数学において、ほとんど (almost) という語は、ある厳密な意味で用いられる専門用語のひとつである。主に「測度 0 の集合を除いて」という意味であるが、それ単体で用いることはあまりなく、「ほとんど至るところで(almost everywhere)」「ほとんど全ての(almost all)」などの決まり文句でひとつの意味を形成する。測度空間において、ある性質 "P" を満たさない点の集合の測度が 0 である場合、ほとんど至るところで(英: almost everywhere、略して a.e.、仏: presque partout、略して p.p.)"P" を満たす、という。実数上で考えている場合は、通常ルベーグ測度を用いる。本質的に「ほとんど至るところで」と同等の意味であるが、確率論において、測度として確率測度 "P" を考えている場合は、ほとんど確実に(almost surely、略して a. s.、または almost certainly とも)という用語を用いる。すなわち、事象 "E" に対して、"P"("E") = 1 であるとき、「ほとんど確実に "E" が起こる」とか「"E" の起こる確率が 1 である」という。初等的な確率論では考えられないことであるが、確率が 1 であるとは、そうならない事象が存在しない、という意味ではない。例えば、コイントスを繰り返していつかは表が出る確率は 1 であるが、延々と裏が出続けるという事象も概念上は存在する。しかしその確率は 0 であって、「ほとんど確実にいつかは表が出る」といえる。ほとんど全ての(almost all、略して a. a.)という表現は、いくつかの意味で用いられるため、明示的に説明がなければ、どの意味であるかは文脈から判断しなければならない。第1に、「ほとんど全ての点で」という表現が「ほとんど至るところで」と同じ意味で用いられる。第2に、「有限個の…を除いて」という意味で用いられる(補有限)。例えば、「自然数 "n" はほとんど全ての素数と互いに素である」といった場合、それは「"n" と互いに素ではない素数(すなわち "n" を割り切る素数)は高々有限個しかない」という意味である。この意味で「ほとんど全ての」と表現する場合、必ず無限集合が背景にある。先の例では素数全体の集合 P が無限集合であり、"n" と互いに素である素数の集合を "S" とした場合、差集合 P − "S" が有限集合であることを意味したのであった。もしも P が元々有限集合であったならば、「ほとんど全ての」とは表現しない。第3に、主に整数論で用いられる用法として、その性質を持つ自然数の「割合」が 1 であることを意味する。より正確に述べるならば、"x" 以下で性質 "P" を持つ自然数の個数を "P"("x") で表したとき、である場合に、「ほとんど全ての自然数は性質 "P" を持つ」という。例えば素数定理より、(素数は無数に存在するにもかかわらず)ほとんど全ての自然数は合成数である。
出典:wikipedia
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