ビーストバインド トリニティは、現代を舞台としたテーブルトークRPG(TRPG)である。タイトル略称は「BBT」。井上純弌のプロデュースによるビーストバインド(魔獣の絆)シリーズの第3作目にあたる。2010年9月にエンターブレインから発売。藤浪智之、矢野俊策と改版ごとに交代してきたシステムデザイナーは、今作では重信康が起用され、共著者となっている。以後この項目では、第1作である『BEAST BIND 魔獣の絆 R.P.G』( 1999年8月/小学館)を示す場合は「無印」、および第2作である『BEAST BIND NEW TESTAMENT 新約・魔獣の絆』(2004年9月/エンターブレイン)を示す場合は「NT」と表記する。ゲームの舞台となるのは『無印』『NT』と同じく現代世界である。このゲームの世界では怪物、妖怪、宇宙人などの様々な人外なる者が人間社会からは隠れて住み着いている。そのような人外の存在たちを総称して「魔物」と呼ぶ。人間と魔物の最大の違いはエゴ(自我)の強さである。全ての魔物たちは何ものをも捨ててでも自分のエゴを成そうとする。そして、強いエゴを持つものは奈落と呼ばれる超時空的存在からエネルギーを引き出し現実を改変できるのだ。魔物たちが物理法則を無視した超自然的なパワーを発揮できるのはそれゆえである。より強力な魔物は自分のエゴを具現化した小世界(「ドミニオン」と呼ばれる)を作り出すことができ、その域にまで至った魔物は「ドミネーター」と呼ばれる。実は人間や魔物が住むこの地球も「地球ドミニオン」と呼ばれるドミニオンのひとつである。ドミネーターは明らかにされていないが、「地球の守護者」と呼ばれる使徒(アポスル)が存在している。そして、人間にも魔物にもどっちつかずの半端者たちを「半魔」と呼ぶ。ビーストバインドシリーズはこの半魔たちを主人公(プレイヤーキャラクター)にしたゲームである。人間社会に惹かれる魔物や、魔物に共感を持つ人間たちが半魔と呼ばれ、人間の世界と魔物の世界の境界を渡り歩く彼らは双方の世界から半端者として扱われている。『無印』の舞台であった西暦2000年以前は、人間と魔物は基本的に関わりあうことは少なく、魔物の存在は一般人の多くに隠されている。いざ関わりあうときは相手を傷つけようとするときがほとんどであった。しかし、新千年紀を迎えた『NT』からは地球ドミニオンで様々な魔物関係事件が頻発し、一般人たちの間でも都市伝説や怪談などで魔物たちの存在が少しずつ認識されつつあるという、世界変革の過程の時代を迎えている。半魔たちの中には、魔物が隠れすむことなく人間と手をとりあい共存できる世界がいつか来るかもしれないという希望を抱く者もいる。本作ではこの状況はさらに加速し、謎の勢力「虚無」が地球ドミニオンに侵入し、「地球の守護者」の翼をもいだことから、世界には怪事件がより頻発するようになった。また、守護者の翼がもがれたとき無数の羽根が世界中に散らばった。この羽根を手にしたものはすさまじいまでの力を得ることができるため、多くの魔物や半魔、事情を知る人間たちが羽根の争奪戦を開始している。過去のビーストバインドシリーズのルールブックでは、より実際的な舞台として特定の都市の設定を詳細に紹介してきた。『無印』では「新宿」、本作では『NT』に引き続き「池袋」が紹介されている。池袋は虚無の襲撃により守護者が倒れた地であり、大量の羽根が散らばっているという。闇の世界の者たちはこぞって池袋に集結し、羽根をめぐった魔物たちのバトルロイヤルが夜な夜な繰り広げられている。天界の天使から魔界の悪魔までをも巻き込み、その規模は大きくなりつつある。その戦いが白日の下に晒され、全ての人間が真実を知ることになるのも近いかもしれない。プレイヤーキャラクター(PC)は半魔となる。本作は一種のキャラクタークラス制をとっており、以下の手順でキャラクターを作成する行為判定は『NT』とほぼ同様であり、上方判定となる。能力値や戦闘値を基にした判定値に6面サイコロ2個の出目を足し、その合計値を「達成値」とし、これがゲームマスター(GM)が指定した「難易度」の数値以上ならば行動成功となる。また、行為判定の出目がクリティカル値(通常は12)以上ならクリティカルとなり達成値が+20される。ファンブル値(通常は2)以下ならファンブルとなり、達成値は0に固定される。シーン制に属する。シナリオはオープニングフェイズ、ミドルフェイズ、クライマックスフェイズ、エンディングフェイズの4つのフェイズに分けて進行させるルールになっており、一回のゲームプレイ(セッション)でシナリオを最後エンディングまで消化することを前提としている。戦闘においてはキャラクターの移動距離や射程などはメートル単位で扱う。F.E.A.R.製のゲームに多用されている「エンゲージ」の概念を実装しており、キャラクターの位置関係をある程度詳細に明示できながらも、マス目つきの戦闘マップなどの準備を前提にしなくてすむようにしている。攻撃が命中したかどうかの判定は、攻撃側が命中に関わる戦闘能力値(白兵値、射撃値など)を使った判定を行い、防御側が回避値を使った判定を行い、互いの達成値を比較することで行われる。攻撃側と防御側の達成値を超えることができれば、はじめて相手にダメージを与えられる。本作ではヒットポイントにあたるステータスを「FP」(フレシュポイント)と称する。FPが0以下になるとキャラクターは「かりそめの死」を迎える。この状況では一時的に戦闘不能になるものの戦闘シーンが終了すれば復活を果たすことができる。キャラクターに「真の死」を与えるには、「かりそめの死」の状態でさらにトドメを指す攻撃を行うが、キャラクターが後述する「解放状態」の時にそのキャラクターのFPを0以下にするしかない。前2作と同様に「エゴ」と「絆」に関するルールが搭載されているが、その取り扱い方は前2作とは異なる。「絆」は自分にとって重要な他者や団体に対してどのような感情を持ってるかを表すステータスであり、プレイヤーキャラクターが自分以外の世界に対してどのような興味をもっているかを示したものでもある。絆は、自分にとって重要な対象の「名前」と、相手に対して抱いている「感情」をキャラクターシートに書き込むことで得られる。絆はゲーム中の任意のタイミングで取得することができるが総計は7つを超えてはならない、また、キャラクターメイキング時にある程度の数の絆を自動的に取得する。絆を得るには最終的にはGMの許可が必要だが行為判定などは必要はない。絆を一つ得るごとに「愛」と呼ばれるポイントが一点手に入る。なお、セッション終了後に「人間性」(後述)を回復させる判定に絆の数が影響する。「エゴ」は自分にとって譲れない思いや抑え切れない欲望を表すステータスである。【血が吸いたい】などのように具体的な文章で表記される。エゴはキャラクターメイキング時にある程度の数を自動的に取得できるが、ゲーム中に新たに取得することもできる。ただしその場合、すでに取得している「絆」を「エゴ」に変換するという形でしか取得できない。絆を結んでいる対象が失われたり、相手との関係が急激に変化したりした場合に、その対象への「絆」を「エゴ」に変換することが許可される。また、後述する「人間性」が低下しても絆はエゴに変換される。絆のエゴへの変換に行為判定などは必要ない。エゴもまた絆と同様に7つまでを取得できる。また、ゲーム中にエゴに似合ったロールプレイを行い、それをGMが認めることで「罪」と呼ばれるポイントが一点手に入る。ただし一度「罪」を得たエゴによるロールプレイでは、そのゲーム中の間は新たに「罪」を得ることはできない。愛と罪は一点消費する毎にそれぞれ別のヒーローポイント要素として使用される。以下参照。人間性はキャラクターの"人間らしさ"を表す能力であり、ゲーム中に様々な要因で低下していく。ゲーム終了時にこれが0以下になっているとキャラクターは完全に魔物となり以後はプレイヤーキャラクター(PC)としては使用不可能となる。ただし、人間性が低下していくたびにキャラクターの戦闘能力などが強化されていくという特性もある。なお、シナリオのクライマックスシーンの終了時、全てのPCは「人間性」を回復する判定を行うことができる。判定は「PCが持っている絆の数」だけサイコロを振るというもので、出目の合計だけ人間性が回復する。仮にゲーム中に人間性が0以下になってもこのタイミングで1以上にできれば問題はない。「スピリチュアル・アンカー(SA)」はシナリオ毎にGMから各PCに渡される「キャラクターが達成すべき目標」である。PC全員が同じSAを渡されることもあれば、異なるSAが渡されることもある。GMが望めばPC毎に利害が対立するSAを渡しても良い。シナリオのクライマックスシーンの終了時、SAが達成できていれば、人間性の回復に使われるサイコロの数を倍にできる。また、ゲーム終了後に与えられる経験点にボーナスが加わる。上述したとおり、本作ではキャラクタークラスに類するものとしてブラッド、ルーツ、スタイルがあり、これらからプライマリブラッド(本質)としてブラッド-ルーツを一つ、セカンダリブラッド(補助的形質)としてブラッド-ルーツを一つ、スタイルを一つ選択してキャラクターのおおまかな特性が決定される.キャラクターの魔物としての特質を表すもの。キャラクターの戦い方を表すもの。TRPGサポート誌「ゲーマーズ・フィールド」にて、たびたびBBTのシステムを拡張する追加ルーツやアイテムが掲載されている。これらはサプリメントやリプレイ巻末に再掲載されたため、過去の内容は上述の項に統合した。以下、本記事において説明した項目に関して参照できるよう、BBTに関連する書籍の一覧を掲載する。
出典:wikipedia
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