ドデカカルボニル三ルテニウム () は化学式 Ru(CO) で表される錯体である。オレンジ色で金属カルボニルクラスターを形成しており、他の有機ルテニウム化合物の前駆体となる。3つのルテニウム原子が集合し "D" 対称のクラスターを形成した構造の錯体である。3つのルテニウム原子を正三角形の頂点としたとき、各ルテニウム原子につき正三角形の同一平面上に2つ、垂直方向に2つの CO が配位した構造を取っている。Os(CO)も同様の構造を有している。一方 Fe(CO) は、これら2つのカルボニル錯体とは異なる構造を取る。Ru(CO) は、塩化ルテニウム(III)と一酸化炭素とを溶液中高圧で反応させることで得られる。正確な化学反応式は明らかとなっていないが、以下のようなものと推定されている。Ru(CO) の化学的性質は広く研究されており、多くの化合物の前駆体となっている。高圧の一酸化炭素と反応させることで、ルテニウム間の結合を切り Ru(CO) を合成することができる。Ru(CO) は不安定であり、同族の鉄錯体である Fe(CO) とは対照的である。Ru(CO) が Ru(CO) へと戻る際には、CO の脱離により生成する不安定な Ru(CO) の生成が律速となっている。この Ru(CO) は Ru(CO) と反応し、最終的に Ru(CO) へと戻る。水素存在下で加熱すると、四面体構造の RuH(CO) が生成する。またルイス塩基の存在下で、以下の反応が進行する。（Lは第3級ホスフィン、もしくはイソシアニド）高温では RuC(CO) や RuC(CO) といった、炭素と一酸化炭素を配位子とするクラスターへと変化する。また [RuC(CO)] や [RuC(CO)] といったアニオン性のものも知られている。

出典:wikipedia