マッターホルン・ゴッタルド鉄道HGe4/4形電気機関車(マッターホルン・ゴッタルドてつどうHGe4/4がたでんききかんしゃ)は、スイス南部の私鉄であるマッターホルン・ゴッタルド鉄道()で使用されている山岳鉄道用ラック式電気機関車である。2003年にブリーク-フィスプ-ツェルマット鉄道と統合して マッターホルン・ゴッタルド鉄道となったフルカ・オーバーアルプ鉄道は、 路線の両端のディゼンティス/ミュスターとブリークで接続する同じ1000mm軌間のレーティッシュ鉄道およびブリーク-フィスプ-ツェルマット鉄道の前身であるフィスプ-ツェルマット鉄道 がいずれもAC11000V16 2/3Hzで1920-30年代までに電化がなされ、路線のほぼ中央のアンデルマットで接続する同じく1000mm軌間のシェレネン鉄道がDC1200V で電化されていたのに対して、1940年代まで蒸気機関車による運行が続いていた。しかし、第二次世界大戦による石炭の 価格高騰の影響によって同鉄道も電化されることとなり、両端で接続し、1930年からは夏期に氷河急行の客車の直通が行われていた両鉄道 と同じAC11000V16 2/3Hzでの電化が1940-42年に実施され、使用される機材としてBCFhe2/4形ラック式電車とともに用意されたラック式電気機関車が本形式であり、フィスプ-ツェルマット鉄道が1929-30年に導入したHGe4/4形の11-15号機をベースとして改良した機体となっている。HGe4/4 11-15号機はフィスプ・ツェルマット鉄道の電化に際してSLMおよびMFOで製造されたラック式の電気機関車で、SLMの開発で当時普及が始まっていた、主電動機から粘着動輪と、その車軸にフリーではめ込まれたピニオンの双方に歯車で駆動力を振り分ける駆動装置を組み込んだコンパクトな台車を特徴としており、125パーミルの勾配で60tの列車を牽引可能な機体であった。フルカ・オーバーアルプ鉄道の電化に際してはこの機体をベースとして電気機関車が検討されていたが、1930年代のMFOによるケーススタディでは同機をベースに1時間定格出力496kWから736kWに増強した機体が検討されており、全長14100mm、自重58tで、固定軸距1050+1050mmの3軸台車を使用した車軸配置(A1Azz)(A1Azz)のもので、外観はHGe4/4 11-15号機と類似デザインでボンネットが片側2430mmから1200mmに短縮、車体を7500mmから9960mmに延長して電気機器の大型化に対応した電気機関車となっていた。その後、主変圧器の油冷化をはじめとした電機品の小型化により、HGe4/4 11-15形とほぼ同一の機体寸法および重量でより高出力の機体とすることが可能になり、まず1939年製に試作機として1時間定格出力736kWのフィスプ・ツェルマット鉄道HGe4/4 16号機が製造され、この機体を原形として、主に速度性能の向上のためにさらに出力増強をした機体がフルカ・オーバーアルプ鉄道に導入されることとなった。この機体はまず1939年10月にHGe4/4 31-34号機が発注されて1940年に導入され、その後1943、48、56年に35-37号機がそれぞれ導入されている。なお、原形機からの主な変更点は以下の通りであり、HGe4/4形の11-15号機とも車体外観は大きく異なるものの、台車軸距や台車中心間距離は同一で全長や台車もほぼ同一の機体となっている。本形式は、原形機と同様車体、機械部分、台車の製造をSLM、電機部分、主電動機の製造をMFOが担当して、1940年から1956年にかけて31-37号機の7機が導入された、低圧タップ切換制御により1時間定格出力911kW、牽引力112.7kNを発揮して勾配110パーミルで100tの列車を牽引可能な中形機であり、原形機のものを改良した軸距2010mmの2軸ボギー台車内に2台の主電動機と2軸の動輪、ラック用のピニオンを組み込んだ台車を特徴としている。なお、本形式は製造当初はHGe4/4形と呼称されていたが、その後1985年にHGe4/4形が導入された際に区別のためHGe4/4形と呼称されるようになったものであるが、車体表記は”HGe4/4"のままとなっているほか、原形となったHGe4/4 11-15号機がクロコダイル (Das Elektrokrokodil) と呼称されるのに対し、本形式はデッキ付の外観からバルコニー機関車 (Die Balkonlokomotive) と呼称されることもある。また、本形式は1時間定格出力911kWで荷重2.0tの荷物室を備えており、同時期の1941年に製造されたスイス連邦鉄道Fhe4/6形は1時間定格出力970kWで荷重3.0tの荷物室を、その後増備されたDeh4/4 51-55形、Deh4/4 91-96形も同様に1時間定格出力1032kWで荷重1.5-2.5tの荷物室を備えるという類似の機体であるが、形式上は本形式機は電気機関車、その他の形式は荷物電車に分類されている。それぞれの機番とSLM製番、製造所、製造年、運用開始年(31-34号機)は下記のとおり。
出典:wikipedia
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