アメリカ軍における統合軍(とうごうぐん、)について解説する。現代の軍隊においては、各軍種が高度・専門化してきている。それと同時に、作戦行動の際には軍種によって指揮系統が分かれることは、作戦の阻害要因(縦割り)にもなり、軍種を超えた統合司令部を設置することが望ましいこととなっている。アメリカ軍はこの考えに則り、2つ以上の軍種を地域別(geographic region)・機能別(functional area)に統合した統合軍を編制・設置している。2014年時点では6つの地域別統合軍および3つの機能別統合軍がある。なお、2014年時点で編成されてはいないが、これら統合軍と同格であり、1軍種で構成された部隊は、特定軍(Specified Combatant Command)と呼称される。アメリカ軍は、第二次世界大戦中のヨーロッパ戦域で、統合司令部を組織していたが、太平洋戦域では陸軍系と海軍系の2つの指揮系統となっていた(空軍が発足したのは朝鮮戦争直前の1947年)。第二次世界大戦終結後に、ヨーロッパ戦域のような統合司令部を平時にも常設することを検討し、1946年12月に現在まで繋がる統合軍編制が承認されることとなった。最初の統合軍は以下のような地域別統合軍であった。極東軍と太平洋軍が分かれているのは、日本占領任務に関する陸軍の主張が通ったことによる。各統合軍司令部は、統合参謀本部(JCS)の指揮で作戦を行なうが、統合軍に割り当てられない部隊は、各軍種の長(陸軍参謀総長・海軍作戦部長・空軍/陸軍航空軍参謀総長)の指揮下にあり、戦略航空軍団(SAC)も統合軍に割り当てられなかった。は統合参謀本部(JCS)に法的な基盤を与え、戦略地域における統合指揮を行なうとされた。また、同年中に北東軍を除く各統合軍も実働し、大西洋艦隊は大西洋軍(Atlantic Command)に改称した。北東軍の実働については、カナダとの調整があり、1950年のこととなった。なお北東軍は、実働から6年後の1956年には、大陸防空司令部(CONAD)の拡充に伴い、これに吸収・統合される形で廃止されている。1961年3月には戦略機動兵力として、陸軍・空軍からなるアメリカ打撃軍(United States Strike Command,STRICOM)の編制が下令され、1962年に実働を開始した。また、1963年にはカリブ軍がアメリカ南方軍(United States Southern Command,SOUTHCOM)に改編されている。1972年には打撃軍がアメリカ即応軍に改編され、さらに1983年にアメリカ中央軍となった。このほか、1975年にアラスカ軍が廃止され、1985年には宇宙防衛を担当するアメリカ宇宙軍が編制されている。統合軍に最も大きな変化があったのは1986年のゴールドウォーター=ニコルズ法制定である。それまで、統合軍編制はなされていたものの、JCS権限の不足や各軍種の長の指揮・責任範囲、各軍種の対立などの問題により、統合作戦に支障が生じる場合があった。ゴールドウォーター=ニコルズ法により、作戦指揮系統が整理され、JCSや各軍種の長は作戦指揮系統より外され、JCSの補佐の下、大統領から国防長官を通じ、各統合軍司令官へ直接指揮を下す方式となった。この後も、アメリカ軍は統合軍編制を随時見直しており、1987年にはアメリカ特殊作戦軍とアメリカ輸送軍が新たに編成された。1992年にはアメリカ戦略軍が編成、核攻撃作戦系統も整理された。1999年には冷戦後の状況を踏まえ、大西洋軍を改編し、アメリカ統合戦力軍が設置された。同時多発テロ事件後の2002年にはアメリカ合衆国本土防衛のため、アメリカ北方軍が置かれている。最も新しい統合軍はアメリカアフリカ軍であり、2008年より実働を開始している。このように、近年は新たな統合軍の新設や改編が続いていたが、2011年には統合戦力軍が、国防費削減策の一環として設置から10年あまりで廃止されている。また、2011年4月の地域割り当ての改正では、特に北極エリアの割り当てが見直されている。北極点及びその周辺は、各統合軍の境界であったものが、北方軍の担当エリアとされた。
出典:wikipedia
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