭山から名前を取った「白頭山拳銃」として生産されており、金正日総書記から下賜される贈呈用拳銃として、銀色メッキや装飾が施されたものもある。銃としての性能に関しては、チェコ製のものに劣るとされている。ArmaLite社はCz75のコピーであるAR-24 PISTOLを販売している。これらのコピー製品の中にはスライド・ストップが折れる故障を起こす物があることが一時期問題となった。それらの製品がオリジナルであるCz75の9mmパラベラムよりプレッシャーの高い9x21mm弾薬や.41AE弾薬を採用していた事も原因の一つではあるが、そもそもコピーブランドは自社での製品の研究や開発の能力が乏しいからこそのコピーでもあり、品質に関してオリジナルに劣るのも当然の部分もある。特に材料の選定や熱処理などの強度に関わる技術はコピーが難しい。
出典:wikipedia
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