防衛駐在官(ぼうえいちゅうざいかん)は、在外公館において軍事や安全保障に関する情報収集や交流等を任務とする日本の外交官(外務事務官)。外務大臣及び在外公館長の指揮監督下に置かれるが、防衛省からの派遣人員であり、自衛官の身分を併せ持つ。戦前の日本及び各国の駐在武官に該当する。戦前の駐在武官制度は、第二次世界大戦における日本の敗北・占領及び陸海軍の解体に伴い、廃止となった。現在の防衛駐在官制度は、防衛庁・自衛隊発足に伴い、1954年(昭和29年)より開始されたものであり、陸海空の自衛隊より自衛官が派遣されている。この際、外務公務員法第6条及び外務職員の公の名称に関する省令第3条により「在外公館に勤務し、主として防衛に関する事務に従事する職員」を防衛駐在官と呼称している。主な任務は、派遣先における政府・国防関係者との接触による情報収集や各国武官団との交流による情報交換である。自衛官としての身分も有するため、自衛官の階級を呼称するほか、制服の着用を行う。また、防衛駐在官用の飾緒の着用や、礼装時には、儀礼刀の着用も行う。なお、防衛駐在官経験者には第34号防衛記念章(外国勤務経験者)が授与される。外務省と陸海軍の多重外交状態となることが多かった戦前の反省から、防衛駐在官に関して、省庁間覚書(「防衛庁出身在外公館勤務者の身分等に関する外務事務次官、防衛庁次長覚書」(昭和30年8月8日))として、他の在外公館勤務者より強い制約を明記しており、防衛庁との直接連絡を行わないことも規定されていた。その後、防衛駐在官制度が十分に確立され、弊害が生じるおそれが少なくなったこと、日本国外における自衛隊の任務が増大してきたことに鑑みて、覚書を改定し、「防衛駐在官に関する覚書」(平成15年5月7日)が締結された。新覚書では、旧覚書と同様に防衛駐在官の階級呼称・制服着用権を定め、また外務大臣等からの指揮監督についても「他の在外公館勤務者と同様に」の文言が入り確認的な表現となっている。防衛駐在官の本国への連絡通信についてはなお外務省経由のものとなるが、旧覚書にはなかったものとして防衛駐在官の防衛情報を外務省が防衛省に自動的かつ確実に伝達する協約が入った。なお、この際に防衛駐在官の対外的呼称を「一等書記官(又は参事官)兼防衛駐在官」ではなく、「防衛駐在官・1等陸(又は海・空)佐」とできるように運用が改められた。なお、防衛駐在官以外に防衛省出身のシビル・アタッシェ(自衛官以外の防衛省職員)や留学生も派遣されている。派遣先はアメリカ合衆国が最初であったが、徐々に増加し、1979年には22ヶ国、1989年には30ヶ国となっている。2004年1月1日時点では、34大使館2政府代表部に47名(うち陸22名・海13名・空12名)、2013年1月1日時点では、49名(陸23名・海13名・空13名)が、38カ所の在外公館に派遣されている。三自衛隊からそれぞれ派遣者があるのは米国6名(陸海空各2名)、大韓民国、中華人民共和国、ロシア(陸海空各1名)で、他の国には関係の深い自衛隊から派遣されることが多い。国際儀礼にならい、通常は1佐(三)(大佐相当)が防衛駐在官に補職されるが、米国首席防衛駐在官は将補(二)(少将相当)が指定される。また、外務省職員(外交官)としての地位は派遣国によって異なり、1佐の場合、参事官(主要国のみ)又は1等書記官となる。2013年に発生したアルジェリア人質事件への対応の検証から、情報収集を強化するため、アフリカ地域をはじめとして防衛駐在官の増員が検討されている。アフリカ地域では、アルジェリア、南アフリカ、ナイジェリア等、これまでの2ヶ国から9ヶ国に派遣国を増やすことが計画されている。また、平成27年度防衛省概算予算請求においては、ポーランド、ウクライナ、オーストラリアへの増員が記載されている。平成22年8月1日時点 36大使館2代表部49名
出典:wikipedia
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