『眼の壁』(めのかべ)は、松本清張の長編推理小説。『週刊読売』に連載され(1957年4月14日号 - 1957年12月29日号、連載時の挿絵は御正伸)、1958年2月、光文社から単行本として刊行された。後に電子書籍版も発売されている。若い会計課次長が、パクリ屋の手形詐欺に端を発する、連続殺人事件の謎を追跡するミステリー長編。『点と線』に次いで連載開始された推理長編であり、知能犯的経済犯罪を発端に、様々な社会的素材・人間像が盛り込まれ、連載中から大きな反響を呼んだ作品である。1958年に松竹で映画化されている。電機メーカーの会計課長・関野徳一郎は、R相互銀行本店にて、パクリ屋グループによる詐欺に引っ掛かり、総額3000万円の手形を詐取された。会社は大損害を蒙り、責任を感じた関野は、湯河原の山中に分け入り、自殺する。遺書により過程を知った関野の部下・萩崎竜雄は、社内の極秘として事件を警察に頼めないなら、自ら真相を追跡しようと決心した。新聞記者・田村満吉と共に、事件の背景を追う竜雄だったが、高利貸の女秘書・上崎絵津子や右翼の領袖・舟坂英明など、謎の人物が交錯し、やがて殺人事件に発展する。原作における設定を記述。本作では、犯人たちの故郷が「長野県南佐久郡春野村字横尾」とされており、村名以下は架空の地名ながら「村の端に小さい皮革工場がある」、「横尾というところは、付近でも貧農で知られた村なんだ。音次は、その貧しさに耐えかねて、村を飛び出したのだ。なにしろ地方では貧困な農家にたいして、因襲的に蔑視の念が強いからね」などの記述から被差別部落であることが暗示されており、部落解放同盟岡山県連合会から「部落差別を基礎にした発想法に問題があり、差別を助長する作品として見逃すことができない」と非難を受けた。このとき清張は部落解放同盟との会談に応じ、作品のなかの地名を変更したり再出版の断念を表明したりした。1958年10月15日に松竹系にて公開された。連載中の1957年5月に映画化が決定され、『君の名は』の佐田啓二主演・大庭秀雄監督のコンビで制作された。また、宝塚出身の鳳八千代は、松竹専属入社後の初出演映画となった。原作と比べて、詐欺事件の経緯などの説明部分は省略され、主人公・萩崎竜雄の考えや気持ちを描くことに重点が置かれ、また、萩崎と上崎絵津子の邂逅場面を増やすストーリー展開となっている。現在はDVD化されている。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。