ネモ船長(ねもせんちょう、)は、ジュール・ヴェルヌのSF小説『海底二万里』(1870年)の主要登場人物の一人で、同作に登場する潜水艦、ノーチラス号の艦長である。ただし本名ではなく自称している偽名であり、ラテン語で「誰でもない」を意味する " から取られている。彼の正体は、『海底二万里』では謎に包まれたまま終結を迎えるが、後に書かれた『神秘の島』で正体が明らかにされた。彼の正体はインドのバンデルカンド地方の大公の息子である。イギリスのインド侵略で迫害されたティッポー・サヒブの甥にあたるダカールという名の王子であった。ネモ船長は10歳になると父の勧めで渡欧し30歳頃までそこで過ごした。これにはヨーロッパの知識を吸収して、インドをイギリスから独立させて欲しいという父の願いが込められていた。彼はヨーロッパで学問や芸術に対する才能を発揮し周囲の人たちから称賛されるが、ヨーロッパ、特にイギリスに対する復讐心は衰えることがなかった。1849年に故郷へ帰り、1858年に反乱を起こす。そして、同時期に起きていたセポイの反乱でイギリス軍により妻子を失った後、彼は20人ほどの部下と共に科学的な研究活動に没頭し、太平洋上の孤島で最新の潜水艦、ノーチラス号を開発する。その後、ノーチラス号の乗組員と共に、圧制に対して戦う世界中の活動家たちへの資金提供を行った。1702年にヴィゴー湾で沈没したスペインのガレオン船に積まれていた巨額の金銀を回収していたため、資金に困ることはなかった(『海底二万里』で描かれたのはこの時代)。年月が過ぎ、ノーチラス号のクルーは一人また一人と命を落としていく。ついにはネモ船長一人となり、ノーチラス号の進水から30年後、彼はノーチラス号の寄港地の一つである太平洋上の孤島内部の海底洞窟にノーチラス号を格納し、そこで余生を過ごすことを決める。しかし、この孤島に5人のアメリカ人が漂着し、島をリンカーン島と名付けてたくましく生活をはじめると、彼は5人と後に加わるもう1人を密かに見守るようになる。自分の死と島の崩壊を察した彼はある日、6人をノーチラス号のある洞窟へと招き入れる。そこで自分の一連の生涯を話し、火山活動による水蒸気爆発によって島が崩壊する危険があることを告げると、自分が死んだあとはノーチラス号を棺として海底深くに沈めて欲しいと遺言する。そして息を引き取ったのち、ノーチラス号は約束どおりタンクに水を満たされ、リンカーン島の洞窟の底深くへ沈んでいった(『神秘の島』)。ヴェルヌの当初の案では、ネモ船長はその頃ロシア帝国に事実上占領されていたポーランドが独立を目指して蜂起した「一月蜂起」(1863年-1865年)が失敗した際に、鎮圧によって惨殺された家族の復讐の念に燃えるポーランド貴族という設定であった。しかし、当時フランスは戦争中であり、同盟国のロシアを悪く扱うのは危険であるという編集者側からの勧告により破棄された(また、ロシアはヴェルヌの本を扱っていた出版社にとって重要な市場であり、ロシアを悪く扱う本の売れ行きを心配した出版社の事情があった)。その結果『海底二万里』のストーリーは当初と比べ大幅に変わり、ネモ船長は『神秘の島』(1874年)が発表されるまで謎の人物とされることになった。オリジナル版以外に彼が登場するものは、次のようなものがある。なお、ノーチラス号#他作品におけるノーチラス号も参照。
出典:wikipedia
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