カールグスタフは、スウェーデンのFFV社で開発された無反動砲である。口径は84mm。名称のカールグスタフは、生産に関わったCarl Gustav Stads Gevärsfaktori社の名前に由来する。現在はサーブ社が旧ボフォース社を買収して生まれた『』が製造・販売している。日本の陸上自衛隊ではカールグスタフM2を84mm無反動砲(84RR)として、カールグスタフM3を84mm無反動砲(B)として採用している。個人運用可能な携行無反動砲であり、本体は砲身、グリップ、照準器、チークピース、肩当、脚、撃発装置、閉鎖機を兼ねた砲身後部ノズルからなる。前方の砲口部にラッパ状の縁があるが、これは砲身の破損変形を防ぐための部品で、射撃時には外される。砲身は特殊鋼製で、24条右回りのライフリングが刻まれている。発射方式はクルップ式であり、対戦車榴弾のHEAT 751(タンデム弾頭)、HEAT 551、多目的榴弾のHEDP 502、榴弾のHE 441B、照明弾のILLUM 545、発煙弾のSMOKE 469B、周辺防御用弾頭のADM 401といった多様な砲弾が用意されている。対戦車榴弾にのみ、弾頭を加速させるため砲弾にロケットモーターと安定フィンが付属する。雷管は薬莢の側面に配置され、装填の際に撃発装置との位置決めを行う必要があるため、薬莢底部のリム(起縁)には砲身側の突起と噛み合わせるための切欠きが設けられている。無反動砲という特性上、発射時には強力な後方爆風が発生するため、射手の後方に爆風を遮るものがないよう、発射する場所や環境には制限がある。戦車や装甲車、トーチカのように、歩兵部隊が保有する装備(小銃など)では破壊が難しい目標を攻撃する、高い破壊力を有する軽量の歩兵砲として、1946年よりスウェーデン軍兵器局(KAFT)により開発された。これによって開発されたのが初期型のM1で、これは1948年より、スウェーデン軍において8.4cm擲弾発射機m/48()として制式化された。その後、1964年より軽量化などの改良を加えたM2が実用化され、さらに1972年には照準器を改良したマイナーチェンジモデルとしてM2-550が実用化された。また、これらの砲の技術を応用して、使い捨て式の対戦車擲弾発射器としてAT-4も開発された。1991年には、複合材料の導入などにより大幅な軽量化を実現したM3が実用化された。これはスウェーデン軍において8.4cm擲弾発射機m/86()として新たに制式化されたほか、アメリカ特殊作戦軍でも"M3-MAAWS"(Multi-Role Anti-Armor/Anti-Personnel Weapon System)として採用された。なお、アメリカ軍では当初は第75レンジャー連隊で採用されたことから、RAAWS(Ranger Anti-Armor/Anti-Personnel Weapon System)と称されていた。2014年には、チタンと炭素繊維複合材を採用したM4が実用化された。これは重量が6.7kgと、M3より1.8kg軽くなったものである。カールグスタフは、シリーズを通して約40ヶ国に輸出された。このうちイギリス海兵隊の装備砲(L14A1)は、フォークランド紛争の緒戦段階におけるグリトビケンの戦いに際し、アルゼンチン海軍のコルベット「ゲリコ」に対し命中弾を与え、これを中破させる戦果をあげている。しかし、現在ドイツやオーストリアでは、パンツァーファウスト3のような新世代の兵器が登場したため、カールグスタフは照明弾を使った戦場照明機材として運用されるようになり、名称も「照明弾発射筒」(Leuchtbüchse)へと変更された。陸上自衛隊では、カールグスタフM2を84mm無反動砲として採用しており、部隊では通称として「ハチヨン」や単に「無反動」などと呼ばれている。それまで使用していた89mmロケットランチャー(バズーカ)に代わる歩兵携行用対戦車兵器として、1978年度予算の85門を皮切りに調達を開始した。当初は輸入による調達であったが、1984年からは豊和工業によるライセンス生産が開始された。イラク人道復興支援活動で陸上自衛隊がイラクのサマーワに派遣された際には、宿営地に対する自動車突入などのテロ対策用小火器として持ち込まれている。通常は普通科小銃小隊1個班に1門を装備している。本装備を使用する隊員は小銃ではなく9mm拳銃を携帯し、予備弾運搬手が随伴する。使用可能弾種は榴弾、対戦車榴弾、照明弾、発煙弾の4種類があり、110mm個人携帯対戦車弾や01式軽対戦車誘導弾(軽MAT)よりも弾薬に多様性があるものの、携帯型対戦車兵器としては旧式化したため、改編された部隊を中心に軽MATにより更新されている。しかし、未更新の普通科部隊では未だに主力火器として部隊配備が継続されているほか、軽MATの配備により余剰となったものは特科・機甲・施設・後方支援部隊の自衛火器として管理替えされ、現在も第一線で使用されている。また、通常の砲弾以外に7.62mmNATO弾を使用できるアタッチメントがある。砲身内に装入し、空砲などが演習で使用出来た。平成24年度からはカールグスタフM3の調達が開始された。平成24年度には多用途ガン表記で、平成25年度以降からは84mm無反動砲(B)表記で調達されている。現在軽MAT配備部隊を含め普通科部隊や特科などの84RRを装備する部隊に配備される予定。調達価格は約1,000万円である。
出典:wikipedia
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