行政刷新会議が行う事業仕分け(じぎょうしわけ)は、国家予算の見直しにおいて、国民への透明性を確保しながら、予算執行の現場の実態を踏まえて、そもそも事業が必要か否かを判断し、財源の捻出を図るとともに、政策、制度、組織等について今後の課題を摘出するものである。事業仕分けは、2010年度予算編成のために民主党政権が導入した手法。2002年、シンクタンク構想日本によって地方自治体を対象として、その予算の無駄を明らかにするために行なわれたのが最初である。それを日本国の予算編成にも取り入れようと、2009年11月に実施された。事前に「仕分け人」によって対象事業が調べられ、一般に公開された場において、事業担当者とその事業の必要性その他に関する議論が行なわれ、「廃止」、「縮減」などの判定が下される。行政刷新会議による事業仕分けは、公開の場において、外部の視点を入れながら、それぞれの事業ごとに要否等を議論し判定するものである。事業仕分けの評価者(仕分け人)は、行政刷新会議議長が指名し、国会議員や民間有識者、担当府省の副大臣又は政務官からなるメンバーである。事業仕分けの進行手順は、以下である。なお、事業仕分けを自らの事業を正当化する手段としないために、5つの基本原則(現場に通じた外部の視点の導入、全面公開、同一フォーマットの事業シート作成、明確な結論、プロセス重視)が示されている。事業仕分けの提案時に説明された、事業仕分けの目的・考え方は、以下の5点である。加藤秀樹行政刷新会議事務局長は、「事業仕分けは、政策を議論する場ではない。事業目的の是非を議論するのは政策論であり、事業仕分けはその事業についた予算が目的通り実際の現場で有効に活用されているのかを調査するものである。」と説明している。なお、枝野幸男行政刷新担当大臣は、「事業目的と実際の状況が乖離していると誰が見ても判断するような場合に限り、事業仕分けにおいて事業目的の是非も問うことになる。」と発言している。この事業仕分けはあくまで「判定」であり、評価者に予算削減を行う権限・強制力はない。事業仕分けの結論がどう予算に反映されるかは、予算編成権を持つ財務省による予算査定の動向と内閣の政治判断、そして国会の議決によって決まることになる。鳩山由紀夫内閣が掲げる政治主導の一環として、行政刷新会議にワーキンググループ(WG)が置かれ、2009年11月10日から事業仕分け作業が開始された。2009年11月12日、仙谷由人行政刷新担当相は毎日新聞の政策情報誌「毎日フォーラム-日本の選択」のシンポジウム「政治は変わったか~民主政権の課題と自民再生への展望」において、行政刷新担当相として「事業仕分け」について「予算編成プロセスのかなりの部分が見えることで、政治の文化大革命が始まった」と発言した。2010年3月11日行政刷新会議は各府省ごとに内部で事業仕分けを行う、行政事業レビューを実施することを発表した。 平成18年度以降の独立行政法人への予算額の変遷は以下の通り(一般会計と特別会計の合算額)2009年(平成21年)11月、国立印刷局市ケ谷センター体育館を会場として、行政刷新会議による平成22年度予算を削減するための事業仕分けがおこなわれた。政府内や自治体での事業の重複や天下り先となっている独立行政法人の基金を中心に廃止、見直しがなされた。事業仕分けを実際に担う評価者は以下の通り。産経新聞社とFNNが実施した合同世論調査によれば、回答者の9割近くが事業仕分けを肯定的に評価している。2009年12月4日から6日にかけて行われた『読売新聞』の調査では、仕分けの実施については71%が肯定的に評価をした。一方、予算を削減された側を中心に批判的な意見も噴出した。2009年11月27日、事業仕分けが終了。当初目標としていた3兆円には届かず、1.7兆円が見直し・国庫返済との判定になった。12月2日、民主党の小沢一郎幹事長は、事業仕分けで「見直し」判定だった在日米軍駐留経費の日本側負担や、整備新幹線、高速道路の建設などの大型公共事業など、20-30項目の項目を見直すように、鳩山由紀夫首相に申し入れた。判定結果には疑問が出されているものが多いことから、実際の予算編成時に見直しになる事業が出てくる可能性が指摘された。行政刷新会議では、事業仕分け後、「予算編成過程の公開の重要性を再確認した。と同時に、従来の予算に大きな問題があることが明らかにされた。とりわけ、政策、事業等の目的、必要性に重点が置かれ、実施手段についての検証が十分ではないことが判明した」と総括した。今回仕分けでは対象となってない事業についても、重複排除、補助金交付の効率化、モデル事業、広報・パンフレット・イベント等、IT調達、公益法人及び独立行政法人等の基金の見直し、独立行政法人・公益法人向け支出の見直し、特別会計の事業の見直し、という8項目の横断的見直しの基準で、各省庁において見直すとした。2010年度予算への反映状況が報告され、事業仕分けの評価結果や横断的見直しの反映による2010年度概算要求からの予算削減額は約9692億円であった。個別の反映状況では、大半の事業において事業仕分け結果が縮減額も含めてそのまま反映される結果となり、また診療報酬・薬価の見直しといった一部事業では増額も行われた。仕分け人の1人である土居丈朗慶應義塾大学教授は「政府は仕分け結果を反映できない理由を説明すべきだ」と述べ、仙谷由人行政刷新担当大臣も「官僚の自浄能力には限界がある」と述べるなど、財務省による最終段階の査定に対する不満が示されている。注目された次世代スーパーコンピュータプロジェクト『京』は、事業仕分けの評価結果を踏まえた計画変更がされ、スーパーコンピュータを開発者視点から利用者視点へ考え方が転換された。開発加速のための経費110億円が削減、10ペタFLOPS級達成時期が2011年11月から2012年6月に変更された。また、次世代スパコンと自律分散する国内のスパコン(独法、大学等)をネットワークで結び、国内の様々なスパコンから次世代スパコンを利用できる環境を構築することで、利用者数を1000人から2万人に増やす計画が追加された。平成22年4月23日・26日・27日・28日に、行政刷新会議は、独立行政法人が行う事業について、TKP東京駅日本橋ビジネスセンター貸会議室を会場に事業仕分けを行った 。これは事業仕分け第2弾前半と呼ばれる。仕分けの対象は47独立行政法人の151事業。引き続き、5月20日・21日・24日・25日に政府系の公益法人が行う事業について事業仕分けを品川区西五反田のTOCビル貸しホールで行った。67公益法人と3特別民間法人計70法人の82事業を対象とした。これは事業仕分け第2弾後半と呼ばれる。第1弾事業仕分けにおいて、独立行政法人及び公益法人が行う事業が、本来法人が有する専門性、機動性等のメリットを活かしきれずに、非効率・不要な事業の温存等の問題を抱えていることが指摘された。第2弾事業仕分けは、こうした観点から、独立行政法人及び政府系の公益法人が行う事業を取り上げ、予算面にとどまらず、事業の必要性、有効性、効率性、緊要性や、誰が(国、地方公共団体、独立行政法人、公益法人、民間事業者等)事業を実施する主体として適当かといったことについて検証を行う。また、今回の事業仕分けの対象事業とならなかった類似の事業についても、事業仕分けにおける議論の結果を踏まえ、横断的に同様の見直しを行うことを各府省に求める。そして、今回の事業仕分けでの議論を踏まえて、以下の制度・規制などの見直しを行う。第一回同様に予算を削減される可能性が高まった各界からは反対の意見がでた。2010年(平成22年)10月・11月に行う特別会計の意義、および第1弾と第2弾の仕分け判定後の実施状況の点検第3弾の仕分けは特別会計の18会計・51事業の制度そのものも見直す。併せて第1弾・第2弾の事業仕分けや行政事業レビューの結果が平成23年度予算案に反映されているかもみる。平成22年6月23日民主党本部の共同記者会見で第3弾の計画が発表された。記者会見は内閣府ではなく蓮舫内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)と民主党幹事長枝野幸男(前・行政刷新担当大臣)とともに民主党本部で行われた。第1弾と第2弾の仕分けは自公連立政権時代までの予算の組み方や行政事業のありかたを仕分けるものであった。後半の再仕分け作業は第1弾や第2弾の仕分け評価の結果を踏まえて、民主党政権のもとで練り上げ、省庁の政務三役の承認や閣議決定を経て、平成23年度(2011年度)予算案として盛り込む事業を再び仕分け・再評価するもの。全体統括:枝野幸男、長妻昭作業グループA:会計対象省庁:財務省、厚生労働省、経済産業省作業グループB:会計対象省庁:総務省、法務省、農林水産省、国土交通省作業グループA:事業対象省庁:内閣府、総務省、法務省、外務省、文部科学省、厚生労働省、警察庁結果については外部リンクを参照
出典:wikipedia
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