ケプラー186f()は、地球から492±59光年(151±18パーセク)離れた赤色矮星ケプラー186を周回する太陽系外惑星である。ケプラー186fは、太陽以外の恒星のハビタブルゾーン(生命が存在する可能性のある領域)内において、初めて発見された地球に近いサイズの惑星である。アメリカ航空宇宙局 (NASA) のケプラー探査機のトランジット法による観測により、内側の他の4つの惑星(いずれも地球より大きい)と同時に発見された。 この発見には、3年に渡る観測結果の分析が必要であった。発見は2014年3月19日のカンファレンスにて初めて公開され、その後4月17日に科学誌サイエンスにて完全に公開された。ケプラー探査機による観測当初、この恒星系は (KIC) の番号で識別されていた。観測が進み、惑星を持つ可能性が指摘されて以降は (KOI) の番号が割り当てられた。そのため、恒星ケプラー186は当初 KIC 8120608 と呼ばれており、次いで KOI 571 とされていた。 ケプラー186fも発見が正式に確認される前の2013年当時は、この命名規則に基づき KOI-571-05 や KOI-571.05 と呼ばれていた。ケプラー186fは、光度が太陽の4%の主星を公転周期129.9日、軌道長半径0.356天文単位 (AU) の軌道で公転している(水星の軌道が0.387AU)。この恒星のハビタブルゾーンは、控えめな見積もりで0.22AUから0.40AUの範囲と考えられている。ケプラー186fの軌道はハビタブルゾーン内ではあるがその外縁部に近く、恒星から受けるエネルギーも地球が太陽から受けるエネルギーの32%ほどと、太陽系でいう火星に近い条件にある。ケプラー186fが受ける主星からの放射は、2007年に発見されたグリーゼ581dに類似している。ケプラー186fの半径は地球より11%ほど大きいだけである。その質量と密度、それに組成は2014年現時点では判っていないが、その大きさから岩石からなる地球型惑星か、厚い大気を持つ密度の低い海洋惑星の可能性が考えられている。しかし、地球半径の1.5倍を下回ることから、惑星が大量の水素/ヘリウムの大気を持つことはないとされている。若い赤色矮星は強力な (XUV) を照射しており、惑星誕生直後の原始の大気はこれにより蒸発してしまうため、この過程で大量の水素/ヘリウムが惑星から取り除かれてしまうからである。 惑星が取りうる質量としては、ほとんどが水や氷から構成されているケースで地球質量の0.32倍、逆に全てが鉄から構成されているようなケースでは地球の3.77倍と見積もられている。もし地球と似た組成(3分の1が鉄、3分の2が岩石)であれば、その質量は地球の1.44倍となる。ケプラー186系では、2014年現在ケプラー186fの他にb, c, d, eの4つの惑星が発見されている。これらの惑星はいずれもより主星に近い軌道を周回しており、液体の水を保持するには暑すぎる条件にある。主星の重力から生じる潮汐力により、内側の4惑星で自転と公転の同期が発生していることはほぼ間違いないと考えられている。しかし、より遠く潮汐力の小さいケプラー186fにおいては、惑星形成から自転と公転が同期するまでの十分な時間が経過していない可能性もある。赤色矮星は誕生後の変化が小さく、ケプラー186系の年齢を求めるのは難しいが、おそらく十億年以上は経過しているだろうと推測されている。 自転と公転が同期しているかは大雑把に半々ぐらいの確率であるが、地球と太陽との距離よりも近いことから、地球よりも自転が遅い(1日が数週間や数か月にも及ぶ)ことはまず間違いない。ケプラー186fの赤道傾斜角は極めて小さく、これは地球や火星のような季節を持たないことを意味する。軌道も円形であり、火星のような楕円軌道に由来する気候の変化を持つこともない。しかし、もしトランジット法では観測できない未発見の惑星がケプラー186fとeの間にあれば、地球のような大きな(23度に近い)傾斜角を持つ可能性も提示されている(惑星形成のシミュレーションでは、この領域にもう一つ追加の惑星が存在する余地が残されている。なお、軌道の安定を乱さずに存在できるのは、地球より小さなサイズの惑星に限られる)。ケプラー186fはハビタブルゾーンの領域に位置しているが、それは直ちに生命が存在できる惑星を意味しているわけではない。液体の水が存在できるかは、惑星の大気の組成にも影響されることであり、大気の組成は2014年現在明らかになっていない。 ケプラー186fは地球からあまりに遠いが、高性能な天体望遠鏡や、次世代のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡であればその大気を分析できるかもしれない。窒素や二酸化炭素、水や雲の割合にもよるが、単純な気候モデルでは、窒素の分圧が10バールの状態で0.5バールの二酸化炭素が、0の場合で5バールの二酸化炭素が存在していれば、表面温度を273K(0°C)に保つことができると試算されている。ケプラー186fの発見以前にも、いくつかの地球に近いサイズの太陽系外惑星がハビタブルゾーン内に発見されている(ゴルディロックス惑星)。こうした惑星のうち最も小さかったのが地球の1.4倍の半径を持つケプラー62fだが、球の体積は半径の三乗となるため、1.4倍でもその体積は地球の2.74倍にもなってしまっていた(半径1.1倍であれば体積は1.33倍に止まる)。地球と同じ組成と仮定した場合、その質量は遥かに大きなものとなり、これは惑星の構成物質が大きな圧力を受けることを意味していた。太陽に似た恒星(赤色矮星のケプラー186は該当しない)のハビタブルゾーンにおける地球サイズの惑星の大気の進化の研究によると、半径が地球の0.8倍から1.15倍の範囲のサイズであれば、惑星形成の初期において大量の水素を吹き飛ばすのに十分小さく、かつその後に地球のような大気を保持するのに十分大きいとされている。
出典:wikipedia
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