絵因果経(えいんがきよう)は仏伝経典の代表的なものの1つである『過去現在因果経』の写本の一種で、巻子本の下段に経文を書写し、上段に経文の内容を説明した絵画を描いたもので、日本において平安時代以降盛行する絵巻物の原初的形態とみなされている。『過去現在因果経』(求那跋陀羅訳、4巻)は、釈迦の前世における善行から現世で悟りを開くまでの伝記を説いた経典である。本経によれば、釈迦は過去生において善慧仙人として善行を積んでいたところ、普光如来から将来成仏することを予言され、忉利天に上った。そうした前世の因縁により、釈迦が忉利天から現世に出生し、修行を積み成道するまでの過程を述べたのが本経である。この経文に絵を描き加えて、釈迦の生涯と前世の物語(本生譚)を分かりやすく伝える手段として作成されたのが絵因果経である。絵因果経の遺品には奈良時代制作のものと、同様の形式で平安時代以降に制作されたものとがある。前者を「古因果経」といい、遺品の少ない奈良時代絵画の研究上、重要な資料とされている。巻子本の下段に経文を書写し、上段にそれを絵解きした絵画を描く形式は中国にその源流がある。古因果経の画風の元となったのは中国の初唐(7世紀)頃の画風と推定されるが、中国には同種の遺品は現存しない。巻子本の下部に経文を書写し、上部に内容を絵解きした絵画を添える形式の遺品としては、敦煌将来の『観音経』(フランス国立図書館蔵)がある。奈良時代の作例としては下記の5種が知られる。『過去現在因果経』は全4巻の経典であるが、絵因果経の場合は、各巻を「上・下」に分けた計8巻となっている。ただし、以下の奈良時代の諸本はいずれも1巻のみの残巻である。また、以下の諸本はそれぞれ画風や経文の書風が微妙に異なっており、別々のセットから1巻だけが残ったものと思われる。平安時代以降の作例としては以下のものが知られる。
出典:wikipedia
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