月シリーズ(つきしりーず)は、エドガー・ライス・バローズによるアメリカのSF小説のシリーズ名。全3部。ムーン・シリーズとも表記する。本項では、創元推理文庫版の表記に準ずる(#備考参照)。以下、原題と連載期間、刊行年、2種類の邦題を示す。時代設定、主人公、作品スタイルも付記した。なお、すべて未来史に該当するが、第2部はその傾向が顕著なため、他の部からは省いた。また、本作の第1部、第2部には、発端となる部分(ジュリアン3世から、「わたし」が話を聞く部分)がある。加えて、第2部の冒頭では、2050年の地球侵攻の顛末(ジュリアン5世とオーティスの決戦)も語られている。創元推理文庫(月シリーズ)全2巻の表紙・口絵・挿絵は武部本一郎。ハヤカワ文庫SF(ムーン・シリーズ)全2巻は金森達。なお、『月からの侵略』の裏表紙は、1941年12月7日の真珠湾攻撃を双眼鏡で眺めているバローズらの後姿が採用されている。本作の単行本には、2種類の異版が存在している。1926年のマクルーグ版では、第2部と第3部の約1/5が削除されており、カナベラル・プレスが復刊したハードカバーも、この版である。エース・ブックスのペーパーバック版は、連載版を収録した完全版であり、創元版『月からの侵略』は、これを底本としている。なお、厚木淳は、ハードカバー版の編集を「全1巻にするため」と推測している。また、「特に重要な場面に大幅なカットがされている」とも述べている(ユダヤ人問題のシーンなど)。ただし、ハヤカワ版も、ほぼ同じ内容である。本作の特徴は、次の4点である。主人公は転生を繰り返し、ライバルのオーティス及び子孫のオル・ティス一族、月人(カルカール人)と対決する。第2部は、ディストピアと化した2120年のアメリカ(主にシカゴ周辺)が描かれる。第2章からが本編であり、ジュリアン9世の語りが始まるのだが、自己紹介を交えながら、1頁の間に1~6の点が述べられる(『月からの侵略』 25頁、『月人の地球征服』 27頁)。また、続く5頁で、7~14の事が語られる(『月からの侵略』 26頁-30頁、『月人の地球征服』 28頁-32頁)。以後、折に触れて15以下の事実が提示される。以上のうち、4と14は年表と矛盾する(オーティスとカルカール人の侵攻は2050年)。これの解釈は3通りある。なお、ヒロインのファンナがオル・ティス将軍に貞操を奪われそうになった時、創元版では「犯されたか」と、ストレートな表現になっている(ハヤカワ版では「まちがいをしでかしたか」)。他のバローズの日本語訳作品の場合、遠まわしな表現(「死ぬよりひどい目」など)になっている場合がほとんどで、『月からの侵略』のシビアさが際立っている。以下、本作で語られる部分と、関係する史実を示す(太字で書かれている内容が史実。年月日が太字なのは仕様)。月およびその生物は、ほとんどが第1部にのみ登場する(カルカール人及びその子孫は、シリーズを通した敵として登場する)。ハヤカワ版ではカルカル人。元はウ・ガと同じ種族だった。彼らとその子孫は、3作を通して敵として登場する。本シリーズの第1部では、火星(バルスーム)との関係が大きな意味を持っている。宇宙船バルスーム号は、火星との友好を結ぶべく、地球を出発し、名前も火星から取られている(もっとも、火星に対する言及は、第1部の冒頭と、第2部の冒頭だけに留まっている)。なお、ヘリウム、ジョン・カーター、第8光線、バルスーム光線と、固有名詞(人物名)が明記されている。ただし、ハヤカワ版では、「バルスーム光線」は「火星光線」と翻訳されている(宇宙船は、「バルスーム号」と訳されている)。第1部のプロットは、火星シリーズの第1作『火星のプリンセス』との共通点がある。一方で、相違点も存在する。オーティスは亜人およびカルカール人と通じ、レイス(敵対国家)を滅ぼし、皇帝の座に就いている。この点において、彼は悪のジョン・カーターであり、ガ・ヴァ・ゴは悪のタルス・タルカスであると言える。また、カルカール人に武器を渡し、上の階級を滅ぼした、という点では、デヴィッド・イネスかアブナー・ペリー(ペルシダー・シリーズの主人公と、そのパートナー)にも該当する。すなわち、オーティスはバローズの主人公らの合わせ鏡(負の存在)となっている。また、第2部冒頭の2050年の戦いでオーティスが使用する電子銃は、後に『火星の秘密兵器』(1930年)に応用された。創元版は「エドガー・ライス・バローズ」、ハヤカワ版は「エドガー・ライス・バロウズ」と表記ゆれが存在する。
出典:wikipedia
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