『ポセイドン・アドベンチャー』("The Poseidon Adventure")は、1969年に発表されたポール・ギャリコの小説および、それを元にした映画・映像作品である。小説は日本では早川書房より出版された。1972年に映画化され、以降テレビ版を含め3回映像化された。豪華客船が航海の途中、大晦日の夜を祝うため多くの客が乗り合わせていた時に巨大な津波が押し寄せ船は転覆。パニック状態に陥った乗客たちの中で、たまたま乗り合わせていた牧師が生き残った乗客たちを脱出へと導いていく、その苦難と悲劇の物語である。81,000トンの豪華客船「ポセイドン号」は1,400名の乗客を乗せ12月にニューヨークを出港し、ギリシャを目指して航海に出た。だがこの豪華客船のハリソン船長(レスリー・ニールセン)は、この船の重心が高くバラスト(底荷)をしていないので、大波による転覆を恐れていた。ゆえにスピードを上げずに船を進めていた。しかし船主代理のライナーコスはそれを認めず、予定を3日も遅れていることで船長を叱責し、スピードを上げることを要求した。ポセイドン号は現地で解体が予定されている老朽船であり、作業員も確保しているため、到着日の遅れは会社にとって経済的負担が大きいからであった。船が地中海に入ってからやがて大晦日を迎えて、その夜に大食堂ホールでパーティーが開かれた。ところがクレタ島の南西130マイルの沖合で海底地震が起こり、その影響で大津波が起きる。なすすべもなく、津波は32mの高さで「ポセイドン号」を襲い、船はあっと言う間に転覆した。船はそれまでの上部が足元に、足下が頭の上部へとひっくり返ることになる。ホールで楽しい語らいをしていた船客らは、投げ出される者、落下し壁に叩きつけられる者、落ちてきたテーブルや物品の下敷きになる者など続出し、まさに修羅場・阿鼻叫喚の場となった。転覆し上下が180度回転した大食堂ホールには、この時点ではまだ相当数の生存者がいた。その時に客船の事務長は「救援隊が来るまでここで待機しよう」と訴える。しかしひとりの牧師がそれに異を唱えた。彼は破天荒な説教でも知られたフランク・スコット牧師(ジーン・ハックマン)で、留まっていれば海面下にあるこのホールはやがて浸水して皆死ぬので、ひとまず上に上がり「船底」(この場合は船底でなく、船の最上部となる)の竜骨付近に行き、そこで救援隊を待とうという意見を主張した。牧師は電力がまだ残り灯りがまだ点いている今のうちに上に行かねばならないと訴える。しかし事務長は頑として聞かず、客も意見が分かれた。急ぐスコット牧師の声に導かれて、上に登る決意をしたのは僅か8名であった。スコットを含む9名は、食堂に備え付けられていた大きなクリスマスツリーをはしご代わりにすることで上へとよじ登っていった。残りの生存者への説得も続けたものの反応は悪く、そうこうするうちにキッチンボイラーが大爆発して水や油が鉄砲水のように噴出し、ホールに残留した生存者らを押し流した。ツリーには生存者が殺到し、あまりにも多数の人間が一度にしがみついたために崩れ落ちてしまった。泣き叫ぶ人々の声を聴きながらもスコットにはどうすることもできなかった。スコットに付いてきたのは、ニューヨーク市警察の刑事マイク(アーネスト・ボーグナイン)とリンダ(ステラ・スティーヴンス)のロゴ夫妻、イスラエルに住む初孫の顔を見るのが楽しみだと語っていたマニー(ジャック・アルバートソン)とベル(シェリー・ウィンタース)のローゼン夫妻、独身で雑貨商を営むジェームズ・マーティン(レッド・バトンズ)、兄や仲間のバンドメンバーを全て失った歌手ノニー・パリー(キャロル・リンレイ)、欧州へ遊びに行く予定だったスーザン(パメラ・スー・マーティン)とロビン(エリック・シーア)のシェルビー姉弟、そしてもともと上にいたボーイのエイカーズ(ロディ・マクドウォール)。スコット牧師と合わせて10人で機関室を目指した。その道筋は垂直エアシャフトをよじ登り、更にギャレーから機関室へ行く階段に辿り着くことであった。しかしエアシャフトを上っている途中、エイカーズが水中に転落してしまう。上った先のギャレーで、船首に向かうほかの生存者およそ20名とすれ違う。エイカーズの死のこともあり、スコットとマイクはどう進むかで激しく対立する。スコットは自ら決死の探索を行い、その結果から機関室へ行くことが最善だと主張する。なお、船首に向かったもので生存者はいなかったことが映画のラストで語られる。機関室へ行く途中、進む浸水のため水の中を潜ってゆく必要が出た。最初に、探索のためスコットが単身潜っていったが、途中、体に鉄板がのしかかり水中で身動きがとれなくなってしまう。それを救ったのはベルであった。ベルは学生時代、大会での優勝経験を重ねるほどの水泳選手だった。周囲の役に立ちたいと望んでいた彼女はスコットがいつまでも戻らぬことを心配し水中に飛び込み、瀕死のスコットを見つけ彼を助ける。共に機関室へたどり着くものの彼女はそこで心臓発作を起こし、夫マニーへの遺言を遺し息を引き取る。スコットは「神よ、なぜこの女性の命を奪うのか」と呻く。ようやく他の全員も機関室にたどり着き、スコットは勇気を出して生き抜くことが夫人の遺志に報いるのだと説く。機関室を過ぎるとプロペラシャフトを抜けて「船底」に到達するのだが、これが難関であった。突然起きた爆発の振動により、マイクの妻リンダが足場を踏み外し火中に落ちてしまう。嘆き悲しむ夫マイクは牧師を罵り、男泣きに泣いた。加えて爆発によりスチームパイプが破損しており、そこから熱い水蒸気が噴き出しプロペラシャフトに入る非常ハッチへの進入を妨害していた。ここまで冷静を保ってきた剛毅な牧師も神を呪うのであった。「ベルも死に、エイカーズも死に、いまリンダも死んだ。神よ、どれほどの生贄が必要か!まだ満足しないのならば、私の命を奪え!」と彼は叫びスチームパイプのバルブハンドルに飛び移り、バルブの口を自重で閉めながら他の皆がプロペラシャフトに乗り移るように命じた。皆がプロペラシャフトに乗り移った後に、スコットはハンドルから手を離して落下していった。やがてプロペラシャフトを抜けて「船底」に達した6人は船底を無我夢中で叩く。やがて応答が聞こえてきた。救援隊が本当にやって来たのだった。救援隊の船底をこじ開ける作業の音を聞きながら、生き残った6人は様々な思いを胸に後ろを振り返るのであった。1972年に20世紀フォックスにより最初の映像化がなされた。これまでに続編を含め4度の映像化が行なわれている。上下さかさまになった船体のセットを使った撮影はアカデミー賞特撮部門を、挿入歌としてモーリン・マクガバン()が歌っている「モーニング・アフター」はアカデミー歌曲賞をそれぞれ受賞した。1979年には、続編として『ポセイドン・アドベンチャー 2』(出演:マイケル・ケイン、テリー・サヴァラス)が製作されている。またこの作品で当時パニック映画(ディザスター・フィルム)と呼ばれるジャンルが確立して、、アーウィン・アレンを中心とするスタッフが、この時の特撮技術を活かし、2年後に『タワーリング・インフェルノ』を製作した事はよく知られている。製作費1200万ドルは船のセット、転覆場面の撮影、1135万リットルの水に大半が消費されたという。まだコンピューターグラフィックの無い時代で全て実写であった。同年公開の『ゴッドファーザー』とほとんど同じ興行収入を記録する大ヒット作品となった。他にもレーザーディスク版としての吹き替えも存在するが現在では入手が困難。今発売されているDVDは1991年のテレビ朝日版を放送当時のまま収録しており、放送時にカットされた場面は原語音声と字幕で対応している。
出典:wikipedia
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