卵かけご飯(卵掛け御飯、たまごかけごはん)は、飯に非加熱の鶏卵を掛けた飯料理である。調味料として醤油などが使用される。卵を生のまま用いる。「卵ぶっかけご飯」、「卵ご飯」、「卵かっか」、「卵かけ」、「たまご飯」、「たまつる」、「ぼっかけご飯」、「T.K.G. (Tamago Kake Gohan)」などとも呼ばれる。古来より日本人が食する動物性の食品は、魚介類が中心であった。仏教の不殺生戒の影響(ただし誤解もある)により、獣肉や鳥肉の摂取は稀であった。それでも鳥肉は獣肉に比べればまだ食されていたが、家畜化されたニワトリは弥生時代にブタとともに日本列島へ伝来するが、天武天皇・聖武天皇の代にはニワトリをはじめとする殺生禁断令の詔が発せられ、ニワトリの卵も避けるべきとされた。。特に戦国時代から江戸時代にかけて西洋人が来航した西日本では肉食とともに卵を食する文化が伝来し、カステラやボーロなど鶏卵を使用した南蛮菓子も伝来した。江戸後期の天保9年(1838年)には鍋島藩の『御次日記』において、客人に饗応された献立のなかに「御丼 生玉子」が見られる。近代に入った1877年頃、日本初の従軍記者として活躍し、その後も数々の先駆的な業績を残した岸田吟香(1833年 - 1905年)が卵かけご飯を食べた日本で初めての人物とされ、周囲に卵かけご飯を勧めたとされている。その後の第二次世界大戦後の食糧難の時期は鶏卵は希少品となったものの、昭和30年以降卵が庶民の味となってからは、味や栄養面で注目され、食卓の人気者となったという。現代日本では卵は生食できる食品として認知されている。日本以外の国では韓国のユッケおよびヨーロッパのタルタルステーキで生卵と生肉や他の具材をかき混ぜる料理、あるいは食材の一部(フランスのミルクセーキなど)としての他は、生食する食習慣は独特とされる。ほかに、薬用として卵が生食されることがある。世界各地域では、卵を食す場合は完全に火を通した調理法が一般的である。日本以外の文化圏で育った人にとって、生卵を食する習慣はカルチャーショックであり、時にはゲテモノ食と映る可能性もある。アメリカ映画の『ロッキー』では主人公が複数の生卵を飲み干すシーンがあるが、日本人と日本人以外では受け止め方が異なる可能性がある。また、香港映画の『少林サッカー』では、ぼろ靴の上で潰れた生卵を吸うシーンでいじましさの演出に利用されたりしている。日本の国内産の鶏卵は通常、厚生労働省の定める「衛生管理要領」に基づき殺菌剤で洗浄を行うなど病原体の付着を防ぐ安全のための措置が講じられ、卵選別包装施設でパック詰めされる。日本卵業協会によると、パック後2週間(14日)程度を年間を通して賞味期限としている所が多い。このような流通上の努力によりサルモネラ菌に感染する卵を減らす努力をしている。こういった流通体制を整えていない国での卵の生食や卵かけご飯は避けた方が良い。元来生卵はサルモネラ食中毒などを起こしやすく、安全に食べられる地域は日本など一部に限られている。日本国外では、卵の生食で食あたりする日本人が毎年発生する。生食を前提にしている日本では、鶏卵農家が卵の完全洗浄など衛生管理全般が行き届いているが、それでもサルモネラ食中毒が1990年代以降増加傾向にあり、一定の注意が必要である。サルモネラ属菌は、主にはニワトリの腸管におり、卵を産んだ後に糞便等から卵の殻に付着することが多い。日本では、GPセンター(Grading(選別)・Packing(パック詰め)を行う工場)での選別時に次亜塩素酸ソーダによる殺菌処理を入れることもある。生卵を食べる場合、ひび割れた卵や割れた卵、割ってから卵を使用するのは危険である。ただし、産卵後の汚染以外に、菌を保持している親鶏から卵巣や卵管を経由して菌が卵の中に付着する感染経路もあり、。アメリカ食品医薬品局 (FDA) は、食中毒を避けるために、購入の際には殻が割れていないことを確認すること、調理の際には十分な加熱することを呼びかけている。タンパク質の生体利用率は生卵で51%、加熱された卵では91%であり、生卵のタンパク質の吸収率は、加熱された卵のタンパク質と比較して半分近く吸収率が低い。卵白には卵黄に多く含まれているコレステロールを抑制する作用があるとする研究発表がある。一方、生卵白に含まれるアビジンにはビオチンの吸収を阻害する性質があり、生卵白を長期間にわたり継続して大量に摂取することによりビオチン欠乏症を発症する危険性があることを指摘する研究発表も出されている。料理研究家栗原はるみは、2004年に発刊した外国人向けの料理書『ジャパニーズ・クッキング』で、卵かけご飯を紹介している。このように、調理を施すか、複雑な調理方法を用いるか否かによる「料理 (Cooking)」の定義は定かではない。2008年には、岡山県久米郡美咲町に、卵かけご飯を中心のメニューとした定食店が開店した。美咲町は卵かけご飯を日本で最初に食べたとされる岸田吟香の出生地でもある。2009年10月10日には東京都日比谷(行政地名としては有楽町一丁目)に卵かけご飯専門店が開店した。2000年代後半には、卵の生食習慣がない香港に向けて日本の食文化である「卵かけご飯」の市場開拓を目指す動きがある。生卵は冷凍保存できないことから長期間の保存が難しい。南極観測隊では補給物資として半年振りに振舞われた生卵で卵かけご飯を作る隊員もいる。卵かけご飯に最適化するように調味されており、醤油をベースに昆布や鰹節のうま味を加え、卵との調和を向上させるために甘味を加えた「卵かけご飯専用醤油」が開発され、2000年代以降に数十社から商品化・市販され、メーカーによっては「関東風」「関西風」など細分化されている。などが販売されている。卵かけご飯に合うように、または独自の風味を出すように調合された調味材も存在している。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。