『ウインダリア』は、1986年7月19日に公開されたアニメ映画。カナメプロダクションが、テレビアニメ『プラレス3四郎』やOVA『幻夢戦記レダ』などに続いて制作した作品である。原作・脚本は藤川桂介、監督は湯山邦彦。テレビアニメ『プラレス3四郎』でも藤川桂介と組んだカナメプロダクションが、藤川へ全面的にストーリーを委託。藤川は『雨月物語』の浅茅が宿を下敷きにしてオリジナルストーリーを構成し、「約束」をテーマに架空の世界を舞台として戦争に翻弄された2組の男女の愛をファンタジックに描いた。本作は前年の『幻夢戦記レダ』とは異なり、より幅広い層の人間に見てもらうことを目指して制作された。当初は全3話から構成されるオムニバス形式の予定で、藤川の用意した3つの物語にそれぞれ異なるスタッフを配し、競合させるという企画だった。ちなみに、タイトルはテーマでもあった『約束』で、本作はその中の3つ目の話を大きくしたものである。タイトルの変更は「『約束』の英訳が消費者金融プロミスと同じ名前になるから」というのが理由らしいが、小説版のタイトル『ウィンダリア 童話めいた戦史』や、それと同じ出版社のアニメ誌の記事では「ウィンダリア」と「イ」が小さくなっており、タイトルは当初から統一性がなかった。小説版の出版は劇場公開に先駆けた1986年3月だったが、その理由について藤川は「より多くの人に関心を持ってもらいたかったため」と小説版のあとがきの中で述べている。その後、本作はよみうりテレビの『アニメだいすき!』で何度か放送され、「OLたちの選ぶアニメ」で1位になった。劇中に登場する巨木ウインダリアは、オーストラリアの小村にあるという幸福の木の名をもじったものだという。主人公のイズーには、『プラレス3四郎』で成田シノグ役を演じた古谷徹が起用された。先述の劇場公開の際、古谷は劇場での舞台挨拶と試写会を終えてスタッフルームへ引き上げた後、本作の直前に体験したことと本作のテーマ「約束」が重なり合って感動したあまり、スタッフたちの目の前で号泣してしまったという。なお、本作の後年もアニメ音楽で長く活躍することになる歌手、新居昭乃のデビュー曲は本作の主題歌『約束』であった。また、音楽担当の門倉聡がこの仕事を引き受けるきっかけとなったのは、デビュー前に新居が制作したエンディング曲(クレジット上は挿入歌)の「美しい星」のデモテープであったとのこと。南方の海の国・イサと北方の山の国・パロは平穏な関係を築いてきた。しかしパロの王ランスロは美しいイサを欲しがり、イサの水没を試みる。この企てはサキの村の青年イズーによって阻止されたが、イサとパロはこの事件をきっかけに互いに不信を募らせていく。やがて二つの大国の対立は、間に挟まれたサキの村も巻き込み、戦争に突入する。戦いが膠着するなか、パロはイズーに目をつけた。イズーの妻マーリンはイズーの妄想癖の性格をしばしばたしなめていたが、パロで英雄になるというイズーの功名心を引き留めることができず、結果としてパロの思惑にイズーは応えた。マーリンは仕方なく、自分は待っているから必ず帰ってきてほしいと約束させ、守り刀を持たせイズーの旅立ちを見送る。しかしイズーはパロにたどり着いたものの、相手にもしてもらえず浮浪者同然の生活をすることになる。功名を焦り、イズーはかつて自分がイサの水没の危機から守るために閉めた水門に手を掛けた。パロを戦勝に導いたイズーは多額の褒章を得て酒池肉林を繰り広げた。しかし3か月後にはパロから目障りだとして命を狙われる。命からがらパロを逃げ出したイズー。彼が最初に見たのは、不気味な月夜の明かりに照らされ、海水に没したイサの街だった。ようやくイズーは自分の愚かさを悟り、呆然とたたずむしかなかった。そのとき、教会の鐘の音が鳴った。それを合図に亡くなった大勢のイサの人々の魂が、赤い鳥の群れとなって集まってきた。イズーを責めるように傍らを舞い、幽霊船へ飛び立っていった。恐怖におののいたイズーは、あわててサキの村へ走り出した。マーリンも同じように死んでいるのではないかという不安を抱きながら。しかし、その不吉な予感は外れた。家の前までたどり着いた時、窓から明かりがもれた。ドアが開き、マーリンが現れる。再会に喜び、抱擁する二人。しかししばらくして幽霊船の汽笛が鳴る。その音を聞いたとき、マーリンは別れを告げ、赤い鳥となって幽霊船へ飛び立っていった。イズーの手に残ったのは、守り刀だけだった。「声」は映画版の声優。イサ、パロはともにユーロ大陸に古くから繁栄する大国である。ただし両国の国の歩みは全く対照的。基本的には都市国家なので、中心から離れた地域には独立を保つ村落も少なくないようである。サキの村もその1つ。パロの南に迷いの森があり、迷いの森を抜けるとサキ、さらに南にイサがある。文明はかなり発展(飛行機・水上バイクなどがある)しているが、地域によって普及度に差がある。人々の宗教形態、神々などはほとんど明らかではない。しかしマーリンのように信仰に熱い人間は常に祈りを欠かさないようである。死後、人々の魂は肉体を離れて幽霊船に赴き、そこで永遠に暮らすとされる。詳細は以下に説明。地名や人名の多くはケルト神話やアーサー王伝説等に由来している。イズー(イゾルデ)、マーリン、ランスロ、ギネビア、ドルイドなどがそうである。パロ(ファラオ)、イシスはエジプトから。大樹ウインダリアは上記のとおり。上映時間の都合上、藤川の原作が簡略化されていることは否めない。しかしその分イズーとマーリン、アーナスとジルの悲劇に焦点が絞られている。マーリンがイズーに渡したお守りは小説版ではウインダリアの葉を入れた守り袋だが、劇場版では短剣に変更されている。困ったときイズーを助けてくれるという言葉を生かすとともに、夫を戦争に送りだす妻の悲痛な決意を象徴した演出となっている。
出典:wikipedia
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