栄誉礼(えいよれい)とは、軍隊が元首や高官を迎えるときに行われる儀礼。栄誉礼の主目的は敬意を表する点にある。儀仗(ぎじょう)とは、敬意を表する点のほかに警衛する点に意義がある。また、堵列(とれつ)とは敬意を表する点のほかに送迎する点に意義がある。受礼者が栄誉礼を行うべき場所に到着したとき及びこれを離去するとき、儀仗隊が受礼者に対して捧げ銃(ささげつつ)の敬礼を行い、敵意のないことを示し、同時に軍楽隊が国歌等を奏することによって行われる。栄誉礼の後に儀仗隊の巡閲を行うことが通常である。旧日本軍の儀仗隊は天皇・皇族・大臣その他、あるいは外国の王族、使臣その他につけられた。編成は通例、騎兵または歩兵で、儀仗隊と儀仗衛兵とに分かれる。儀仗隊は、天皇が艦隊および軍隊の所在地に着御、または発御する場合、ならびに特命検閲使が艦隊および軍隊の所在地に着発する場合、鎮守府司令長官、要港部司令官が初めて着任し、あるいは解職出発する場合その他に、行在所、官庁、旅館、停車場、波止場間の途上に整列する。儀仗衛兵は、天皇が艦隊および軍隊の行在所に滞御する間、または特に命令のある場合、行在所および旅館の護衛にあたる。儀仗隊は、天皇には大佐の指揮する1大隊、特命検閲使および鎮守府司令長官には1中隊、要港部司令官には2小隊から成る1中隊を編成し、軍楽隊を付することを例とする。外国の艦隊司令長官あるいは独立艦隊司令官が軍艦で軍港および要港に入港し、公式訪問をする場合、1中隊以内の儀仗隊を供することができる。ほかに祝賀、祭典および葬喪の際は規定あるいは特命によってそれぞれ儀仗隊を出す。葬喪の儀仗隊は柩の前後に列して行進し、または途中、行列を廃して葬儀式場に堵列し、葬祭の終ったときこれに敬礼し、弔銃を発したのち退去する。その員数は死亡者の官等によって差異がある。高等武官の葬儀には儀仗隊は軍楽隊1隊を付することが例である。葬喪の儀仗隊は行進間、歩調をとることなく柩の速度に応じて行進し、執銃者は負革で銃を倒に右肩に託し、銃身を後方にし右手で銃床を握る規定である。現代の日本でも国賓等を迎えた場合、東京国際空港、迎賓館等で特別儀仗が行われる。特別儀仗においては、陸上自衛隊第302保安警務中隊から特別儀仗隊が編成される。また、将補以上の階級にある者で当人が拒否しない限り式典等において栄誉礼が挙行される。厳密には本来栄誉礼の受礼対象ではないが、駐屯地若しくは基地祭における一日駐屯地(基地)司令に対しても栄誉礼が行われる場合もある、無論この場合はイベント的な扱いで行われ、執行者である駐屯地(基地)司令が1佐職で当該のイベント一日司令がたとえ「2佐」を当日の指定階級としても栄誉礼が行われる。冠譜は2回若しくは1回。イベント的な扱いとしては同様に定年退官する部隊長(1佐職)に対しても冠譜を1回(駐屯地音楽隊やらっぱ隊が吹奏する)とした栄誉礼を行い見送る行事が行われている駐屯地もある。自衛隊法施行規則(昭和29年総理府令第40号)第13条から第14条の2までの規定によると、栄誉礼、儀仗及び堵列の目的は次の通りとされている。栄誉礼は例えば、次のような手順で行われる。「栄誉礼等及び礼砲の実施要綱について(通達)」(昭和45年8月7日付け防衛庁長官通達防人1第1726号(平成19年8月31日付け防衛大臣通達防人計第4888号による改正後のもの)及び」「栄誉礼の細部実施要領について(通達)」(昭和59年1月25日付け海上幕僚長通達海幕総第294号(平成8年7月24日海幕総務第3467号による第4次改正後のもの))における、外国の受礼者の場合をもとに示す。なお、陸上自衛隊に関しては儀仗隊の編成等に関して若干の差異が見受けられる。具体的には編成は受礼者に応じ1個中隊~1個小隊を中心に編成、指揮官は3佐~3尉までと受礼者に応じ変化がある。また、式典等にて高官に対する栄誉礼では、会場・観閲部隊の制約等の事情がある場合等に限り執銃しない場合は「頭中(かしらなか)」等の敬礼動作で栄誉礼とする場合もある(特に会場が公的な会場を借り受けて行う場合や補給処等の事務官等が参加する場合等)。自衛隊法施行規則第13条第2項により、自衛隊の儀仗を受ける資格を有する者は次の通りである。諸外国の儀仗兵の中には、その国の軍隊が使用する最新かつ主力の小銃を携行する国(イギリス等)もあるが、64式や89式小銃を含む最近のアサルトライフルでは、弾倉や照準器等が突出していて執銃動作銃の邪魔になる。また、全長が短いブルパップ方式の小銃を使う場合は立て銃等が出来ないため、新たな執銃姿勢を採用する場合もある。銃本来の性能よりも外観や取り回しを優先するため、木製部品を使う旧式の小銃を使用する国が多い。自衛隊の特別儀仗隊でも警察予備隊時代から受け継いだM1ガーランドを使用している。自衛隊の栄誉礼においては、外国国賓等の儀仗隊巡閲の際に天皇又は内閣総理大臣が同行しない。この点を田畑金光参議院議員が参議院内閣委員会において指摘し、「こういうようなことは、非常にわれわれとしては何かしらん不自然な感じを受ける」と述べたことがある。これに対して、政府委員からは「外国によりますと、外国のいわゆる元首がやはり案内しないで、日本の例のように、手前に立っておられるような例もあるわけですから、その方がよかろうというので、今のような形が採用されて現在に及んだわけであります。」と説明された。警察においても栄誉礼が行われている。儀仗隊の指揮官は儀礼刀を、隊員は拳銃を着用する。警察内の各組織は一部を除き小銃等の火器類は装備していないため、栄誉礼実施時の敬礼は捧げ銃ではなく挙手の敬礼となる。消防の儀仗隊は武装していない。民間の警備会社も大規模なイベント等で要人に対する栄誉礼を警備業務として請け負うことがある。
出典:wikipedia
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