カンデサルタン(Candesartan、開発コード:TCV-116)とは主に高血圧の治療に使用されるアンジオテンシンII受容体拮抗薬の一つ。プロドラッグであるカンデサルタンシレキセチルがアストラゼネカや武田薬品工業からブロプレス (Blopress)、Atacand、Amias、Ratacandの商品名で市販されている。日本では武田薬品工業からブロプレス(単剤)、エカード配合錠(ヒドロクロロチアジドとの合剤)、ユニシア配合錠(アムロジピンとの合剤)が上市されている。創製は武田薬品工業で海外へは導出されている。高血圧症、腎実質性高血圧症、慢性心不全(軽症~中等症)(ACE阻害薬が不適の場合のみ)ヒトの血圧に対しては、昇圧物質としてアンジオテンシンが最も影響を与える。アンジオテンシンIは、アンジオテンシン変換酵素により、アンジオテンシンIIへと変換され、アンジオテンシンIIが受容体に結合し、心臓・血管や副腎へと作用する。カンデサルタンは、アンジオテンシンII受容体に、競争的阻害剤として結合し、血圧を降下させる。2000年代初頭のCHARM臨床試験の結果、心不全の患者が服用する事で死亡率・入院率が低下する事が示された。心不全の治療ではACE阻害薬が第一選択薬であるが、カンデサルタンの併用はACE阻害薬単剤に比べて心血管疾患に因る入院率と死亡率を下げる他、ACE阻害薬に不忍容な患者に対してはアンジオテンシンII受容体拮抗薬が代替薬として処方される。観察期間4年間の無作為化比較臨床試験でカンデサルタンと偽薬とを比較した結果、カンデサルタンはの患者の高血圧症発症を防止又は遅延させた。観察期間前半の2年間はカンデサルタンと偽薬がランダムに割り付けられ、カンデサルタン群では高血圧発症がほぼに減少した。後半の2年間は全ての患者に偽薬が投与された。臨床試験の終わり迄に、カンデサルタンは有意に高血圧リスクを低下させ、低下率は15%を上回った。重篤な副作用の発生率は、カンデサルタン群よりも偽薬群の方が高かった。チアジド系利尿薬の一つであるヒドロクロロチアジドと併用すると相乗的な降圧効果が得られる。カンデサルタン単剤8mgで充分な効果が得られない場合は、12mgに増量するよりはヒドロクロロチアジドを追加する方が良い。アリスキレン服用中の患者等には禁忌である。但し、他の降圧治療を行っても尚、血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く。添付文書に重大な副作用として記載されている項目は、血管浮腫、ショック、失神、意識消失、急性腎不全、高カリウム血症、肝機能障害、黄疸、無顆粒球症、横紋筋融解症、間質性肺炎、低血糖である。又、5%以上の患者に立ち眩み、低血圧、ふらつき、γ-GTP上昇、貧血、BUN上昇、クレアチニン上昇、血中カリウム上昇、血中尿酸上昇、血中CK(CPK)上昇が現れる。カンデサルタンは製剤としてはシクロヘキシル-1-ヒドロキシエチル炭酸エステル(シレキセチル)とのエステルである。カンデサルタンシレキセチルは腸壁のエステラーゼで完全に加水分解されてカンデサルタンとなり吸収される。プロドラッグとする事でカンデサルタンの生物学的利用能は向上するものの、錠剤の利用能は約15%、アルコール溶液での利用能は42%であり、高いとはいえない。カンデサルタンのICは15µg/kgである。開発コードTCV-116と呼ばれていたカンデサルタンは日本で研究開発された。標準的なラットを用いた動物実験の結果、カンデサルタンが有効性を示した事は1992年〜1993年に公表された。ヒトを対象とした予備的臨床試験の結果が発表されたのは1993年の夏であった。 ブロプレスで指摘されているのは以下の点である。① 京都大学EBM共同研究センターを中心に行われた医師主導臨床研究CASE-J(2000~2004年、心血管系障害発症抑制効果をアムロジピンと比較)に武田社員がWebデータシステム構築などを担当。同社員は研究終了後の2007年2月に同センターに移籍。武田は同センターに9年間で25億円を資金供与。② 2剤の心血管系障害累積発症率を比較したグラフが2つあることが判明。2006年の学会発表時のものと、2008年に米国専門誌に掲載された研究論文のもの。両者の違いは時間軸の長さで、学会版は48カ月、論文版は42カ月で、学会版は42カ月以後、それまで発症率でアムロジピン服用群よりも高かったブロプレス服用群が逆転して低下しているように見える。③ 論文が発表された2006年、武田はブロプレスが長期服用によって心疾患系障害発症で有利となるように見えるグラフを販促資材(製品パンフレット)に使い、ブロプレスを販売した。武田薬品工業が高血圧治療薬「ブロプレス」の臨床研究データを不適切に広告に使った問題などを受け、厚生労働省は、医薬品医療機器法(旧薬事法)で禁じる「誇大広告」に当たるとして、同社に業務改善命令を出す方針を固めた。会社側の弁明を聞いたうえで、最終的に決める。研究は「CASE―J」と呼ばれ、2001~05年に京都大などの医師が主導して実施し、武田薬品が37億5千万円の資金を提供した。高血圧患者約4700人が参加する国内初の大規模臨床研究で、脳卒中などの病気の発生率を他社の薬と比較し、効果を調べた。結果は統計的に明確な差はなかったにもかかわらず、武田薬品が医師向けにつくった広告には、長期間使うことでブロプレスの方が効果があるような形のグラフが掲載された。ブロプレスの方が有効だと印象づける文言も使われていた。別の広告では、適応が認められていない糖尿病にも効くかのような印象を与える表現があった。厚労省は、同社の社員から事情を聴き、資料を集めた結果、広告は事実より効果を大きく見せていると判断したという。
出典:wikipedia
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