『Dr.スランプ』（ドクタースランプ、Dr.SLUMP）は、鳥山明による日本の漫画作品。ペンギン村に住む発明家、則巻千兵衛が作った女の子タイプの人間型ロボット（アンドロイド）、則巻アラレのハチャメチャな日常を描いたギャグ漫画。基本は一話完結型だが、千兵衛とみどりの新婚旅行や、運動会の話など複数回に渡って続く時もある。『週刊少年ジャンプ』（集英社）にて1980年5・6合併号から1984年39号まで連載された。当初は則巻千兵衛を主人公として毎回発明品で失敗する、という方向性のストーリーであったが、担当編集者の鳥嶋和彦の強い主張により、アラレを主人公に据えて展開された。なお、本作が短期打ち切りとなった時のことを配慮し、連載開始前からすでに鳥嶋と次回作の打ち合わせをしていたことも明かしている。作者の鳥山が大の車好きということもあり、扉絵にはアラレが自動車を運転する場面などが多く描かれた。しかしあまりに描きすぎて、担当の鳥嶋に注意されたこともあった。大概は鳥嶋の意向を汲んできた鳥山であったが、恋愛漫画を描くのが大の苦手であり、アラレとオボッチャマンのラブシーンの要求には気が進まず拒否したという。1981年4月には『Dr.スランプ アラレちゃん』のタイトルでアニメ化され、大ブームを巻き起こし、視聴率36.9%とアニメ視聴率歴代3位を記録。同年12月に発売されたジャンプ・コミックスの第5巻は、初版130万部を発行し『ドラえもん』（巻数は不明）の120万部を上回り、当時の日本におけるコミック単行本の初版部数を更新。さらに第6巻は初版220万部となった。累計発行部数は3000万部以上。1982年のザテレビジョン創刊号「あなたが選ぶ人気漫画」では、男性部門、女性部門どっちも1位に選ばれた。TVアニメと同時期にはニッポン放送のキリンラジオ劇場でラジオドラマ化もされている。 則巻千兵衛役は、伊武雅刀、 則巻アラレ役は、原由子が出演している。1991年には愛蔵版、1995年から1996年には文庫版を発売した。2001年から2004年には、コンビニコミック版を発売し、2006年から2007年には、完全版を発売した。ちなみにコミックスは、英語版と中国語版が出ている。鳥山の次作『ドラゴンボール』でも一時期、ペンギン村が舞台となる話がある（其之八十一 - 八十三）。『Dr.スランプ』のキャラクターも出演し、話の大筋にも絡む。このときのペンギン村は、タロウが警察官になっており、アラレたちはまだ高校を卒業してない『Dr.スランプ』連載終了時の設定がほぼそのまま受け継がれている。該当部分がアニメ化された際には（アニメ『ドラゴンボール』第55話 - 第57話）、『Dr.スランプ アラレちゃん』と同一キャストの声優陣が出演した。『Vジャンプ』で、1993年2月21号から1996年9月号まで監修：鳥山明、脚本：小山高生、絵：中鶴勝祥と東映アニメーションよる漫画『ちょっとだけかえってきた Dr.SLUMP』が連載された。それに合わせて、ベースにした作品、それを原作とする劇場作品が1993年と1994年の春と夏の東映アニメフェアで全4作が公開された。1997年にはアニメのリメイク作『ドクタースランプ』が放送された。また、『Vジャンプ』にて1997年12月号から2000年7月号までリメイク版の『ドクタースランプ』漫画版（原作・監修/鳥山明、脚本/成田良美、作画/山室直儀）が連載された。こちらは単行本化されていないが、2008年3月21日に発売されたTVアニメ『ドクタースランプ』DVD-BOXの特典として復刻コミック化している。2007年には、作者の鳥山が描いた漫画『ドクター・スランプ2007特別編　Dr.MASHIRITO ABALEちゃん』が月刊少年ジャンプ2007年4月号に掲載され、それ原作とした『劇場版Dr.SLUMP　Dr.マシリト アバレちゃん』が公開された。2016年9月には、GUのコマーシャルで、実写化される。本作の実写は初めてである。本作は、1回〜3回で完結する話が多いが、6回、7回と続く話がある。本作はペンギン村を主な舞台に話が繰り広げられる。作中で暦は西暦が使われていて、日付は「1982年ザリガニ26日日曜日」のように月は数字の代わりに、魚などの水棲生物の名前を使用している。小説『Dr.スランプ（映画編）』によると各月との対応は表の通りである。これらの頭文字を繋げると「ハニホヘトイロハザペプシ」となり、ペンギン村の小学園で真っ先に教えられることとされる。年については、本作中では連載時の現実の世界にあわせた西暦が使用されている。作中の季節は掲載当時にあわせてあり、現実にあわせて夏休みやクリスマスなどの話も描かれた。作中の時間経過も現実にあわせてあり、千兵衛の年齢は連載当初では28歳だったが終盤では33歳になっている。また、アラレたちも進級し、終盤では高校生だったタロウが警察官に就職したり、アラレやあかねが自動車の免許を取る話もあった。人間とともに、人語を話し二足歩行する動物型地球人やモンスター型地球人も数多く在住し、人間と同等の権利を有している。その一方で人語を話さず二足歩行しない動物も棲息。架空の動物や怪獣の類いも数多く在住、あるいは棲息し、モビルスーツなどもいる。生物以外でも、天体、山、樹木、学校の校舎などが人間のように意思を持って喋ったり動くこともある。鳥山の出身が愛知県西春日井郡清洲町（現・清須市）ということもあり、その地域で使われる方言の名古屋弁が作中で多用されている。日本語以外には、英語も用いられている。作中では、太陽系の天体以外にも、いろいろな天体が登場する。他には、死後の世界・あの世も登場する。作中の天体はアラレたちによって何度も割られたり粉砕されたりしているが、いつの間にか元通りになっている。どうやってなのかアシスタントの松山が尋ねたが、鳥山も答えられなかった。宇宙には、銀河系を担当する神様がいる。神様は普段、宇宙空間に浮かぶ小さな雲の上に建っている和風の平屋に住んでて、愚かな文明が栄え取返しの付かないことをしてしまった星があるときは自分の手で消滅させることもある。知的生命体が生まれ始めた星には、後々アラレから則巻ガジラと名付けられた部下の天使を送り込んで危険な文明が栄え始めたら食べつくすという任務を与えることも。アラレや千兵衛が暮らす時代の地球は、神様から見て危険な文明が栄え始めた状態にあったらしい。宇宙には宇宙警察もいて、惑星ハナノオエド支部に所属しているヘイジは身長こそ地球人の半分くらいだが、数百万光年の距離を瞬間移動できる機能を備えた宇宙船に乗っている。本作の主な舞台となる太陽系の惑星で、ニコチャン大王はチタマと呼んでて、初めて来たときには「占領するちょうど100個目の星」と言っていた。神様は「このように美しい星はめったにあるものではない」と称賛している。作中の地球にも複数の国家が存在していて、日本、中華人民共和国、エジプト、ニューヨーク、スイス、フランス、ナイル川、ナナバ王国、チャカボ王国、オーサム地方、北極、南極など、いろんな土地が登場している。日本には、ゲンゴロウ島の他に、名古屋も登場していて、マシリトは千葉の地名も口にしている。ゲンゴロウ島にはペンギン村の西北西に「ドラゴン町（まち）」がある。それ以外にも「あげは町」、「モンシロ町」、「カナリア村」があり、他にも2村存在。ペンギン村の南部にある海峡を隔てた離島には「カモシカ村」がある。高校も、ゲンゴロウ島にはペンギン村村立高等園以外に、アラレに一目惚れした番長が通っているカナリヤ高校もある。アラレやタロウが自動車運転免許を取得するため入学した『ゲンゴロウ島自動車学校』は、看板に合格率100%と謳っているだけあって、法規のテストはタロウが駐車禁止の標識を正しく答えただけで合格、実地テストは1台しか無い教習車が故障中だったから、タロウが自転車の運転ができただけ、アラレがラジコン戦車の操作ができただけで合格と卒業になり、2人ともゲンゴロウ島公安委員会が発行した、普通自動車第一種免許と原付免許の欄に1と刻印された免許書を取得できた。ゲンゴロウ島でも原則、普通自動車第一種免許を取得できるのは18歳からだが、ここの教官はアラレに脅されて17歳なのに入学を認めて、アラレの法規テストも一時停止の標識を三角と答えたのに合格にした。本作の主な話の舞台。作中の設定では、日本国内にあるとされているゲンゴロウ島にある村。作中では何度もド田舎であることが強調されており、風景は山々や地平線ばかりがのぞき、民家もまばらにしか存在しない。村の中学生たちは、地下鉄やエスカレーターも知らなかった。レストランはペンギン村の衆にとってあこがれの存在で、ペンギン村では9千円あったら自動車が買えてしまう。海岸には灯台もあって村には蒸気機関車も走っている。ペンギン村で一番高い山・イチニーノ山ではサンタクロースが弟子の八龍（はーろん）に修行をつけている。生徒が少ないため、学校は一クラスのみであり、入学試験などもない。住民の気質は総じてのんきで大らかであり、細かいことは気にしない人々ばかり。作中でも身代金目的の誘拐や、銀行強盗などの凶悪犯罪が何件か発生していた。怪獣が暴れたときにはウルチョラ警察隊が応戦することもあるけど、隊員が乗っている戦闘機の武器は投石だけ。家賃が払えなくて追い出されたヤクザが、となり村からペンギン村に初めて現れたときには珍しがって、大勢の村民の前で壇上に昇らせた。第2回ペンギングランプリでアラレが村長になる前は、眼鏡をかけたペンギンが村長だった。ちなみに、アニメ第1作の千兵衛が警察署長役で登場する話では、村は平和でのんびりとしているようにも見えるが、アホしかいないだけに犯罪件数も決して少なくは無いと、治安の悪さを物語るエピソードが存在する。鳥山は「田舎者なので賑やかな都会は嫌いだから、ペンギン村みたいに相当な田舎なのに色々な物があったりする、やたら都合のいい田舎は自分の理想かもしれないので、ペンギン村には住みたいかもしれない。でも、作品的にペンギン村を田舎にした一番の理由は、家やビルや人ゴミなどを描くのは凄く大変だから」と語っている。作中では、地球以外にも知的生物の住む星が多数あって、占領や壊滅を目的に地球へやってくる凶悪な宇宙人も少なくない。太陽系惑星には地球の他にも民宿や旅籠があるらしく、千兵衛が予定していた新婚旅行は、金星の民宿で1泊して冥王星の旅籠で1泊する、銀河系の旅2泊3日だった。死ぬと身体から魂が抜け出てて魂だけの状態になって、あの世へ行く。魂だけの姿は生きていたときと同じ姿で足もあるが、聖歌隊が着るローブに似たような無地で純白の服装になって、頭上に天使の輪が浮かび、背中には天使のような白い羽が生える。だが、地獄行きになると横縞の囚人服姿になって輪も羽もなくなる。普通の人間に魂は見えないけれどロボットのアラレには見える。この世をさまよう幽霊の場合、上半身は生前と同じ姿だが、白い三角頭巾と白装束を着け、下半身は足が無い姿になり、人間にも姿が見える。あの世に着いた魂は、独特な衣装に身を包んだ閻魔大王に、天国行きか地獄行きかの決定を下される。悪人は地獄行きになるが、蟻を気付かずに踏み殺してしまっても地獄行きになるらしい。閻魔大王の機嫌を損ねると地獄行きになることもあって、閻魔大王の顔にウンチを投げつけたせいでアラレは地獄行きを言い渡された。地獄行きの船は、帆に髑髏の印が描かれた大きな帆船で、地獄行きの者はその船に乗るため囚人服を着て1列に並ぶ。地獄には悪魔もいて、悪魔のチビルは地獄と書かれた看板を持って、タクシードラゴンと一緒に地獄行きの船に乗船する死者の誘導係もしている。千兵衛とアラレが地獄行きになったときは、誘導係のチビルが「モクケラヒーッ！！」の呪文で足元にある地面の雲にこっそり穴を開けて、脱出させてくれたおかげで2人は生き返ることができた。アルバイトの死神もいて、5巻に登場したモンスター一族のドランパイアたちも、死亡する死者を迎えに行くアルバイト死神の仕事に励んでいたが、アラレのしでかしたことに激怒した閻魔大王からクビにされた。ペンギン村の西にあるパタパタ山はあの世と繋がっているらしく、チビルはこの火山から地上に飛び出した。チビルは人間を殺すと、男だと5円、女だと30円、可愛い女の子だと200円の小遣いが貰えるらしくて、銃火器を使って人間を殺そうと頑張ったが、重傷を負ってもなかなか死なないギャグ漫画の特徴のせいで、嘆いていた。則巻アラレやその同級生などのペンギン村の面々が主として登場。時折、さまざまな宇宙人などもゲストキャラクターとして姿を見せる。2作ともフジテレビ・東映アニメーション（旧 東映動画）製作、フジテレビ系で放送された。鳥山も当時の単行本で、アニメ第1作はちゃんと見ていると話していた。1980年代前半から90年代前半にかけて、単独上映の長編『Dr.SLUMP “ほよよ!”宇宙大冒険』と、東映まんがまつり、東映アニメフェアの作品として短編映画が9作品、それ以外で2007年に5分アニメ1作品が上映された。2008年には全ての劇場作品を収録したDVDボックスが発売された。各劇場作品の詳細については、各リンクを参照。2007年3月3日、『ONE PIECE エピソードオブアラバスタ 砂漠の王女と海賊たち』の上映前に、アニメ第1作の最終回から約1年後を描いた5分のショートアニメ『劇場版Dr.SLUMP Dr.マシリト アバレちゃん』が同時上映された。「SLUMP THE BOX MOVIES」に映像特典として収録されているが、映像特典なので『Dr.スランプ』劇場版DVDボックス公式サイトで「全10作品」と書かれている内には含まれてない。また、公開とほぼ同じ時期の3月上旬に発売された『月刊少年ジャンプ』2007年4月号にて、鳥山の連載デビュー作・Dr.スランプ復活作品で作者の鳥山が執筆した読み切り漫画『ドクター・スランプ2007特別編　Dr.MASHIRITO ABALEちゃん』が掲載された。『劇場版Dr.SLUMP　Dr.マシリト アバレちゃん』の原作で話の内容もほとんど同じ。漫画の前には、本作に出演したアニメ第1作のキャストである小山茉美、野沢那智、古川登志夫、佐藤正治、大竹宏、千葉繁のコメントが掲載されてて、漫画の後には、アバレやマシリトJr.も書かれた登場キャラクターの関係図や、今までのキャラメルマンシリーズの解説と、鳥山がマシリトJr.の家族のことやタロウが書いた本のことと「ABALEちゃんの舞台はDr.スランプ最終回から1年後くらい」と回答しているコーナーが掲載されている。ちなみに、SLUMP THE BOX MOVIESを発売元の集英社、フジテレビ、東映アニメーション、東映ビデオのいずれかでオンライン予約すると、Dr.MASHIRITO ABALEちゃんの扉絵を鳥山が描いたときのカラー原画を使用した「すぺさる　光学式対応マウスパッド」を貰えた。

出典:wikipedia