バロック・ポップとは1960年代中ごろからはじまった音楽の様式。その特長は、クラシックの要素をロックミュージックの作曲や録音にもちこむことである。バロック・ロック、イングリッシュ・バロック 、チェンバー・ロック、チェンバー・ポップともよばれる。ハープシコード、オーボエ、チェロ、フレンチホルンなどのロックにはなじみのない楽器が演奏される。バロック・ポップの最盛期は、シンセサイザーやサンプラーの導入以前、さまざまな楽器が「実際に」セッション・ミュージシャンによって演奏されていたときである。プログレッシブ・ロックも同様にクラシックで用いられる楽器を取り入れているが、バロック・ポップの曲構成は普通のポップスのように単純で、歌詞の内容も後期プログレッシブ・ロックに見られるような抽象的なものではない。バロック・ポップはサンシャイン・ポップとも似通っているが、それよりもメロドラマチックで暗い曲調である場合が多い。バロック・ポップの正確な起源は、確信を持って判断することは困難である。1960年代初頭、バート・バカラックは「ウォーク・オン・バイ」(1963)でフリューゲルホルンを使うなどの実験的な試みをしていた。フィル・スペクターも、自身の「ウォール・オブ・サウンド」のためにクラシックで用いられる様々な楽器を導入していた。ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンはそれに呼応するように、1963年のアルバム『サーファー・ガール』でストリングスを用いている。イギリスのゾンビーズが1964年にリリースしたシングル「シーズ・ノット・デアー」は、クラシックで用いられる楽器は使用していないにも関わらず、後のバロック・ポップで表れる特徴的なハーモニーがよく出ているため、このジャンルの初期の例としてよく引用されている。ニューヨークのバンドであるレフト・バンクのメンバー、マイケル・ブラウンはそれに触発され、1966年発表のシングル「いとしのルネ」でハープシコードとストリング・カルテットを導入する。これが、一般的にバロック・ポップの誕生だといわれている。またビートルズは、クラシックの素養のあるプロデューサー、ジョージ・マーティンの手によって、楽曲「イエスタディ」や「エリナ・リグビー」でのストリングス・カルテットを導入したり、「イン・マイ・ライフ」ではハープシコードのような電子ピアノを使ったりした。1966年にローリング・ストーンズがリリースした「レディ・ジェーン」では、ブライアン・ジョーンズがダルシマーを演奏している。ブライアン・ウィルソンは、1965年の『トゥデイ』『サマー・デイズ』から、ハープシコードやツィターなどでオーケストアレンジを使い始め、特に翌1966年に発表の『ペット・サウンズ』での強烈なインパクトは、後のプロデューサーたちから模倣されることになる。バロック・ポップは、1970年代のパンク・ロックとエレクトロニック・ミュージックが人気を博すにつれて、次第に姿を消していったが、R.E.M.のようなバンドの作品がきっかけになってまた復活しはじめた。現在において、オーケストラアレンジやクラシック曲の構成をもちいたバロック・ポップは、1990年代に人気を博したローファイブームへの反発として、インディー楽曲において一般的になっている。ときにはポップにおける通常の楽器は完全に使われない。過去20年におけるバロック・ポップに分類された多くのアーティストは、インディー・ロック、オルタナティブ・ロック、フォーク、アメリカーナ、ブリットポップ、サイケデリック、ドリーム・ポップなどのさまざまな分野に分類されることもある。
出典:wikipedia
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