ホルスの4人の息子(ホルスの4にんのむすこ)とは、エジプト神話の4柱の神々で、本質的には4つのカノプス壷を人格化したものであり、身体はミイラになっている。古代エジプトでは心臓には魂が宿るとされたため、ミイラを作る際に身体に残された。脳は単に様々な粘液の発生源と見なされていたため、かき混ぜて液状にして吸い上げて捨てた。胃(と腸の一部)と肝臓と腸の大部分と肺は切除して防腐処理をし、それぞれ別々の壷に保管した。この方式から逸脱したミイラが作られた時代もあった。第21王朝の時代には、防腐処理した内臓をミイラの体内に戻してから包帯を巻き、カノプス壷は象徴として空のまま置かれた。ホルスの4人の息子についての初期の記述はピラミッド文書に見られ、彼らはその王の友人であり、はしごを使って王の魂が東方の天に昇るのを助けるとされていた。彼らがホルスと結び付けられたのはエジプト古王国時代で、単に息子であるだけでなくホルスの魂だとされていた。王またはファラオはホルスの顕現であり、またホルスに守られているとされていた。そのため、死んだファラオは(新たなファラオの父であることから)オシリスと見なされ、その内臓はホルスの一部、あるいはむしろホルスの子と見なされた。ホルスの息子とされたため、初期の神話でホルスの妻だったイシスが彼らの母と見なされた。ただし、葬儀の儀礼の詳細においては、これらの息子と対応するカノプス壷はそれぞれ特定の女神が守護するとされた。ホルスの息子たちがカノプス壷の中身である王の内臓を守ったように、彼ら自身も守られた。彼らは男性なので、男女双対の原則から彼らを守るのは女性とされた。エジプト中王国時代の古典的なホルスの4人の息子の描写としては、棺の東側の面にイムセティとドゥアムトエフを描き、棺の西側の面にハピとケベフセヌエフを描いていた。東側の側面には一対の目が描かれることがあり、棺の中のミイラも日の出の方角である東を向くように置かれており、そちらが棺の正面とされることがある。また、彼らは4方位にも対応付けられており、ハピは北、イムセティは南、ドゥアムトエフは東、ケベフセヌエフは西とされた。エジプト第18王朝まで、カノプス壷の蓋はその王の頭部の像になっていたが、それ以降は動物の頭部の像になった。棺や石棺に描かれるホルスの4人の息子は当初から動物の形で描かれるのが一般的だった。ハピはヒヒの頭を持ち、死者の肺を守り、一方で女神ネフティスに守護される。その名をヒエログリフで表した中には舟の舵と関係が深いと見られる部分があるが、正確なところは不明である。このためハピを航海(航法)と結びつけることもあったが、初期の記述では「偉大な走者」とされている。死者の書の第151章では、ハピが次のような言葉を発するとされている。シューの4つの天の支柱の1つとして、また天国への4つの梯子の1つとして、ハピは北に対応する。これについては特に死者の書の第148章に記述がある。なお、"Hapi" はナイル川の神ハピの綴りの1つと全く同じだが、異なる神である。イムセティは人間の頭を持ち、死者の肝臓を守り、一方で女神イシスに守護される。ホルスからは「持ち上げろ」と命じられており、死者を復活させるのを助ける役目を担っていたと見られる。起き上がることは生きていることを意味し、横たわっていることは死を意味すると見られる。死者の書の第151章では、イムセティが次のような言葉を発するとされている。ここでも家を栄えさせるという暗喩で甦らせることを示している。ここでは、プタハとラーの権威に基づいてそれを行うことになっている。死者の書の第148章でホルスの4人の息子と4方位が対応付けされている。イムセティは南に対応する。ドゥアムトエフはジャッカルの頭を持ち、死者の胃を守り、一方で女神ネイトに守護される。彼の役目は死者を礼拝することと見られ、その名の意味は「母を礼拝する者」である。コフィン・テキスト(棺に書かれた文書)では、ホルスが次のように呼びかけている。ここに明らかになったようにイシスには2つの役割があり、若干混乱させられる。一般にイシスはオシリスの妻でホルスの母だが、同時にホルスの配偶者でもあり、従ってホルスの息子たちの母でもある。ドゥアムトエフはホルスではなくオシリスを父と呼ぶようになり、さらに曖昧となっていった。死者の書の第151章では、ドゥアムトエフが次のような言葉を発するとされている。この文書ではオシリスを傷つけるのが誰なのか明らかにされていないが、考えられる候補は2人いる。まず1人はセトで、実際にオシリスを殺したという神話がある。母であるイシスを礼拝する息子はどういうわけかセトに打ち勝つ助けになるとされている。別の候補はヘビの姿をした悪魔アペプで、太陽の運行を妨げることから、オシリスの復活も妨げるということになる。いずれにしてもドゥアムトエフはイシスを礼拝することで死者を守る力を持ったと見られる。彼もシューの天の支柱の1つ、天国の梯子の1つとされており、東に対応付けられている。ケベフセヌエフはハヤブサの頭を持ち、死者の腸を守り、一方で女神セルケトに守護される。その役目は死者に元気を与えることと見られ、その名は「同胞に献酒する者」を意味する。ホルスは彼に次のように命じている。献酒や冷たい水をかけることは古代エジプトでの伝統的な礼拝形式だった。ファラオが神に献酒する様子を描いた絵が多数存在する。これには、浄化と元気付けという2つの意味があった。死者の書の第151章では、ケベフセヌエフが次のような言葉を発するとされている。セトはオシリスを殺した後、その死体を隠すために切り刻み、ナイル川のデルタ地帯にそれをばらまいた。古代エジプトではこれは復活を妨げる呪いであり、ケベフセヌエフが身体の部分を集めると言っている背景にはその考え方がある。ケベフセヌエフは西に対応付けられている。ホルスの息子たちに4種類の動物が関連付けられた理由は定かではないが、ここではそれらの動物が他のエジプト神話でどういう意味を持っているかを解説する。ヒヒは、月とトートと関係が深い。トートは知恵と知識の神である。また、ヒヒは日の出のときに太陽に向かって手を挙げて鳴くとされており、それが礼拝しているように見えるとされていた。ジャッカル(またはイヌ)はアヌビスや防腐処理と関係が深い。また、同じくジャッカルの姿で描かれる「道を切り開く者」ウプウアウトは死者の魂を導くとされた。ハヤブサはホルス自身と関係が深く、セケルというミイラの姿をした冥界の神とも関係が深い。そして人間はオシリス自身か狩猟神オヌリスと関係すると見られる。ホルスの4人の息子は単なるカノプス壷の守護者という役目を越えた属性を持っている。死者の書の第148章では天国への4つの梯子として言及されており、同じく第17章ではアヌビスが呼び出した7つの天の精霊のうちの4つとして言及されており、この記述を通して北極星周辺のおおぐま座の星とも結び付けられている。
出典:wikipedia
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