数学における保型因子（ほけいいんし、）の概念は、複素解析多様体への群の作用が定められているという状況で生じてくる。 群 "G" が複素解析多様体 "X" に作用しているものとすると、この群 "G" は "X" 上の複素数値正則函数全体の成す空間にも作用する。このような函数 "f" が保型形式であるとは、群 "G" の作用に関してなる関係を満たすことを言う。ただし、"j"("x") は至る所零でない正則函数とする。これは、保型形式は "G" の作用のもとで不変となる成分 を持つような函数であるというように述べることもできる。保型形式 "f" の保型因子とはこのような函数 "j" のことである。また、保型函数 とは、その保型因子 "j" が常に 1 であるような保型形式をいう。保型因子に関していくつかの事実が成り立つ。保型因子とその他の概念の間の関係として、以下のようなものが挙げられる。Γ が "SL"(2, R) の部分群で上半平面に作用している場合に特殊化した議論はモジュラー形式の保型因子の項に譲る。

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