晩婚化(ばんこんか)とは、世間一般の平均初婚年齢が以前と比べて高くなる傾向を指す言葉である。「大人婚」とも言う。先進国では、ここ百年は結婚に対する考え方が「国民皆婚制」という歴史的にも、生物学的にもきわめて珍しい状態にあるが、さも、国民皆婚制が、太古の昔から続いていたかのような俗論が蔓延しており本件も、その文脈で語られることが多い問題の一つである。高年齢で結婚をすること、俗に「婚期を過ぎてから結婚する」ことを指して晩婚と言うが、その「婚期」についての社会通念も変化してきた。また、これによって少子化という問題も起きているといわれる。但し、出生数それ自体は、ここ20年ぐらいは微減で、ここ10年間は110万人程度で横ばいとも見られる。但し10年積算すると子供の数が約10万人が減少することから、年間1%の減少ではある。一時のベビーブームとの比較という見方をすると子どもの数は確かに大幅に減ったと見られるが、どちらが異常であるかは判断が難しい。総じて、歴史人口学の教えるところによると、晩婚化(非婚化)という概念じたいは、近代社会(明治以降)の社会と、江戸時代の村社会等といった特殊なサンプルとの比較という意味でしか意味がなく、、数字の裏付けのない俗説が蔓延していることもあり、そういう意味では晩婚化という概念はずいぶん疑わしい側面をも持つ。さらに、経済への影響に関しても、しばし人口減と絡められ、経済の悪化の原因の一つと槍玉にあげられることもよくあるが、そのような指摘自体が、俗説に過ぎないという指摘もある。晩婚化は先進国だけでなく途上国でも確認されており、世界的な現象となっている。国連が世界192カ国を対象に、1970年代と1990年代で結婚等がどのように変化したかを調査した報告書によれば、となっている。これは進学率が低かったこと、及び低年齢から社会に出て手に職を付けることが当たり前でありかつ効率的であったことが理由の一つとして挙げられる。特に女子は長い間、進学せずに家事に就くことが当然と見なす社会的圧力に晒されていたため、進学や就職をせず親の縁談で伴侶を見つけて嫁ぐことも多かったので、女子の平均初婚年齢は10代後半で長く推移した。大戦後、特に先進国において義務教育以上の就学課程(特に大学)への進学率が高くなると、平均初婚年齢は次第に20代へとシフトし始めた。この傾向は、高学歴を必要とする専門知識が求められる職種の増加、学歴重視の雇用者意識、女性の社会参加、看護・福祉のような女性が中心的な労働力を占める職種の社会的地位の向上、女性の経済的な自立と就業意欲の高まりなどを背景として、年々加速した(ただし女性の経済的な自立については異論も多い。次項参照)。既婚男性の満足度は独身男性より高い一方で、女性の場合はその逆となり、さらに独身女性の方が既婚女性よりも長生きをするという調査結果がある。『女は結婚すべきではない』の著者のシンシア・S・スミスは、「現代の男性が結婚すると、家を手に入れ、家の世話をしてくれる家政婦と料理人、陽気な家族を得て、それにもう一人分の収入がプラスされる。だが女性が結婚すると増えるのは下宿人」であると、同性愛者の立場からアメリカの結婚事情が女性に厳しいことを指摘している。日本では現在、民法上、結婚できる年齢は、男子18歳・女子16歳と定められている。しかし、日本国内では高校へ進学する人の割合が1学年あたり90%台に達してから既に長く、結婚して所帯を作ろうと考える年齢は、男女ともに18歳を下回ることはほとんど無い。一方、個人主義の観点から、当人にとっても周囲についても、独身でいつづけることに対する社会的な抵抗(俗には「世間体」と呼ばれる)が昔に比べて格段に低くなっている。このため、以前は長く独身時代に留まろうとする者を「独身貴族」と揶揄することがあったが、就労して獲得した時間的・金銭的な余裕をもっと自分個人のために使い充足感を得ようと、より長く独身時代に留まろうとする者も多い。高学歴化に伴う就労年齢の高年齢化・職場での競争の激化により、晩婚化の傾向には拍車がかかっている。昨今では、男女とも30代になっても独身を続けようと考えることに対する抵抗感は、彼らが前線に出て働いているオフィス街(特に大都市圏)などでは特に、ほとんど見られなくなっている。また、男女とも、お互いを結婚相手としてみなせない、という意識もある。現在の日本では女性が経済力を付ける一方、子育てのサポートが十分ではないために、女性の多くには子どもを産むと仕事を辞めざるを得ず、男性の収入を当てにする上方婚志向(収入・年齢・階層の高い者との結婚を希望する)が根強い。実際に、男性の所得が高くなるほど結婚した男性の割合が高くなり、20、30代の正規雇用で働く男性が結婚した割合は非正規社員の男性の約2倍だったとの調査結果もある。特に30歳代は男性の正規就業者の未婚割合が30.7%であるのに対して、非正規就業者は75.6%となっている。女性は男性ほど正規と非正規で顕著な差は認められなかったので、女性は男性に経済的に依存する傾向があることがうかがえる。男性からすれば「給料は頭打ちなのに、女性は金がかかる。子ができればなおさら。」女性からは「今の日本の社会で女性が自立して生きるのは不安。(子どもを産むために)早く結婚したいが、(経済的に依存できる)いい男性がいない。」という、意識のミスマッチも、原因だと考えられている。しかし、就職や収入面においては、男女間の格差は是正されつつあるにもかかわらず、未だに女性は結婚後の生活を男性に頼ろうとする歪んだ状況を指摘する意見もある。また、女性が男性に収入などにかなりの高条件を求め高望みをし、自分が高望みをしていることには気がつかずに「条件を満たす良い男性が居ない」などと言って結婚できない状況を男性のせいにする場合も見受けられる。一方、男性は自身の年齢が高くても、女性に若さを求める傾向が強い。しかし、若い世代の日本人では男性の人口の方が多く、若い女性の人口自体が減っているにもかかわらず結婚相手に「若さ」を求め続ければ男性の未婚者は増大する。21世紀初頭においては、日本国民の女性の平均初婚年齢は20歳代後半に達しており、男性についてはさらに1歳以上高い。2008年(平成20年)での夫の平均初婚年齢が30.2歳であり、妻の平均初婚年齢が28.5歳である。1970年(昭和45年)では夫の平均初婚年齢が26.9歳、妻の平均初婚年齢は24.2歳であり、相対的には女性の初婚年齢の上昇の方が大きい。第一子出生時の母親の平均年齢については、平均初婚年齢の約1年後という計算になる統計が出ており、2008年(平成20年)での第1子出生時の母の平均年齢は29.5歳である。ただし日本人においては、生涯に渡って独身を続けることを希望する割合は、欧米に比べて低いことにも留意する必要がある。よって、日本の場合、若者が早い時期に結婚できる社会的環境を整えることで、晩婚化は防ぐことが可能と考えられている。ただし、日本では、男性が独身を希望している場合には「実は結婚を希望しているが出来ない」とカテゴライズされることが多い(こうした見方は男性差別であるとの指摘もある)ため、独身を希望する者の割合が欧米より低く算出されやすいことにも留意すべきである(もっとも、女性が結婚を希望しながら独身でいる場合には「結婚を希望しない自立した女性」とカテゴライズされやすいため、性別を区別しなければ両者の割合は相殺しあっているとの見方もある)。また、2005年の調査で2000年に「結婚しない」と回答した30歳世代が、5年後にそれほど減っていなかったという結果があり、未婚化・非婚化は確実に進行していることが伺える。
出典:wikipedia
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