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旅客機の構造

旅客機の構造(りょかくきのこうぞう)では、旅客機の仕組みや構造について説明する。旅客機は航空機としての一般的な構造を備えている。本項目では航空機として共通する部分にはあまり言及せず、21世紀現在の一般的な旅客機の特徴的な部分を中心に説明する。旅客機は一般的に約20年間、3-6万回ほどの飛行が経済的で安全な範囲で行えるように作られており、これを実現するためには余裕をみて6-12万回の飛行に耐える強度が求められる。基本的に強度部材は軽量なアルミニウム合金で作られているが、21世紀現在では金属に比べて軽量で強度も高い炭素繊維強化プラスチック (CFRP) が、主な胴体や主翼の構造を除けば採用が始まっており、1982年に動翼から採用が順次始まり、1985年には垂直尾翼、2006年には尾部胴体部分まで採用が広がっている。リージョナルジェット機では主翼の端側に使われるものがある。強度部材には、引張強さ、圧縮強さ、剪断強さ、曲げ強さ、ねじれ強さなどの静的強さの他にも、クリープ強度や繰り返しに対する疲れ強さも備えている必要がある。金属材料の中でもアルミニウムを中心とする軽量合金は軽くて強度も比較的高いので強度部材として多用されるが、金属材料は腐食の問題やひび割れなどでの十分な強度が保てなくなることもあるため、たとえ万が一、一部の強度が不足してもそれが急速に全体に波及しないように応力の分散化が図られており、そういった不良箇所は定期的な検査によって発見され修理されることで安全性が保たれるようになっている。GFRP、BFRP、CFRP、AFRPといった繊維強化樹脂も部分的な導入が進んでいる。旅客機の強度部材で最も考慮されるのは軽量であっても充分な強度を備えることであり、過去の教訓から強度部材の一部がたとえ破壊され強度を失っても、その破壊が進行することで大きな破壊につながらないように、フェイルセーフ構造を備えた設計がなされることである。胴体にはセミモノコック構造(Semi-monocoque structure、半はりがら構造)を採用している。セミモノコック構造ではスキン(Skin、外板)とフレーム(Frame、円きょう、助材)、ストリンガー(Stringer、縦通材)で構成され、スキンを15-25cm程の間隔で内側から支えるストリンガ-と、その内側からさらに50-55cmほどのほぼ等間隔で支えるフレームが、開口部を除く円筒状の胴体全体に走っている。フレームとスキン、そしてストリンガの間は、シェアタイ(Shear Tie)とストラップ(Strap、帯板)で結合する方法が主流である。翼なども同様であるが、各構造部材同士の結合はリベットと接着剤の併用によって行われることが多く、外板表面のリベットは皿頭にすることで空気抵抗を減らすが皿穴加工によって疲労クラックの危険性が増す。最もクラックの生じやすいリベット位置だけに丸頭のものを使うこともある。主翼との接合部にはバルクヘッドが配されて荷重を受け持つが、与圧を維持する機体では先端と後端はそれぞれ前部圧力隔壁と後部圧力隔壁によって閉じられており、これら全体が圧力容器としての機能も担っている。円筒形の胴体部でもドアや窓によってストリンガーが通せない個所がありこれらの上下のストリンガーは特に強力なロンジロン(Longeron、強力縦通材)が用いられる。与圧の維持は機首レドームとテールコーンなどの尾部を除いて、床下貨物室を含む胴体のほぼ全体で行われるが、前脚と主脚を収納するそれぞれの格納室は外気圧と同じであり平板によって圧力隔壁が構成されている。後部圧力隔壁は多くの機体で球状を成すことで構造部材の量を減らしている。広胴機でも機首部の断面形状が円形でないものは、与圧によるフレームへの曲げモーメントが大きく働くためや、窓という開口部による強度減少を補う必要もあって、丈夫なフレームが短い間隔で使用されている。前脚と主脚が取り付けられるフレームや主翼や尾翼などの前桁や中央桁、後桁がつながるフレームは、メイン・フレームと呼ばれる太いものになっている。与圧部分は上空で膨らむことを前提に設計されており、機内の床面が与圧胴体を左右につないで固定されているので、上昇と共に機体断面はいびつな8の字型になるため、床面は引張力や圧縮力に対して強くするとともに床面との取り付け部のフレームなどの曲がりにも対応できるようになっている。胴体中央は機体の曲げモーメントが最も掛かるにもかかわらず主脚の開口部が大きく開くため、中央翼の下と後ろにはバルクヘッドとつながった箱状のキールビームが配されて前後軸方向への圧縮荷重を受け持っている。床はフロアビームとシートトラック、フロアパネルによって構成され、フロアビームがフレームに結合されている。ほぼ50cmごとで左右方向に配されるフロアビームが、床に乗るすべて物の上下方向の荷重と共に与圧による引張力も受け持っている。床に乗る物の前後方向の力はフロアビームではなく、シートトラックとフロアパネルを経由して床の左右にあるフロアサイド・ウェブ、又はフロアサイド・トラスに伝えられ、胴体外板で支えられる。フロアサイド・ウェブやフロアサイド・トラスには客室と床下空間を結ぶ多数の穴が開いており、機内空調の吸込み口となるとともに万が一に与圧が失われ急減圧となる事態でも、上下空間の圧力を等しくすることで床板へ過剰な変形力が掛からないようにしており、さらに急激な減圧では床の一部が開くようになっている。床板はフロアビームにボルトで固定されることが一般的であり、ビームの穴には機体前後を縦断する各種のコントロール・ケーブル類が通されていることが多い。フロアパネル(床板)には金属板や合板もあったが、軽くて丈夫なハニカム構造に切り替わっている。ただし、ハニカム構造はハイヒールや荷物の角による損傷に弱いため、軽いながら局部的な荷重にも丈夫な材料が求められており、樹脂材料や複合材の使用が進んでいる。胴体外板の内側はインシュレーション・ブランケットと呼ばれるグラスウールなどの断熱材によって機内の保温と外部からの騒音を吸収するようになっており、さらに内側に強度を受け持たない内装パネルがフレームに合わせて取り付けられることで、合計10-15cm程の厚みの壁を構成している。窓やドアといった胴体外板の開口部は、構造強度が低下するため可能な限り避けられ小さくされる。開口部の形状は、鋭利な角には応力が集中するために丸く作られ、その周囲は補強材によって縁取られて強度が補われる。乗客や貨物コンテナなどの機内を使用する側からすれば胴体の断面形状は四角い方が良いが、空気の薄い高空を飛行するための耐圧性を軽い構造で実現するには円筒形の胴体は避けられない。旅客の航空運賃が主な収入源である航空会社が運航する旅客機の機体設計では、搭乗可能な乗客数の最大化が優先され、客室の座席は円形の胴体内で最も幅広い中央部に配置されている。客室の床下は空間が生じるので貨物コンテナを搭載することで有効活用している。2階客室部分を持たない、またはほとんど持たない広幅機では、客室より上の空間は空調類や乗務員休憩室が占める程度でそれほど活用されていない。また、全長に渡って2階席を備える最新の機体では胴体の断面形状が真円形よりかなり縦長になってはいるが円形であることに変わりはなく、貨物コンテナ用の搭載空間が幅広になるため新たに大きなコンテナを使わないと無駄が大きくなる。旅客輸送での経済性や利便性を考慮して設計された大型旅客機は、ほとんどの機種が低翼で5-7度程の少し上反角のついた強い後退翼であり厚みのある先細翼である。胴体との結合部には翼面の不連続性に起因する渦の発生を抑えるために、フィレット (Fillet) と呼ばれる板状の整流板が備わり、結合部の形状を滑らかにつないでいる。高高度での亜音速飛行で良好な空力特性を得ながら同時に地上での離着陸時には十分な余裕を持って低速でも安定した揚力を得るために、多様な小型の翼が内蔵されている。翼の前後にはフラップやスラットといった高揚力装置や、操縦舵面としてのエルロンや、揚力削減と操舵の補助としてスポイラーが備わっている。機体の外板はアルミニウム合金で作られることが多く、主翼は特に上下方向への変形量が大きく設計されていて、上側の外板は縮みやすく下側の外板は伸びやすいようにできている。主翼を胴体部分と接合する構造は一般的な旅客機で共通する最も特徴的な部分であり、「中央翼」とも呼ばれる左右の翼の構造がそのまま中央まで伸びてつながり、大きな箱状の強度部材を構成している。主翼付近の外板は胴体部が主翼から受ける曲げモーメントや剪断力を引き受けるために厚みが増されている。この中央翼部分は貨物の出し入れに不便なために燃料タンクなどに当てられており、高翼配置にされて円筒形の胴体全体が貨物室に使用される多くの軍用輸送機と大きく異なる点である。大型旅客機の主翼内には、前桁、後桁という2本や、多いものでは中央桁が加わり3本もの太い板状の構造部材が翼端から根元まで伸び、直角にリブ(小骨)がほぼ前後方向に走って翼の上下の外板を支えている。2-3本の桁材と平行に外板の裏面を支える細いストリンガー(縦通材)が多数走るマルチストリンガー構造になっているが、21世紀現在では新造されるほとんどの大型旅客機の翼の外板とストリンガーは厚みのある板からNC加工や化学的溶解によって削り出して一体で形成することで接合部を排除し、機械的強度を高めている。翼内を燃料タンクとして使用する部分では製造時と運用中の検査時に翼内よりシール作業やその点検作業が必要なため、人が通過できる開口部として円形のマンホールを上下面に設けている。。多くの大型旅客機では、ウイングマウント形式と呼ばれる、主翼下面前方にパイロンによってエンジンを吊るす方式が採用されている。騒音源であるエンジンは後方に取り付けるリアマウント形式のほうが客席を静かにできるが、重心が後方に寄ってしまい、また主翼との距離が離れると胴体の曲げ荷重が増して構造部材が太く重くなり、水平尾翼の位置もエンジン後流を避ける必要があるために都合が悪くなる。エンジンを主翼のやや前方に取り付ければ、揚力のすぐ近くで支えられるため空中では有利であり、重心が前方になって直進性に寄与し、互いに離して取り付けることで火災時の安全性や地上での整備性も良くなる。小さな機体では、客室のすぐ横にエンジンが位置する弊害の方が無視できないため、客席数が100席以下の中小型旅客機やビジネスジェットの多くがリアマウント形式を採用している。エンジンが後方に取り付けられれば主翼の構造が単純になり、翼の全面に必要なだけ補助的な舵面を配置できる。現在の大型旅客機のエンジン・ナセルの位置では、エンジンの大型化によって離着陸時の地面との接触事故の危険性が増していることや、4発の内の翼端側のいずれか、又は2発の内の片側が停止した場合には左右推力の不均衡が機体中央から遠い分だけ大きく働くので、その点でも不利である。主翼の先端後部に燃料投棄口が備わることが多い。水平安定板とも呼ばれる水平尾翼は、乗客や貨物の搭乗/搭載位置によって変わる重心の変化に余裕をもって対応するためや音速近くでは小さな翼面の舵角を大きく取ると音速を超えた領域が生まれて衝撃波が発生し、舵の利きが不安定になるため、昇降舵のトリムタブだけではなく、水平尾翼全体の取り付け角が変わる全遊動式になっており、これは調整式安定板と呼ばれる。大型旅客機の水平安定板の構造には2つの形式が存在し、1つは主翼の中央翼に相当する構造部材が存在し、これはキャリスルやセンターセクションと呼ばれ、左右の水平尾翼を機体内でつないでいる。もう1つは左右の水平尾翼のトルクボックスを機体内部まで延長して中心線上で結合したものである。調整式安定板ではこの全体が前桁部分を中心に取り付け角が油圧で変更できる。水平尾翼もわずかに上反角が付いているが、主翼の後流の影響を避けるためと、地上での機体の引き起こし時に左右に少し傾いても接触しないためである。フライ・バイ・ワイヤのような翼面の自動制御装置の採用によって、水平尾翼と垂直尾翼の面積が少し縮小できたとされている。コンピュータの援用による機体の操縦では、電子機器類が正常に機能している間はそれらが効果的に働いて小さな翼面でも十分な効果を発揮すると考えられているが、機能不全のような緊急時にも十分な空力的制御が行えるように、あまり過度の縮小は行えず、特に垂直尾翼は複数のエンジンを備えウイングマウント方式の大型旅客機では翼端のエンジン停止時に大きな回頭モーメントを打ち消してなお、空力制御が行えるだけの余力が求められるために、垂直方向舵の下部を2段折れにして操舵性能を増す工夫を行う機体もある。操縦翼や操舵翼、主操縦翼とも呼ばれる補助翼(Ailron)、昇降舵(Elevator)、方向舵(Rudder)は、外板とハニカム材を用いたサンドイッチ構造のものが多く、全金属製から複合材を利用したものに移りつつある。左右の昇降舵は中央でトルクチューブによって結合されている。特に補助翼は舵角を変えたり保持するための力を小さくても済むようにバランスパネルを備える。これら3種の主操縦翼には、前縁部におもりとなるマスバランスを入れてフラッターを防止している。また、故障時の影響を最小限に抑えるフェイルセーフ性を考慮して、それぞれの動翼を2つに分割し、油圧系統なども分離していることが多い。補助操縦翼面とも呼ばれるスポイラー (Spoiler)、フラップ (Flap)、スラット (Slat)、タブ (Tab) も、構造的には補助翼、昇降舵、方向舵と同様であり、複合材の利用が進んでいる。トリムタブは、万一タブのロッドや金具が破損してもフラッタを起こさないように、制御ジャッキを2重にするかマスバランスを入れることが求められている。一般的な旅客機は燃料タンクを主翼内に持っている。大型旅客機では「インテグラル・タンク」と呼ばれる、翼の中央部を構成する箱型の構造部材であり「トーション・ボックス」や「トルク・ボックス」ともよばれ、部材同士の接続面では内側に耐燃料性シーラントを塗り、機体表面側には耐雨性シール材を塗ることで漏れ止め処理を施し密閉して、そのまま燃料タンクとして使用している。主翼内のインテグラル・タンクは主なタンクとして片側それぞれに2つほどのメインタンクと翼端側に1つのリザーブタンクを持つものが多く、最翼端部には燃料ダンプ用のタンクを備える機体が多い。また、中央翼内にセンター・タンクを持つものも長距離を飛行する機体では一般的である。センタータンクのような胴体内の燃料タンクは壁面を2重にして、たとえ漏洩が起きても機体内に溜まらないよう設計されている。長距離路線用の機体では主翼だけでなく水平尾翼の中にもインテグラル・タンクやスタビタンクとも呼ばれる燃料タンクを持つものがあり、調整式安定板では機体内で水平尾翼同士を結ぶ中央部分もタンクになっている。タンク間は配管によって接続され、ポンプによって燃料を移送することで重心位置の調整やエンジン停止時の燃料配分の変更が行えるようになっている。脚は降着装置や着陸装置とも呼ばれ、旅客機では格納式になっている。旅客機での一般的な脚は、緩衝装置付きの脚柱と引き込み機構、操向機構からなる脚組みと、タイヤとホイール、ブレーキから構成され、過去には尾輪式も存在したが、20世紀末にはすべて前輪式となっている。航空機の中でも大重量の機体である大型旅客機では主脚の本数とそれに備わるタイヤの数が比較的多く、4本の主脚に20輪を持つ機体もある。前脚には、格納時に自動的に正面を向くようにカムが取り付けられている。ジェット旅客機の主脚では1本の脚柱 (Strut) ごとにボギー (Bogie) を介して4本のタイヤを備える多車輪式ものが多いが、大きな機体を支える必要がある機種では6本もタイヤを備えるものがある。前脚と主脚は緩衝支柱と呼ばれる太い鋼製の緩衝装置で機体とタイヤの間を結んでいる。緩衝装置は一般的に空気と油を用いたオレオ式が採用されている。緩衝支柱にはジャッキアップ用のジャッキ・ポイント (Jacking Point) と牽引用のトウ・ラグ (Tow Lug) が付けられることが多い。前脚には油圧式のシミー・ダンパ (Shimmy Damper) が取り付けられ、無用な左右方向のぶれを抑制している。格納庫内のような狭い空間内で移動する場合には、前脚のロッキング・取り外しピン (Locking or Disconnect Pin) を外すことで前脚の緩衝支柱ピストンを360度回すことができる。地上で脚が格納方向へ折れ曲がることがないように、トルク・リンクが縮んでいる状態でスイッチが入る「安全スイッチ」が備わっており、安全スイッチが入っていると、脚の操作ハンドルは格納位置へ動かないようにロックされる。またこの他にも足が格納方向へ折れないように物理的にピンやクリップを刺すことで安全の確保が行われており、この赤色のタグの付いたピンやクリップによって脚をロックする方法は「グランド・ロック」と呼ばれる。離陸時よりも着陸時の方が衝撃を受けやすいために設計荷重では着陸時の方が大きく見積られている。このため、離陸可能限界重量近くまで燃料や貨物などを搭載した旅客機が、離陸した直後に機体の不調といった何らかの事情で着陸しなければならない場合で、時間に余裕があれば、海上などで燃料投棄口から過剰な分の燃料を放出してから着陸する。脚とその格納ドアは油圧、または電動モーターによって格納・展開されるが、油圧系統や電動モーターが機能しない場合に備えて、これらの制御による抑制を無効化して格納ロックを外し、自重で展開できるように設計されている。操縦席では脚位置を表示する脚位置指示器が備わっており、これで脚の状態を確認する。さらに脚のいずれか1本でもダウンロックされていない状態でエンジン出力をアイドルにすると、脚警報装置が警報音で知らせる。離陸を滑走途中で中止したときにはブレーキが非常に高温となるため、その後に離陸した場合は空中での格納をしばらく待たなければならない。誤って高温の脚を格納しタイヤを破裂させる事故を防ぐために、脚格納室には過熱警報装置が備わっている。主翼内に取り付け基部を持つ主脚が万が一破損した場合でも、翼内の燃料タンクにその変形力が及んで漏洩や破壊を起こないように、脚側だけが破壊されるように設計されている。窓は客席の位置にほぼ1つずつ空けられているため、客室の圧迫感を減じて、全ての窓側席からは機外の景色が見られるようになっている。客室側の窓は、外側からストレッチ・アクリル板や非ストレッチのアクリル板、それにポリカーボネート板という合計3枚、あいだを空けてシール材と共に外板の窓枠に止められており、外側の2枚のいずれか1枚が失われても、残る1枚だけで客室の最大与圧荷重、空気力、温度効果を加えた荷重に耐える強度があり、内側の薄い1枚は保護用である。操縦室正面の窓は基本的に厚いガラスとビニールが複数積層されていて、強度維持と共に表面に傷が付き難くして良好な視界を確保しており、曇り止めとして内部の電熱層に電流を流して加熱するものや室内側から温風を吹きかけるものがある。操縦室側面の窓はガラス製の他にアクリル製のものもあり、非常脱出口を兼ねて開くようになっている機種もある。操縦室正面の窓はバードストライクなどにも耐える強度が要求されるため、特に厚く作られ念入りなテストで信頼性が確保されている。一般的には操縦席の前面窓にワイパーが備わっており、空気カーテンによるジェット・ブラストやレイン・リペレントと呼ばれる撥水薬剤を外面から吹きつけるものもある。ドアは、乗員乗客用と貨物用があるが、いずれも高空を飛行する機体では与圧を維持するために機内の空気を逃がさず気密が保たれるようになっている。客室のドアは非常時には非常脱出口となるため乗客が殺到しても容易に開くほうが良い。内開きドアはドアを閉じると内圧で機体の固定構造に押し付けられて安定するプラグ形状が採用できるのでロック機構に対する信頼性はそれほど求められないが、機内側に空間が求められ非常脱出の妨げになる。外開きでは機内側に余分な空間が求められず非常脱出の妨げにもならないが、ロック機構に故障や誤操作があるとドアが開いてしまうという危険があるので、ロック機構に高い信頼性が求められる。外開きドアであっても、ドアの左右の縁だけしっかりしたプラグ形状で機体に固定するようにしておき、上下の縁は折りたたむ形状とすることで、一度内側に少し引いてからドアを少し回転させてドア開口部から機体の外に出すことで開くものがある。同様に外開きドアでドアの左右の縁に互い違いの出っ張りを付けることでプラグと同じように機体に固定できるようにしておき、開く時には少し持ち上げて出っ張りがドア枠に当らないようにしてから外に開く形式もある。また、天井部に余裕のある広幅で2階を持たない機体では、内開きドアでも、内側に少し引いてから上にドア全体をスライドさせることで開くものがある。乗降に空港施設の支援が受けられない路線に使用される機体では、ドアの内側に折りたたみ式のタラップ(エアステア)を備えるものもある。主翼上などに非常脱出専用で通常の乗降に使用されない非常口扉を備えた機種がある。床下貨物室の貨物用ドアは上方ヒンジの外開きドアが多く、大型旅客機では多くが右側の前方と後方に1つずつ備わっている。貨物用ドアは貨物コンテナを通す必要があるため乗員乗客用のドアよりも四角形で大きく開口する必要がある。機体与圧部の高い圧力に耐えられる広い面積のドアを乗員乗客用ドアと同じ横開きの構造で作ると高い剛性が求められ重量が増すため、多くの機体では、上縁にヒンジを設けて下縁に多数のフック型ラッチを機体側の一般フレームに掛けることで、閉じた状態では胴体側と同様にドア全体で与圧を引き受ける構造となる。客室用ドアの開閉は、電動や油圧を用いたものが登場しており、緊急時には手動や圧縮空気によって緊急ドア開け操作が行えるようになっている人や貨物のための大きなドアの他にも、点検や電線・パイプなどの接続用のドアが機体各所に備わっており、特に与圧区画にある点検ドアは圧力に耐えて確実にロックできるように作られ、センサーによってロック状態が確認されている。。耐火性の材料は、第一種耐火性材料と第二種耐火性材料、自己消火性材料(15cm/分)、自己消火性材料(20cm/分)の4種に大別される。発火源を取り除けば危険な程度には燃焼しないものとして第三種耐火性材料 (Flame resistant material) という分類は2008年時点でも規定に含まれているが、新たに設けられた自己消火性材料の分類で代替されつつある。従来の規定では存在した第四種耐火性材料は旅客機での使用は認められていない。操縦室の室内は少なくとも横方向には狭い必要がある。操縦席は前方視界が良好に確保できるだけでなく、空中衝突を防ぐために側方やある程度斜め後ろまで視界が得られることが耐空性基準で求められている。大型化して胴体の幅の広がった旅客機では、操縦席を機体前部に置いただけでは左右の窓が離れすぎるため、左右方向や斜め後方の視界が得にくくなりこういった要求を満たせなくなった。2階席を持つ大型旅客機では、幅の狭い2階の最前部に操縦室を設けることで良好な視界が確保できるようになった。操縦席では良好な視界が得られる視点の位置が決まっているので、座席は前後上下に動くようにできており、ベルトで体を固定できるようになっている。操縦室には床に折りたたまれた状態でオブザーバーシートが備えられており、引き上げて組み立てることで着座が可能になる。操縦席には減圧状況下でも安全に操縦できるように酸素マスクが備えられている。機体は年々巨大になるが、操縦室は常に狭くグラスコックピットになっても操縦席の周辺には手の届く範囲に多数の操作盤が配置されている。大型旅客機の中でも長距離専用の機体では、長時間の飛行に合わせて操縦士や客室乗務員達が2組乗務して途中で交代したり、休息や睡眠をとったりするために客室とは別の座席や簡易ベッドが備えられた乗務員用の休憩室が設けられることがある。大型旅客機の床面にはシートトラックと呼ばれる1インチごとに穴が空いている金属製のレールが何本も前後方向に埋め込まれていて、横につながった数席の客席ごとにこのレールにはめ込まれて後脚側でロック・ピンによりその穴に前後方向に固定され、別途コネクタによって娯楽用機器が接続される。床面には難燃性カーペットが敷かれる。乗客用の座席にはシートベルトが備わり、16Gまでの加重に耐える規定を満たしながら更なる軽量化への要求に応じるために、フレームもアルミニウム製から炭素繊維強化プラスチック (CFRP) に変わりつつある。座席のアームレストには音楽や照明、空調などのスイッチ類と客室乗務員の呼び出しボタンが備わり、折りたたみ式テーブルやビデオディスプレイが組み込まれているものもある。座席後面には後席用のポケットやテーブルが付いており、ビデオディスプレイが組み込まれているものもある。座席下部は固体脚やフットレストの他に、乗客の手荷物が床面で滑らないように座席から枠が設けられている。客室乗務員用の座席にもシートベルトが備わり、16Gまでの加重に耐える必要がある。客室乗務員用の座席は多くが、非常脱出口となる出入口近くに設けられており、折畳式になっている。これらの座席は前向きと後ろ向きのものがあり、シートベルトも乗客用座席が腰部だけであるのに対して、肩のベルトも義務付けられている。客室の壁面はハードトリムと呼ばれる硬質プラスチック製であり、窓のシェードは内壁に埋め込まれている。オーバーヘッド・ビンと呼ばれる天井収納庫が備え付けられており、手荷物を収納できる。ピボット式と固定棚式がある。オーバーヘッド・ビンの下面などに座席ごとの照明や送風口が設けられており、客室内が減圧すれば自動的に現われるようになっている客席分の酸素マスクもこの部分に格納されている。一般的に旅客機では、音楽や映画といった客席向けの娯楽が提供される。機上で提供する番組数が増加したため、個別チャンネルごとに電線をすべての客席に配線したのでは重くなりすぎて保守の手間も膨大になる。新たな機体では同軸線や光ファイバーといった少数のLANケーブルに信号を多重化して客室内に分配し、各座席で復調するようにした「インフライトエンターテインメントシステム」(In-Flight Entertainment Syetem, IFE system) が採用されている。娯楽番組提供システムは機内案内などが割り込めるように作られ、その間、番組は一時停止するようになっている。多くの旅客機ではクレジットカード等で支払いが行える公衆電話としての衛星通信システムが搭載されている。厨房を意味するギャレー (Galley) には、ステンレス製テーブルの上下に食事カート (Service cart) や飲料コンテナ、おしぼり用オーブン、コーヒーメーカー、湯沸し、ハイテンプオーブン、電子レンジ、冷蔵庫などが、ほとんど隙間なく機能的に配置されている。国内線のような短距離用の機内レイアウトではギャレーは4ヶ所程であり、国際線のような長距離用では8ヶ所ほどが配置されている。食事は地上の食料品業者の段階から1人分ずつトレーに分けられ、数十人分ずつがカートのまま納入されて機内に搭載され、ギャレー内のテーブル下に収納される。客室乗務員は、食事を提供する20-30分前に電源コードをカートに接続してスイッチを入れる。カート内で必要な部分のみがヒーターによって加熱され、やがてタイマーで加熱が終了したカートから引き出され、そのまま通路を運ばれて座席に着いたままの乗客の元へ各々のトレーが配食される。地上駐機中にこれらのカートやコンテナの交換によって迅速に飲食物の積み下ろしが実現され、機内に専用エレベータを持つ少数の例外を除けば、非常時以外ではあまり使用しない客室ドアから積み下ろしすることが一般的であり、ドア付近には強度維持の関係から窓が設けられないこともあって、積み下ろしに便利なようにギャレーはドア付近に位置する配置が多い。化粧室とも呼ばれるトイレ (Lavatory) は乗員乗客の排泄処理と化粧等を行う機能を提供している。通常男女兼用の狭い個室には便器の他に温水と冷水の出る洗面台が備わり、石鹸、化粧品、タオル、ナプキンなどが用意されている。便器内の汚物の処理方法は2種類ある。真空フラッシング方式は複数の化粧室で共用する貯蔵タンクを備えており、貯蔵タンク内は上空では機外と同様に低圧に保たれ、地上や低高度では排気によって負圧に維持されている。排泄後に洗浄ボタンを押すと短時間、水洗用水タンクからの少量の水で便器内を洗いながら同時に貯蔵タンクに吸引する。もう1つは、循環方式であり、各化粧室ごとに備わる貯蔵タンク内の汚水をフィルターでろ過して浄化剤と加えたもので便器内の汚物を貯蔵タンクへと流す方式である。真空フラッシング方式は洗浄水がきれいで便器内の臭気も吸引されるため快適であるだけでなく、貯蔵タンクも小型にできるため多くの機種で採用されている。欧米路線や多くのアジア路線では機内すべてが禁煙となっていることが多く、化粧室も例外でないが、喫煙者が隠れて喫煙することで機内の煙感知センサーを作動させてしまい、騒ぎとなることがたびたび起きている。客室の床下はローアーデッキと呼ばれ、貨物室(ベリースペース)や脚、燃料タンクなどの収納空間として利用されている。タイヤは地上では航空機の重量を支え、着陸時には内部の空気によって衝撃を緩和するクッションとなり、路面との摩擦によって滑走中の制動力を生み出す。旅客機用タイヤは内部に空気を詰めたチューブレス・タイヤが使用される。空気圧は乗用車等の1.9kg/cm程度に比べて12.5-15.0kg/cm程と高く、内部のプライ数も乗用車等が4層程度であるのに対して30前後になっている。路面に接して磨耗するトレッドは規定に基づいて複数回まで貼り直す「再生タイヤ」(リトレッド・タイヤ、Retread tire、リキャップ・タイヤ、Recap tire)の使用が認められている。航空機用タイヤの本来の性能が求められるのは離着陸時のわずかな時間だけであり、飛行中は重く空間を占有するだけなので可能な限り軽く小さいことが求められ、耐久性の優先順位は高くない。このため航空機用タイヤは比較的小さく済むように内圧が高く設定されており、発熱の小さなゴムが用いられ、トレッドの溝は浅くゴムの使用量が少ない。トレッドの溝が浅いために、平均的200-300回程度の離着陸サイクルで摩滅によって溝が浅くなるため、タイヤは交換されて検査後に新たなトレッド面が貼り付けられ加硫されて5-6回程度は再生使用される。旧型機種ではバイアスタイヤが用いられていたが、新型機種ではラジアルタイヤが採用されているので、航空機の入れ替わりに応じて徐々にラジアル方式に切り替わつつある。旅客機用タイヤは高空飛行中に-50℃程度まで冷やされているが、着陸時には地面との摩擦やタイヤ自身の変形と内部摩擦によって最大200℃にまで加熱される。このような場合にタイヤ内部のカーカスと呼ばれる補強繊維層内の残留空気が膨張してタイヤのゴム内部で剥離させるような力が生じる恐れがあるため、タイヤのサイドウォール部内周側近くの6箇所にガス抜き用に外部からカーカス層まで達する針穴が空けられており、丸いマークで示されている。航空機用タイヤは温度変化に応じて膨らみ内圧が変化する。適正な内圧であるかは随時、専用ゲージで確認されねばならず、着陸後も通常環境で2時間以上、高温環境では3時間以上経ってタイヤが冷えてから計らねばならない。タイヤ内圧はタイヤ圧力表示装置によってタイヤごとのひずみセンサーの情報が集められ、タイヤ圧力監視装置で処理されて操縦席のEFISなどに表示される。主脚のタイヤにはディスク・ブレーキが備わり、地上での滑走時の制動に使用される。離陸中止時や問題のある着陸時などで高速で運動する機体を短距離で停止させようとすると、その運動エネルギーの多くがディスク・ブレーキのディスクやライニングでの過大な熱となって放熱され、周囲のタイヤやブレーキホースなどを損傷する危険がある。それぞれのブレーキ部の温度をセンサーで捕らえて操縦席に表示するブレーキ温度関知装置が備わっており、いくつかの機体ではこれに加えて、それぞれのタイヤホイール内にファンと電動モーターを備え、操縦席のスイッチ操作で全てのファンが回転してディスク・ブレーキに外気を当てて冷やすブレーキ冷却装置を備えるものがある。新しい機種ではそれぞれのタイヤ内の圧力を常時測定して操縦席に表示するタイヤ圧力表示装置を備えるものもある。ディスク・ブレーキは多板型に似たセグメンテッド・ロータ型が多い。タイヤのブレーキはブレーキ・ペダル操作を行っても着陸進入途中では接地保護回路によって働かないようにされており、接地の瞬間にはタイヤは回転する状態におかれる。ブレーキにはアンチスキッド装置が備わっており、ホイール車軸の車軸発電機が作るホイール回転信号と操縦席のオートブレーキ制御パネルの設定情報、スロットルの情報を受けて、ディスク・ブレーキを働かせる油圧の調整弁を制御している。アンチスキッド装置はスクワット・スイッチ、またはWOWスイッチ (Weight-On-Wheel proximity Switch) と呼ばれる機体重量が車軸に掛かったのを検知するセンサーと車軸発電機が24-35km/h程度の信号を出すことで働きはじめる。また、ブレーキをコントロールするオートブレーキ装置も備わっている。オートブレーキ装置はブレーキ用油圧系統内のスキッド制御弁の上流部にあるオートブレーキ制御弁でブレーキの働きを制御している。オートブレーキ装置の制御パネルは通常、数段階の設定が可能であり、滑走路の状況などに応じて着陸前に設定しておくことで、機体が着陸してスロットル・レバーが全閉位置に戻されると同時にタイヤのブレーキが設定された強度で自動的に働くようになっている。スロットルを出力増加方向に動かすか、主翼上のスピードブレーキを収納位置に戻す、ブレーキペダルを踏む、オートブレーキ装置の制御パネルのノブを解除位置にする、という操作によって自動的にオートブレーキは解除され、マニュアル操作に従うようになる。離陸時にはタイヤが機内の格納位置でしばらく空転し続けて、何も対処しなければ不快な振動が生じてしまう。主脚はオートブレーキ装置が自動的に働いて回転を止められるが、一般に前脚にはブレーキが備わっていないので、多くの機種では前脚格納室の天井部分にタイヤと接する回転止めが取り付けられている。照明設備は機外照明と機内照明に分かれる。民間航空機の非常用設備は規定によって細かな点まで定められている。以下では大型旅客機での一般的な通信・航法装置類について説明する。通信・航法装置類の多くが、機首近くなどに設けられた電子機械室に収められており、エンジンやAPUによって発電され、交流・直流変換器で変換された直流電力が供給される。それらの電力が失われた場合でも、すぐ近くに収められた非常用バッテリーによってしばらくは使用可能になっている。機首のレドーム内には気象レーダーの他に2本ずつのローカライザ用とグライドスロープ用のアンテナが収められている。胴体上部には、ATCトランスポンダ用とADR用のアンテナが2本ずつと、垂直尾翼にはVORとテレビ受信、HF通信のそれぞれのアンテナが1つずつ付いている。胴体底面には別のATCトランスポンダ用とDME用がそれぞれ2本と、電波高度計送信用と電波高度計受信用で1対と、マーカー、VHF通信用に1本ずつ付いている。VHF通信用アンテナは左右に1組付けられる機種もある。垂直尾翼の外板中央を基部より絶縁することで、上半分をHF、またはVOR用アンテナとして使用する機体が多い。主に音声による交信を行うための通信機がいくつか搭載されている。一般には短い波長の電波の方が十分近い場合には明瞭な会話が行えるが、到達距離が短くなる傾向がある。長い波長の電波は遠距離まで届く。これらには周波数帯が定められており、おのおの規定方式の電波が使用される。航空無線で使用される単信式のすべての音声通信システムは「サイドトーンシステム」と呼ばれる送信動作を確認する仕組みを備えている。これは送信機の発信電波を送信時にも受信機で受信しておき、操縦士は自らの発話音声をヘッドフォンで聞くことで電波がほとんど正しく発信されていることを確認するものである。ADFは、ループアンテナと垂直ポールアンテナを組み合わせてアンテナ感度を360度全周の内の特定方向にだけ大きくしたアンテナ部を用いる。受信電波の強度が最大となる方向が地上無線局の方向となる。MLSはマイクロ波帯を使用した着陸侵入誘導装置である。同種の着陸侵入誘導装置としてはすでに普及しているVHF帯を使用したILSがあるが、ILSでは地形の影響を受けて精度が保てないことやVHF放送電波の干渉を受けること、侵入路が1本しか持てないことなどによって、より精度の高い新たな着陸支援システムが求められ、今後はILSからMLSへと移行される空港施設の1つとして国際標準化された。ILSでも大きな問題はなく世界中の空港で使用されており、MLS施設の経済的負担やMLSへの移行において両施設を維持する必要もあり、あまり導入は進んでいない。GPSでは現在位置と時刻情報を得ることができ、IRSの位置情報の補正とFMSの時刻情報の補正に使用される。21世紀現在では、従来の3軸の回転変位と2方向(または3方向)の直線加速度を計測するセンサ部を備えたINS(Inertial Navigation System、慣性航法装置)はIRS(Inertial Reference System、慣性基準装置)に置き換わっている。内部に可動部を持っていた従来型のINSとは異なり、IRSは可動部を持たず、3軸の回転変位と3方向の直線加速度を計測するセンサを乗せたプラットフォームが機体軸方向に合わせて正確に固定されていて、空間座標の変換はデジタル演算によって行われる。出発時には基準となる緯度と経度がFMSのデータから読み込まれて設定される。また、静止状態で重力加速度を受けない方向が水平面方向でありレベル調整は自動的に行われる。15分間停止している間に地球自転率が東西軸ジャイロ(イースト・ジャイロ)で受感されない方向から地球自転軸での北が自動設定される。回転変位量は、地球自転率や移動率を修正する必要がある。直線加速度もコリオリの力や重力変化を補正する必要がある。機体の姿勢方向を補正し続けながら補正された直線加速度を積分することで速度が求められる。速度と移動方向から移動量を知り、常に自らの座標を得ることができる。GPSによる航法支援が得られるようになり、位置データと時刻が修正されるが、航空機はGPSのデータが得られなくなっても良いように、INSやIRSは必要な装置となっており、磁気コンパスも搭載される。回転変位の検出には半導体レーザーと光ファイバを組み合わせた光ファイバ・リングレーザー・ジャイロが用いられる。AFCS(自動操縦装置、Automatic Flight Control System、Auto-pilot)は、飛行姿勢の安定化と、飛行高度と方向の変更、航法誘導を自動的に行う装置システムである。これら主要な3機能はAFCS内で互いに連携して働いて、現実の機体制御出力では一体のものとなるが、個別に分解して以下に示す。オートスロットル・システムは主に離着陸時に機速を一定に保つようにエンジン出力を自動的に制御する装置である。操縦士はAFCSが自動・手動のいずれの状態でも、オートスロットルをセットすればこの装置がスロットルレバーを自動的に制御することで機速を一定に保つように働く。オートスロットルを有効状態にしたまま操縦士がスロットルレバーを操作すれば、一定以上の力でレバー操作によるエンジン出力の変更が可能であり、レバーから手を離せばオートスロットルがレバー位置の制御を取り戻し、オートスロットルを無効状態にしない限りこの制御は続く。スロットルレバーにはオートスロットルを無効状態に切り替えるスイッチが備わっている。オートスロットル・システムは、操作パネルからの速度設定情報や、ピトー管による対気速度センサー入力、電波高度計からの入力、ピッチ角度補正した前後加速度入力を得て、スロットルレバーをサーボモーターで制御する。サーボモーター駆動軸とスロットルレバーは摩擦クラッチで接続され、一定以上の力で滑るようになっている。また、AFCSが自動着陸モードにあれば、高度計が設定値以下になるとエンジン出力を自動的に下げて減速動作を行う。ATC(Air Traffic Control) システムは、機上のATCトランスポンダと地上の2次レーダーとから構成される。厳密には航法装置ではなく、地上の管制官に滞空中の航空機の情報を機械が自動的に知らせることで管制業務を支援して安全性を高めるものである。CADC(Central Air Data Computer) は 機体周囲の気圧や温度を測る多数のセンサ類(ピトー管、静圧孔センサ、客室差圧計、客室圧センサ、全温度センサ)からの情報を一括して受け取り、統合処理を行い、気圧高度計やIAS/MACH計(Indicated Air Speed / Mach、指示対気速度とマッハ数)、TAS/SAT計(True Air Speed / Static Air Temperature、真対気速度と静温度)やオートスロットル・システム等のセンサ情報を必要とするシステムに情報を提供する。電力喪失などCADCの機能停止時に備えて、ダイヤフラム式の気圧高度計と指示対気速度計が操縦席のパネルに備わっている。EFIS(Electric Flight Instrument System、電子式飛行計器システム)は、航法装置類やEICAS等の情報を主にFMSを経由して、操縦席の計器パネルに表示するシステムであり、操縦士の負担軽減や視認性向上のために操縦に必須な計器を大きく常時表示し、他の表示を随時切り替えるようになっている。21世紀からはカラー液晶による複数面表示が採用され、Primary Flight Display (PFD) と、Navigation Display (ND) の主要な2つの画面をそれぞれの操縦者ごとに座席正面に備える形式になっている。EICAS(Engine Indication and Crew Alerting System、エンジン計器と警報システム、エイキャス)は、EFISによって実現したエンジン計器類の表示システムであり、従来、エンジン計器類が占めていた位置で、それと同等以上機能を持ったEICASがそのまま引継ぎ、カラー液晶表示板によって、従来のエンジン計器類の表示に加えて、脚部や空調系、電力系、油圧系、燃料系といった機内機器類全般の状態を系統図を用いることでグラフィカルに、またそれぞれを切り替えて表示する。機種によって同機能のものをECAMと呼んでいる。FMS(Flight Management System、飛行管理システム)は、機上に搭載された飛行に関わる多数のコンピュータ群と飛行状態センサ群、航法センサ群、エンジン・センサ群、燃料センサ群など多数のサブシステムから構成され、これらを統括制御するFMC(Flight Management Computer、フライト・マネジメント・コンピュータ)が中心となって、主に航法、性能・経済性管理、誘導といった飛行全般の機能を司り、操縦席のEFISを経由することでこれらのサブ・システムと操縦士との仲立ちとなる。FMSには出発前にウェイポイントを含むフライトプランとそれに関わる無線局や空港の基礎データが読み込まれており、操縦士はいつでもCDUの操作によってEFISのNDにマップモード等で呼び出せ、ウェイポイント情報を元に自動操縦によって飛行することも可能である。VOR/DME局の自動選局とADF/ILS/VOR/DMEの情報に基づいてINSを修正することも行う。主に飛行を終えた後の整備性向上のために、幾つかの自動記録システムが搭載されている。これらは一般に機上整備システム (Onboard Maintenance System; OMS) と呼ばれ、機種やメーカーによって個別のサブシステムから構成される。サブシステムの1つは、飛行性能モニター・システム (Airplane Condition Monitor System; ACMS) であり、米ボーイング社でもB-747初期型などの古い機種や他社では、飛行記録集積システム (Aircraft Integrated Data System; AIDS) と呼ばれているものであり、もう1つは中央整備コンピュータ・システム (Central Maintenance Computer System; CMCS) などと呼ばれるものである。21世紀現在生産されている大型旅客機には、さまざまな異常を乗員に知らせるために多くの警報システムが備わっている。警報システムは機能から3種に分類される。機内の警報システムは主警報システムにまとめられており、それぞれ個別の警報システムの赤やオレンジの警報灯のいずれか1つでも点灯すれば、乗務員から最も目につきやすい位置にある赤またはオレンジの主警報灯が点灯して、乗務員は個別の警告灯を確認するように促す。警報はランプの点灯に同期してブザーやチャイム、ホーン音、音声メッセージといった音でも伝えられ、機械的なものではフラッグで示すものもある。警報を伝える手段や調子には、人間工学に基づき危険度に応じた工夫が加えられている。以下に個別の警報システムを示す。操縦等に関するもの機内環境に関するもの

出典:wikipedia

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