シャベル()またはショベルは、土砂、石炭、砂利、雪などの粗い粉状の素材を持ち上げて移動させるための道具であり、柄と柄の先端に取り付けられたスプーン状の幅広の刃からなる。漢字では円匙と書き、「えんし」または「えんぴ(本来は誤読だが旧日本軍・自衛隊を中心に呼称される)」と読む。方言でシャボロと呼ぶ地方もある。スコップ()は本来同義語であるが、使い分けている場合が多い(後述)。同様の目的を持つ大型の土木機械(油圧ショベル)もシャベルと呼ばれる。日本のJIS規格では足をかける部分があるものをショベル(シャベルではなくショベルと定義されている)、無い物をスコップと記されている。西日本地域では、足をかける部分があるものをシャベル、無い小型の物をスコップと呼び、このJIS規格に概ね沿った呼び名で広く使われている。しかし、東日本地域では、人力で掘るために足をかける部分のあるものをスコップと言い、JIS規格や西日本地域の呼び方と入れ替わっている。それらの代表的なものが剣先スコップ・角スコップである。また、大型の物をショベル、小型の物をスコップと区別する場合もある。一般には大きさによってシャベルとスコップを使い分けており、西日本では大型のものをシャベル、小型のものをスコップと呼ぶ。逆に、おもに東日本では大型のものをスコップ、小型のものをシャベルと呼ぶ人が多い。日本工業規格(JIS)では土木用・農事用・家庭用のショベルおよびスコップについて、JIS A 8902 ショベル及びスコップ (Shovels and Scoops)として規格化されている。原案作成は全国ショベル・スコップ工業協同組合で、1954年(昭和29年)1月30日に制定された。1988年(昭和63年)1月1日付けで改正されたJIS A 8902では、土砂などをすくう先端部をさじ部、柄を軸部または柄部、末端の持ち手を握り部と称し、さじ部には規定の成分からなる鋼板またはこれと同等以上の品質の鋼板を、軸部にはカシまたはこれに準じる品質の堅い木材(規定の含水率以下)か、構造用鋼・ステンレス鋼・アルミニウム・樹脂などのパイプを材料に用いるよう定めている。ショベルおよびスコップの図面が記載された付図を参照すると、さじ部が足を掛けることのできる形状になっているものがショベル(付図1 - 5)、そうでないものがスコップ(付図6)となっており、ショベルのうち、さじ部の形状がとがっているものを丸形(付図1、3)、四角いものを角形(付図2、4)としている。また、握り部についてはアルファベットのYの字の形と定めている。シャベルは使用目的に合わせて様々な種類がある。表面にはさび止めの塗装や鍍金が施されるが、砂利等と擦れることにより短期間で摩滅してしまう。この状態で泥がついたまま放置するとたちまち腐食してしまうため、使用後は洗い流し乾燥させてから保管する。シャベルは戦場において、特に第一次世界大戦以来、飛び交う銃弾や砲爆弾の破片から生身の兵士が命を守るための塹壕を掘る道具として、また自らの排泄行為のために地面に穴を掘るための道具(排泄物の臭気を巻き散らさない事は戦場の住環境を守るためだけでは無く、敵側に気配を察知されないためでもある)として必需品となった。ときには白兵戦の際の打突武器としても有用である。第二次世界大戦の時ソビエト軍兵士と赤軍パルチザンもシャベルを白兵武器として使い、現代のロシア軍スペツナズもシャベルを使う戦闘技術を訓練している。このため歩兵を筆頭とする兵士の個人携行物となっているほか、多くの軍用車両の装備品の一つとしてシャベルが採用されている。これらは車内に納められるか車外にツルハシやジャッキなどとセットでクランプ留めにされ、車両がスタックした場合や陣地を構築する際に活用される。日本陸軍では土木工事用の大きなシャベルを「大円匙(だいえんぴ)」、携行用を「小円匙(しょうえんぴ)」と呼び分けていた。大円匙は工兵が使用するものであり、工兵達は歩兵の携帯する小円匙を「耳かき」と呼んで軽んじてたという。兵士の個人携行物の一つである小円匙は、柄の中ほどと、刃の上側(柄の取りつけ部付近)に孔が設けられており、ここにロープを通して肩に担えるようになっていた。柄頭部分に取っ手は無いが先端は丸く成形されている。折りたたむことはできないが、柄は外すことができ、携行時は二つに分離して背嚢に下げる。なお1930年代後半に制式採用された九八式円匙の刃部は防弾鋼鈑で作られ、刃中央部の孔を覗き穴として、簡易な防盾(盾)として使用できるようになっていた。アメリカ陸軍では、第二次世界大戦中の1943年にM1943 Entrenching Tool(直訳すると「1943年型塹壕掘り工具」)を採用している。M1943は柄と刃の取りつけ部分が回転して折りたたみができる設計で、携行に優れるだけで無く、刃が柄と90度の角度で固定できるので、鍬(くわ)のように使うことができた。柄頭部分に取っ手はない。同様の構造のものが、現在でも各国で軍用あるいは民生用として製造されている。ソビエト連邦軍(労農赤軍)は砲身部分を柄として、スペード形の底板を刃として組み替える、迫撃砲兼シャベルとなる特殊な兵器を装備していた(37mm軽迫撃砲)。後継兵器として、現代ロシア軍にも単発式グレネードランチャー兼シャベルとなるものが存在する。
出典:wikipedia
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