「帰って来たヨッパライ」(かえってきたヨッパライ)は、ザ・フォーク・クルセダーズのデビューシングルであり、同グループの代表曲である。一般には「帰ってきたヨッパライ」と曲名が表記されることが多いが、初版レコードでは「帰って来たヨッパライ」となっている。キャピトルレコードによる英文曲名表記は “I ONLY LIVE TWICE” 。この英題は映画 " のもじりである。1967年12月25日に東芝音楽工業(のちの東芝EMI→EMIミュージック・ジャパン→ユニバーサルミュージック/EMIレコーズ・ジャパンレーベル)の洋楽レーベル・キャピトルレコードからシングル盤が発売され、ラジオ関西で放送されると、早回しのテープと奇想天外な歌詞で反響を呼んだ(レコード番号CP-1014、B面は「ソーラン節」を収録)。「アングラ・フォーク」のブームを生み出した曲である。オリコンチャート史上初のミリオン・シングルで日本のコミックソングの代表的な作品。飲酒運転で交通事故を起こして死んだ、東北弁を話す「オラ(自分)」が長い雲の階段を通って天国へ登るが、その天国でも酒と女に浮かれてばかりだったため、「怖い神様(関西弁を話す)」からの「お仕置き」で天国を追い出されてめでたく(?)生き返る顛末を、テープの高速回転による甲高い声と伴奏で語る歌である。語り手の「オラ」は、巻頭いきなり「自分は死んでしまった」という内容のフレーズを繰り返し、田舎言葉でみずからの行状を語る。途中で2度挿入される「神様」の説教は通常速度で録音され、早回しの伴奏にオーバーダビングしてある。「神様」の説教は、上記の通り北山修によるスローな関西弁で、バックに流れる天国と地獄とギャップがある。メロディ自体はシンプルなリフを繰り返すもので、民謡「草津節」の有名な歌い出し「草津良いとこ一度はおいで」をもじった歌詞も詠み込まれる。曲の間奏はビートルズの「グッド・デイ・サンシャイン」の間奏がパロディ風に演奏され、最後の僧侶の読経ではお経に交えて同じくビートルズの「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ! (A Hard Day's Night)」の歌詞の冒頭が読まれる。そしてベートーヴェンのバガテル「エリーゼのために」が奏されフェイドアウトしていく。もともとは、「フォーク・クルセイダーズ」名義だったインディーズ(自主制作)LPの『ハレンチ・ザ・フォーク・クルセイダーズ』に収められていた曲である。当時のフォークルのメンバーは北山修、加藤和彦、平沼義男、芦田雅喜の4人であったが、芦田がヨーロッパ旅行に出かけることになり、解散記念として自主制作LPを録音した。彼らが好きだった名作のカバーの中に、1曲のオリジナル作品を含めることが決まり、本作はその時に生み出された。1967年11月5日に、この曲がラジオ関西の深夜番組『若さでアタック』で放送されて近畿地方で密かなブームとなり、それを聞き付けて原盤権を獲得したパシフィック音楽出版(PMP、現フジパシフィックミュージック)の専務だった高崎一郎が自らパーソナリティを務める『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)で流したところこれがきっかけとなり、たちまち日本全国に反響が広がった。PMPで実際に獲得交渉にあたった朝妻一郎と朝妻にこの曲を紹介した音楽評論家・木崎義二の対談によると、高崎がPMP社長でニッポン放送常務だった石田達郎にこの曲を聴かせたところ、石田は「この曲はオールナイトニッポンだけでかけろ」と指示。相乗効果でオールナイトニッポンも人気番組となった。それで当時の全てのメジャー・レーベルがフォーク・クルセダーズとシングル盤の発売交渉を行ったが、東芝だけがフォークル側の「年内発売」の条件を受け入れ、彼らが吹き込んだ当初のモノラル録音のテープで発売する権利を得た。この事がきっかけで、レコード会社の「原盤制作権」がクローズアップされることにもなった。シングル盤の売上は累計283万枚に達した。早回しテープを使った曲であるため、コンサートでそのまま再現演奏することができないと思われがちだがロックアレンジで演奏されることもあった。このときは端田がメインボーカルを取っている(レコーディング時のボーカルと12弦ギターは、加藤和彦)。2002年のフォーク・クルセダーズ新結成では、フォークルの演奏(アコースティック)にゲストの泉谷しげるが普通の声で歌っている。なお、加藤が生前最後のニッポン放送でのインタビューにおいて、「早回し録音を北山修宅の居間で行った。北山宅に語学学習用のオープンリールレコーダーがあり、それを用いて早回しボーカルの録音を行ったが、早回し録音であるが故に、音程が合わず一日がかりで録音した」との苦労を語っている。この曲のヒットを受けて、1968年には大島渚監督による映画化が行われた。脚本は田村孟、佐々木守、足立正生、大島渚。出演者は佐藤慶(青年)、渡辺文雄(毒虫)、緑魔子(ネエちゃん)、殿山泰司(煙草屋の老婆)、小松方正(漁師)、戸浦六宏(警官)など。この映画には、フォーク・クルセダーズのメンバーとして北山修、加藤和彦、端田宣彦の3人が出演している。また、『20世紀少年』では漫画版、実写版の両方でともだち暦3年のケンヂがバイクを駆けながら歌っている。他には、1995年公開映画の『勝手に死なせて!』の作中において、この曲がメインテーマ曲として使われている。作曲家團伊玖磨はいち早くこの曲を評価した。そのこともあり、フォーク・クルセダーズは團伊玖磨の童謡「山羊さんゆうびん」を『紀元弐千年』(フォーク・クルセダーズのアルバム)でも、2002年新結成時のライブでも歌っている。音楽評論家の篠原章は、著書『J‐ROCKベスト123―1968~1996』(講談社文庫 ISBN 4062632764)において、「帰って来たヨッパライ」が大ヒットした1968年以降を「日本のロック時代」と定義している。園山俊二原作のアニメ『はじめ人間ギャートルズ』でも、主人公の少年・ゴンの父が一度死んでしまう回(第7回Bパート「ジゴクラクーンの巻」)で、父が天国に上っていくシーンでこの曲が流れている。1968年の時代劇、『素浪人 月影兵庫』第2シリーズの第71話のサブタイトルは「おらは死んじまった筈だった」であり、劇中で谷村昌彦が本曲の歌い出しに節をつけて歌っているシーンがある。1988年3月に関西テレビ『真夜中テレビ』枠で放送された『完全走破!日本縦断2002キロ高速道路の旅』の副音声側でもこの曲が流れている。発売からほぼ1年後、ヨッパライ・シリーズ第二弾と称し、西部劇を題材にした『さすらいのヨッパライ』というシングルが発売されるが、加藤らフォーク・クルセダーズのメンバー達は2度同じ事をする事に拒否反応を示したといい、その後シリーズは続いていない。竜の子プロダクション製作のアニメ『ハクション大魔王』の企画当初のタイトルは、本曲の歌詞に由来する『天国よいとこ』であった。1976年には、メイジャー・チューニング・バンドがシングル「ソウル・これっきりですよ!!」のB面曲として「また・帰って来たヨッパライ」というタイトルでカバー。1979年には、本作のディスコアレンジ版「ディスコ・帰って来たヨッパライ」(歌:INVADER)が発売された。1991年にカップリングを「悲しくてやりきれない」に差し替えたCDシングル盤が東芝EMIよりリリース。現在は廃盤。2007年に小梅太夫によるカバーヴァージョンがシングルでリリースされている。2010年に発売されたPSP用ゲームソフト『メタルギアソリッド ピースウォーカー』の劇中歌として使用されている。2010年にSMAPの草彅剛がソロ曲としてカバーし、アルバム『We are SMAP!』に収録された。神様の声として笑福亭鶴瓶が参加している。2011年に発売されたモーニング連載中のマンガ『鬼灯の冷徹』のコミックス第三巻では、八塩折の酒に酔った叫喚地獄の亡者たちが本作を歌っている。また、2014年に放送されたアニメ版でも歌われた。2012年に日本音楽著作権協会に登録されている作詞者の表記が、フォーク・パロディ・ギャングから、作詞:松山猛・北山修に変更された。2015年からフジテレビ系列で放送されている『やっちまったtv』のテーマ曲に、この曲の替え歌を使用している。
出典:wikipedia
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